↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
26/28

まりもとお買い物

生成AI(Grok)による本文作成を行い、微調整しています。

苦手な方はご注意くださいませ。

 夕方、どうしても必要なものがあり、近所の店へ行くことにした。

 荷物を持って玄関に向かうと、まりもが低い声で言った。


「ぼくも一緒に行く」

「え? いいの?」

「一人で行かせると、また変なものを引き寄せる可能性がある。仕方なくだ」


 そう言いながらも、まりもはすでに靴を履き始めていた。淡い緑の長い髪を軽くまとめ、濃い緑の葉模様が首筋にかかっている。私にはいつものように見えているけど、他の人には彼女の姿は普通の少女に見えているらしい。

 店に入った瞬間、まりもは小さく眉を寄せた。蛍光灯の白い光と、人の話し声、カートの音が一度に流れ込んでくる。


「相変わらず、人間の世界は騒がしいな」

「ごめんね。すぐ終わるから」

「早くしろ」


 文句を言いながらも、まりもは私の隣を離れなかった。人混みを少し避けながら、黙ってついてくる。時々、照明の光をまぶしそうに目を細めている。それでも、すれ違う人々の様子をじっと観察しているのが分かった。カートを押す手、棚から商品を取る仕草、会計で並ぶ列。森とは全く違うリズムで動く人間たちを、静かに見極めているようだった。

 必要なものを棚から取っていると、隣でまりもが足を止めた。和菓子のコーナーだった。小さなあんこ餅が、きれいに並んでいる。まりもはじっとそれを見ていた。丸くて、白い生地にあんこが包まれている形が、どうやら気になったらしい。耳がわずかに前に向いていて、柔らかそうなしっぽがふらふらしていた。


「……これは何だ?」

「あんこ餅だよ。食べたことある?」

「ないな。だが、形が気になる」

「買ってみようか」

「……別に、必要ではない」

「でも、見てるけど?」

「……見ていない」


 明らかに見ている。私は笑って、あんこ餅をカゴに入れた。まりもは何も言わなかったが、耳が小さく動いたまま、素直に否定しなかった。

 会計を済ませて店を出ると、まりもは少しだけ肩の力を抜いたようだった。家に着いてから、あんこ餅を皿に出して渡す。まりもは少し警戒するように見つめたあと、小さく口に入れた。

 次の瞬間、耳がぴくりと動いた。


「……甘い」

「どう? 苦手?」

「……悪くない。いや、かなり良い」


 気に入ったらしい。もう一つ手に取り、今度は少しだけ早口で食べた。淡い緑の髪が肩に流れ、葉模様が部屋の明かりを受けて静かに揺れている。満足そうな気配が、隠しきれずに滲んでいた。


「また買ってこようか?」

「……気が向いたらな」


 少し間を置いて、まりもは短く付け加えた。


「……嫌ではない」


 あんこ餅の空になった包装を、まりもは時々ちらりと見ていた。


「なんか楽しいね、まりも」

「まりもって呼ぶな」


 低い声が返ってくる。

 でも、その声には、いつもの強さとは違う、ほんの小さな緩みが混じっていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。