まりもとコーヒー
生成AI(Grok)による本文作成を行い、微調整しています。
苦手な方はご注意くださいませ。
私は仕事から帰ると、いつものようにキッチンでコーヒーを淹れていた。
湯気の立つカップを持ってリビングに戻ると、まりもがソファに座って、じっとこちらを見ている。淡い緑の長い髪が肩に流れ、濃い緑の葉模様が部屋の明かりを受けて静かに揺れていた。
「……また、その黒い飲み物か」
「うん。コーヒー。……興味あるんでしょ? 前から見てたよね」
「別に、興味などない」
そう言いながらも、まりもの視線はカップから離れない。実は彼女は、私がコーヒーを淹れるたびにずっと前からその様子を観察していた。湯気が立つ瞬間を目で追ったり、香りが流れてくると鼻を小さく動かしたり。なのに、一度も「飲んでみたい」とは言わなかった。私が勧めても、「精霊にそんなものは不要だ」と拒み続けていた。
「今日は一口だけ飲んでみない?」
まりもはしばらく黙っていた。指先がソファの生地を小さくつまむ。
「……一口だけだ。それ以上はいらん」
カップを受け取る手つきは、どこか慎重だった。鼻先を近づけて匂いを嗅ぎ、眉をほんの少し寄せる。それから、ゆっくりと口をつける。
次の瞬間、彼女の顔がわずかに強ばった。
「……苦い。それに、熱い」
「ブラックだと苦味が強いし、淹れたてだからね」
「人間の飲み物は、相変わらず刺激が強いな。こんなものを毎日好んで飲むとは、理解に苦しむ」
そう言いながらも、まりもはカップを置かなかった。少し時間を置いてから、もう一口慎重にすする。今度は少しだけ表情が緩んだ。
「……だが、後に残る感覚は悪くない。森の樹皮を思わせる、深い香りがする」
「気に入った?」
「気に入った、などとは言っていない。許容できる範囲だ。ただし、もう少し温度を下げた方がいい」
耳の先がうっすらと赤い。前から興味を持っていたくせに、なかなか口をつけようとしなかった彼女が、今夜ようやく一歩を踏み出した。
私は笑って、自分用にもう一杯淹れに立った。後ろからまりもの声が聞こえる。
「……次は、湯気があまり立たないくらいで頼む」
「わかった。少し冷ましてから出すね、まりも」
「まりもって呼ぶな」
低い声で抗議する。でも、カップを両手で包む仕草は、どこか大切そうだった。
誇り高い森の守り神が、人間の苦い飲み物を少しだけ認めた夜。
同じ屋根の下の日常は、またひとつ、静かに増えていく。




