お酒の誘惑、甘えた精霊
生成AI(Grok)による本文作成を行い、微調整しています。
苦手な方はご注意くださいませ。
夜、私は小さなグラスに薄い琥珀色の液体を注いでいた。
たまに飲む、とても度数の低い甘いお酒だ。香りがは強いがアルコール感はほとんどしない。ソファに座って一口含むと、まりもが横からじっと見つめてきた。淡い緑の長い髪が肩に流れ、濃い緑の葉模様が部屋の明かりを弱く反射している。部屋の空気に、甘い香りがゆっくりと広がっていくのが分かった。
「……それは何だ」
「お酒。弱い奴だけど。一緒に飲む?」
「……精霊にとって、酒はあまり良くない。ぼくだって知っている」
「飲まない?」
「当然だ」
まりもはそう言って視線を戻したが、鼻先がわずかに動いていた。彼女は気にしないふりをしていたけれど、時々グラスの方を見ている。その視線の動きが、意外なほど素直だった。
しばらくして、私はキッチンに立った。忘れていた洗い物を済ませようと思い、少しだけお酒から目を離したのだが、すぐにリビングの方から小さな音がした。何かが動くような、短い音だった。
戻ると、まりもは私のグラスを手に持っていた。
「……まりも?」
まりもはゆっくりと顔を上げた。緑の瞳が、いつもより少しぼんやりしている。頬にはすでに薄い赤みが差し、普段の凛とした輪郭がどこか柔らかく崩れていた。
「……甘い」
「え、飲んだの?」
「一口だけだ。香りが気になっただけだ」
そう言いながらも、まりもの声は普段より低く、言葉の切れ目がわずかに遅い。弱いはずのお酒だが、精霊である彼女にはかなり強く作用したらしい。グラスをテーブルに戻す仕草も、いつもより慎重で、少しだけ不安定だった。
「ちょっと、大丈夫? お酒、良くないんでしょ?」
「ぼくは精霊だから大丈夫だ。……頭がふわふわするが」
まりもはソファに深く座り込んだ。普段なら背筋を伸ばしているのに、今夜は体がくにゃりと沈んでいる。淡い緑の髪が顔にかかり、それを払う指の動きもどこか遅い。部屋の明かりを受けて、葉模様がいつもより柔らかく揺れて見えた。
私は慌てて隣に座った。距離を取るべきか迷ったが、このまま放っておくわけにもいかなかった。
「ねぇ、どれくらい飲んだの?」
「本当に一口だ。嘘は言わない」
「でも、かなり効いてるよ」
「……効いてなどいない。ぼくはただ、少し温かいだけだ」
そう言いながら、まりもは私の方へ体を寄せてきた。肩が触れる。普段ならすぐに距離を取るのに、今夜は避けない。それどころか、もう少し近くに来る。彼女の体温が、薄い布越しに伝わってきた。
「キミの体も、温かいな」
「ね、まりも、近いよ」
「近いだと? ……嫌か?」
「い、嫌じゃないけど……」
「じゃあ、いいだろう」
まりもはそう言って、さらに身を預けてきた。淡い緑の髪が私の腕にかかり、森のようなやさしい香りが近くでする。いつもなら絶対にしないスキンシップだった。酔ったまりもは、警戒も威厳も何もかもほとんど下ろしているらしかった。その無防備さに、私は思わず息を止めた。
「……いつも、なんで『まりも』って呼ぶ」
「え?」
「嫌いだと言っているのに。何度も。何度も」
声は低く、少しだけ甘えていた。文句を言っているはずなのに、拒絶する力がない。私は戸惑いながらも、まりもの髪をそっと避けた。指先に触れた髪は、予想以上に柔らかかった。
「ごめん。つい」
「……謝るな。今は、いい」
まりもは目を細めた。普段の雰囲気が薄れ、ただ穏やかで、どこか幼い表情になっている。もはやただの女の子だ。尻尾がゆっくりと揺れていて、私の足に時々触れた。そのたびに、小さな電気が背中を走った。
「今夜だけは、許してやる」
「何を?」
「名前だ。……少しだけなら」
そう言ったあと、まりもは小さく息を吐いて、私の肩に額を預けた。完全に力が抜けている。ぽやぽやとした熱が肌を通して伝わってくる。私は動かないようにして、彼女の呼吸を感じた。規則正しくて、とても近い。
「……キミは、いなくなるなよ」
小さな声でまりもが言った。それは本当に小さくて、近くなければ聞こえないほどに。
「いなくならないよ」
「……そうか」
まりもはそれ以上何も言わず、ゆっくりと呼吸を整え始めた。酔いはまだ残っているらしく、時々私の服を指で摘まむような仕草をする。そのたびに、心臓が小さく跳ねた。普段の彼女からは想像できない、甘くて素直な仕草だった。
結局、まりもが完全に眠りに落ちるまで、私は動けなかった。
いつもと違う、ふにゃふにゃで素直なまりもを、ただ静かに見守るしかなかった。部屋の明かりを少し落とし、まりもの寝息だけが残る夜が、ゆっくりと深けていく。
翌朝、先に目を覚ましたまりもは、いつもの低い声で言った。
「……昨夜のことは、忘れるんだ」
「うん。わかったよ、まりも」
「今日はもう、まりもって呼ぶな」
抗議する声は、いつもより少しだけ照れくさそうだった。




