同じ存在?
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私とまりもが一緒に買い物をしている途中だった。
店の棚を眺めながら、ふと頭に浮かんだ。
「ねえ、まりものような人って、他にもいるの?」
隣を歩くまりもが、横目でこちらを見る。淡い緑の長い髪が肩に流れ、濃い緑の葉模様が店内の明かりを弱く返している。けれど他の人には黒髪の美しい女性にしか見えていないだろう。
「認知しなければ、存在はしない」
「それっていない、ってこと?」
「居ないとは限らない。意識していなければわからない、つまり見えていないだけだ」
濁した答えだった。それ以上は語らない。
通路の向こうから、二人の女性がこちらへ歩いてくる。すれ違う直前、まりもの歩みがわずかに遅れ、耳が小さく前へ傾いた。
その内の一人は、見た目は普通の女の子だった。けれど長い白髪が背中まで落ち、向かって右上に焦げ茶のリボンがついている。ちょっと雰囲気が他の人とは違うけれど、かわいらしい、としか私には見えなかった。隣の女性との距離は近く、険もない。それは仲の良い二人に見えた。
奥へ消えていく声に、わずかに聞こえた「ルン」という響き。
名前なのかどうか、確かめる暇もない。けれどそれに白髪の少女が小さく反応したように見えて、そのまますぐに人混みの向こうへ溶けていった。
まりもはその背中を、一瞬だけ見た。
「今の子、何かあった?」
「……まあな」
どことなく笑みを浮かべているようなまりも。
「え」
「ぼくと同じではない。だが、とても近い。人の目には、ただの娘に見えるだろうな。安心しろ害はない」
短い説明だった。いつもの低い声で、必要以上には語らない。ルンと呼ばれたらしい少女は、すでに通路の奥へ消えていた。振り返る様子もない。まりもの言う通り、私にはただのかわいい女の子にしか見えなかった。
袋を下げて店を出る。外の空気は、まだまだ夏を残している。
「また会うかな」
「さあな。会ったとしても構わんよ」
即答だった。耳の向きが、さっきの方向をまだ測っているように見えた。
「……まりもって呼ぶな」
思い出したように低い声が返る。
ルン、という名前と、焦げ茶のリボンの記憶だけが、買い物袋の重みと一緒に残った。




