表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
17/21

森のまもり神さま!

生成AI(Grok)による本文作成を行い、微調整しています。

苦手な方はご注意くださいませ。

 近所の山にある祠に、簡単な用があった。

 掃除を頼まれただけで、特に深い意味は考えていない。道も整備されていて、昼なら問題ないはずだった。けれど、最近になって、何かが少しずつ違っている気がする。森や山に近づくと、見えないものがこちらを見ているような気配が、以前より濃く感じられる。はっきりとは掴みきれない。ただ、空気の質が変わったような、ぼんやりとした違和感だけが残る。

 初めてまりもを見つけた場所の近くまで来たとき、背中に不快な視線を感じた。

 振り返る。

 誰もいない。

 なのに、まとわりつくような、湿った気配だけが離れない。風もないのに、足元の落ち葉が小さく動いた。


「……何だろう」


 返事はない。

 木々の間を、黒い影がすり抜けるようにちらついた。人の形をしていない。顔もないのに、明らかに「見ている」。

 気持ちが悪い。

 本能的に、足が動いた。

 振り返らずに走り出す。落ち葉を踏みつけ、枝を払い、ただその場から離れようとする。息が上がる。なのに、影は遅れを取らない。むしろ、こちらが速く走るほど、距離を詰めてくるように感じられた。

 そのときだった。


「近寄るな」


 低く、はっきりとした声が後ろからした。

 振り返ると、まりもが立っていた。

 淡い緑の長い髪が風に揺れ、濃い緑の葉模様が木漏れ日を受けて静かに光っている。普段のアパートで見るまりもとは違う。背筋が伸び、視線が鋭く、周囲の空気を自然と従えているような、守り神としての佇まいだった。余計な表情はなく、ただ凛として、そこにいる。


「ここはぼくの領域だ」


 まりもは一歩前に出ると、静かに、しかし明確に言い放った。


「その者に触れるな」


 影が止まった。まりもは手を上げ、周囲の空気を張りつめさせる。淡い緑の光がふわりと集まり、次の瞬間、それは細い矢のように真っ直ぐに放たれた。光の矢は影を射抜き、影は大きくゆがみ、嫌々というように後退した。


「消え失せろ。二度と近づくな」


 短い言葉だった。それだけで、影は木々の奥へ消えていった。残り香のような不快な気配だけが、ゆっくりと薄れていく。

 私は思わず息を吐いた。


「……助けてくれたの?」

「放っておけば面倒なことになる。仕方なくだ」


 まりもはそう言いながら、こちらを一瞥した。


「ここで何をしている」

「あ、ここの祠の掃除。……頼まれて」


 まりもは少しだけ目を細めた。


「……あの祠か」

「知ってるの?」

「当然だ。あれは、ぼくに縁のあるものだ」


 初めて知った。自分はただ掃除を頼まれただけだと思っていたのに、それがまりもの祠だったとは。


「でも……すごかった、さっきのまりも」

「忘れていたのか? ぼくは森の守り神だぞ」

「うん。知ってる」


 それでも、胸の奥が少しだけ温かかった。

 助けられた安心感だけではない。光をまとったまりもの姿が、静かに残っている。凛とした横顔が、やさしく目に映ったまま、なかなか消えてくれない。

 まりもは道の先を見て言った。


「で、用事は終わったのか。終わっていないなら、早く済ませろ。ぼくがついている間に」


 少し間を置いて、まりもは低く、少しだけ柔らかい声で続けた。でも、そこにはどこか申し訳なさを含んで。


「……キミは、ぼくと接したせいで、寄せつける体になってしまった」

「……どういうこと?」


 まりもは一瞬だけこちらを見たあと、静かに首を横に振った。


「精霊のことだ。多くを知る必要はない」


 そして、短く付け加える。


「だから、そばにいる。安心しろ」

「……わかった。ありがとう」

「礼はいい」


 まりもは先に歩き出す。淡い緑の髪が、背中で静かに揺れていた。私はその後ろを追いながら、先ほどまでの恐怖がほとんど残っていないことに気づいた。代わりに残っているのは、まりもの光と、あの短い言葉だけだった。


「助けてくれてありがとう、まりも」

「まりもって呼ぶな」


 低い声が、森の空気に溶けていく。

 いつもの抗議なのに、今日は少しだけ、ちゃんと届いた気がした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ