お酒の気配、支える精霊
生成AI(Grok)による本文作成を行い、微調整しています。
苦手な方はご注意くださいませ。
仕事から帰った私は、いつもより少しだけ強いお酒をグラスに注いだ。
今日は嫌なことが重なった日だった。口に含むと、甘い中に確かなアルコールの刺激がある。普段の弱いものとは明らかに違う。ソファに座って飲み進めると、体の芯がゆっくりと温かくなっていった。
まりもは窓辺からこちらを見ていた。淡い緑の長い髪が静かに垂れ、濃い緑の葉模様が部屋の明かりを反射している。彼女は鼻を小さく動かしたあと、低い声で言った。
「……その香りは、いつものではないな」
「少しだけ強い奴。大丈夫」
「精霊のぼくにも分かる。普通じゃない」
「本当に大丈夫だよ」
そう言いながらも、私の声は自分でも少しだけ緩んでいる気がした。グラスを置こうとして、机の端に軽く当ててしまう。まりもはそれを見て、小さく息を吐いた。
「酔っているな」
「酔ってないよ」
「酔っている。目がぼんやりしている」
まりもはソファから立ち上がり、こちらへ近づいてきた。いつもの距離より少し近くで立ち止まり、私の顔を覗き込む。緑の瞳が、心配そうに細められていた。
「……今日、ちょっと嫌なことがあって」
思わず、弱音が口から出た。仕事での小さなミス、積み重なった疲労、うまく言えない苛立ち。まとまらない言葉を、私はぽつぽつとこぼした。まりもは遮らず、否定もせず、ただ静かに聞いていた。時々、短く「そうか」とだけ返す。それだけで、不思議と胸の奥が少し軽くなった。
「横になれ。無理をするな」
「まりもが介抱してくれるの?」
「放っておけば、また何かやらかすだろう。仕方なくだ」
そう言いながら、まりもは私の肩に手を添えて、ソファに深く座らせた。力が入りにくい体を支えられると、自然と彼女の方へ傾いてしまう。淡い緑の髪が頬に触れた。森のようなやさしい香りが、いつものように近くにある。
「……近いな」
「だって、まりもが支えてくれてるから」
「ぼくは支えているだけだ。キミが寄りかかっているだけだ」
呆れたような声だった。でも、まりもは私を振り払わなかった。むしろ、少しだけ体を受け止めるように動かしている。酔った私は、その余裕に甘えてしまった。
「ねえ、まりも」
「何だ」
「今日、ちょっとだけ甘えてもいい?」
「……酔っているな、本当に」
抗議するような声なのに、拒絶する力はなかった。
私はまりもの腕に額を預けた。普段なら絶対にしない距離だ。薄い布越しに、肌の熱が直接頰に張りつく。淡い緑の長い髪が顔にかかり、一本一本の感触がはっきり分かる。生ぬるい吐息と混じった、肌そのものの匂いが鼻腔を埋めた。葉模様が私の額の動きに合わせてわずかに擦れる。
まりもは体を固くした。肩がすくみ、腕の筋肉が一瞬緊張する。次の瞬間、小さく息を吐き、力を抜いた。拒む気配が薄れ、私の重みを受け止める形になる。体温が移り、触れ合っている部分だけが熱を帯びていく。脈拍まで伝わりそうな近さだった。
耳が前へ傾き、先端がわずかに震える。尻尾の先が私の脚に触れ、すぐに離れてまた戻ってきた。抗議の声はもう出ない。ただ、近い距離のまま、互いの呼吸が同じリズムに寄っていく。肌に残る熱と、髪の感触だけが、部屋に濃く沈んでいた。
「……構わないが、あまり調子に乗るなよ」
「乗ってない。ただ、安心する」
「……馬鹿なことを言うな」
そう言いながらも、まりもは私の背中に手を回さなかっただけで、体を離しもしなかった。尻尾の先が、ソファの上でゆっくりと動いているのが見えた。満更でもない気配が、どこかから滲んでいた。
結局、私はまりもに支えられたまま、うとうとしてしまった。
途中で聞こえた低い声は、きっと「仕方ないな」という言葉だったと思う。
翌朝、先に目を覚ました私は、頭を抱えた。
まりもはいつもの低い声で言った。
「昨夜のことは、忘れろ」
「うん……ごめんねまりも」
「まりもって呼ぶな」
その声は、いつものように怒りを含みながらも、どこか穏やかだった。




