そよそよ扇風機と
生成AI(Grok)による本文作成を行い、微調整しています。
苦手な方はご注意くださいませ。
夏が近づいた頃、私は押し入れから扇風機を取り出した。
埃を払ってスイッチを入れると、羽根が回り始め、部屋に細い風が流れ出す。そよそよと、一定のリズムで髪を揺らす程度の、穏やかな風だ。
まりもはソファから身を乗り出して、じっとそれを見ていた。淡い緑の長い髪が風にわずかに揺れ、濃い緑の葉模様が光を反射している。
「……何だ、それは」
「扇風機。暑いときに風を出してくれるやつ」
「ほう」
まりもは立ち上がり、ゆっくりと近づいてきた。羽根の回転をじっと観察し、風が当たる位置に手をかざす。
「こんなもの、ぼくの力を使えば簡単に起こせる」
「そうなの?」
「ぼくは森の精霊だぞ。それに、森の風の方がよほど清らかだ」
そう言いながらも、まりもは扇風機の前から離れなかった。風が顔に当たるたびに、耳が小さく動き、淡い緑の髪がふわりと後ろへ流れる。まりもは少し体の向きを変えて、風が髪全体に当たるようにした。
「……だが、一定しているな。止まらないのか」
「コンセントにつないでいる限りはね」
「不思議なものだ」
まりもはそう呟くと、今度は風の向きを変えてみたり、少し離れてみたり、また近づいてみたりし始めた。まるで、この機械が出す風の性質を確かめるように。本人は「面白くなどない」と言いそうな顔をしているのに、尻尾の先がくすぐったそうに揺れている。
私は笑って、風量を一つ上げた。まりもの驚く顔がちらりと見えた。
「どう?」
「……悪くはない。ただ、ぼくが起こす風の方が上だ」
「はいはい、わかってるよ」
まりもは扇風機の前に立ち尽くしたまま、しばらく風に当たっていた。夏の気配を運ぶ、機械のそよそよとした風を、まりもは思いのほか真剣に受け止めていた。
風に乗って、部屋にまりもの香りが広がる。
「ねぇ風が来ないよ、まりも」
「まりもって呼ぶな」
低い声で抗議する。
でも、その声は風に紛れて、いつもより少しだけ柔らかかった。




