無でるな……
生成AI(Grok)による本文作成を行い、微調整しています。
苦手な方はご注意くださいませ。
朝、目を覚ますと、まりもの姿がなかった。
いつものように窓辺にいるわけでもなく、ソファにもいない。リビングを見渡しても気配がない。どこへ行ったのだろうと思いながら、ぼんやりとキッチンへ向かったそのときだった。
しれっと開いていた窓から、一匹の猫が入ってきた。
「っ——」
思わず声が詰まる。突然のことに体が固まった。目の前には淡い緑の毛並みに、濃い緑の葉模様が浮かんでいる。丸くて、小さくて、でもどこか凛とした目をしている。見覚えがあった。
「……まりも?」
私の呼びかけを聞いてその猫はゆっくりとこちらを見た。否定も肯定もしない。ただ、当たり前のように部屋の中へ降り立つ。
私は少ししてからそっと近づいて、抱き上げた。突然のことだったからか猫は逃げることも出来ず、私の腕に抱かれる。軽い。温かい。普段の人の姿とは全く違う感触なのに、この子は確かにまりもだ。好奇心が抑えきれず、喉のあたりを指でそっと撫でる。
「……ふぅん」
不満そうな低い声が、喉から振動として伝わってきた。なのに、逃げようとはしない。耳がぴくぴくと動き、尻尾が小さく揺れている。私はもう一度、優しく喉を撫でた。
その瞬間だった。
まりもの体がわずかに強張ったあと、ふっと力が抜けた。次の瞬間、腕の中の感触が変わる。淡い緑の長い髪が広がり、人の姿に戻る。彼女はすぐさま距離を取ろうとしたが、まだ私の手が首筋に触れたままだった。白い首が、朝の光の中で少しだけ艶やかに見えた。
「……離せよ」
「……ごめん」
「猫の姿で触るな。気安く撫でるな」
文句を言いながらも、声にはいつもの強さが少し足りない。さっきの撫で方に、少し驚いたのかもしれない。恥ずかしさが先に立って、力が抜けてしまったのだろう。まりもは髪をかき上げて、素早く首を隠すようにした。
しばらく、部屋に沈黙が落ちた。
「えっと……どうして猫の姿だったの?」
まりもは少しだけ視線を外してから、短く答えた。
「精霊としての用事があったからだ。……すぐに戻るつもりだった」
少し間が空く。
「そしてどうして急に戻ったの?」
「……キミがあんなことをするから、力が抜けただけだ。最近は人の姿に慣れすぎてて」
「……そうなんだ」
もう一度、短い間があった。
「二度と、するなよ……」
そう言いながらも、まりもは少しだけ視線を外していた。
首を見せていたさっきの一瞬が、なぜか頭から離れない。普段の毅然とした姿とは違う、柔らかい線が残っていた。朝の光の中で、その余韻だけが静かに残っている。
「まりもって綺麗だね」
「まりもって呼ぶな、そして忘れろ」
低い声が返ってくる。
でも、その声は、朝の光の中で、ほんの少しだけ緩んでいた。




