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サーヴァント・ネスト〜神の気まぐれを打ち破り、死神の鎌を折り続ける人たち  作者: 渡辺金太郎
Case-1x08 「天使が来りて笛を吹く」~ The angel cometh playing the flute
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1x08 Part 1 / 4

(みなみ)が非常に珍しく、濃紺のスーツ姿の上に白衣をまとっている。

どうやら今日は聖路都(せいろと)国際病院のERにシフトで入る日ではなく、HALO(ヘイロー)日本支局での仕事らしい。


挿絵(By みてみん)


「あー、真琴よおはよう <今聖路都に来てるんだけど、例の資料確認したらそっち行くわ>」

南がスマホで通話している。相手先はHALO日本支局の事務所のようだが、アラビア語で話している。

HALOは前身の国際的な保健機関が解体された後にできた世界的な医療関連の機関だが、日本の経済力と人口の多さとは反比例して日本人の職員は少なく、この日本支局においても10名も事務員はいない。そのため東京都庁の一室を「間借り」して事務所を構えている。日本局長はいたのだが、長いこと不在になっており、副局長の南が局長代理となっている。


「<んじゃそういうことで、急患とか来て捕まる前にとっとと出たいから、ダミーで30分後に私のスマホに電話してくれないかな?>」アラビア語で電話している南を、受付の野川(のがわ)本宮(もとみや)が不思議そうに見ている。彼女たちはアラビア語は全く理解できない。聖路都国際病院でアラビア語が母語なのは、UAE(アラブ首長国連邦)のドバイから研修医として来日しているアルサウードだけだ。


南が電話を切る。

「…」野川がじっと南を見つめる。

「…ん?どしたのモナちゃん?」

「いやー南せんせーのそういう姿はあまりみないなあと思ってさ」

「あー、そういえばそうね スカートもあんま履かないし」ぴらっとスカートの裾をめくるしぐさをするが、スーツのスカートなのでめくれるわけではない。

「そうやってるとさ、別の職業の女に見えるぜ?」

「ほう…というと…?」不思議に思った南が野川に問いただす。

「まるで…そう…女医のようだ」野川がニヤリと笑う。

「おっとそうだったか!私女医だったんだな!」てへぺろのポーズをする南だが、ハッキリ言ってまったく似合っていない。

二人で笑っている姿を、本宮は不思議な気持ちで見つめている。


(このふたり…ウマが合わないと思っていたら意外と合う…よくわかんないものねえ…)


のんびりした空気を切り裂くように、受付のディスプレイが点滅する。

即座に本宮が内容を確認する。


「解体中の廃ビルで爆発事故 負傷者10名程度…」

(どうしよう、MASCAL(大量傷病者発生)宣言しようかしら…)

MASCALが宣言されると、聖路都ERでは最優先モードに入る。受付でもその宣言をすることができるが、重い判断だ。


「んじゃそういうことで、私は事務所行くわ」と南が受付を去ろうとしている。

本宮はハッとして、身体を受付テーブルから乗り出して南を掴もうとする。

(MASCALだと南先生は絶対必要だから…!)


「あっそうそう、あれの…」と南が言いかけて振り返る。

本宮が腕を掴もうとしていたのだが、振り返ったので南の胸を触ってしまう。


「…!そいつぁ…ちょいと大胆だね梨沙(りさ)ちゃん」苦笑いするが、間違って触ったのはわかっているので、もちろん南は冗談で言っている。

「あっあのあのあのあのあのっ!ごめんなさいっ!」本宮は平謝りするが、内心で感じたことがあった。

(……もうちょっとあるかなとおもったけど…やはりスレンダータイプだわ南先生…でも感触はなかなか…じゃないわ今は!)


「そっ、それよりもですね南先生!」思い出したかのように本宮が続ける。

「うん、なに?」ニコニコしながら南が返す。悪い気はしなかったようだ。


マスカル(MASCAL)ですっ! でぃ、ディレクターの南先生は残っていただけますでしょうかっ!」


一気にしかめっ面になる南。それを隠そうともしていない。ひどい顔をしている。

「まったくもって…タイミング悪いわね…」憂さ晴らしにヒュウと口笛を鳴らそうとする南。しかしウインクやてへぺろ同様、口笛も壊滅的に下手だ。空気の音しかしない。


【ツピ!東京消防庁よりMASCALによる受入要請 解体中のビルで爆発事故 負傷者10名程度】

聞こえないふりをして耳を塞ぐ南。しかしもう遅い。

「南せんせー、もう遅えぇっつーの」野川がニヤニヤしている。

「…くぅーっ!あと5分早かったならなあ…!」

「いや、そのくらいだったらあーしが呼びに行くぜ?そして南せんせーの車のボンネットに乗って阻止する」

「…昔の刑事ドラマじゃないんだから…」


南は諦めて、ERをそのままカバーすることにする。

「じゃあ…この格好で立ち回りますかね…」

「よっ!女医!!」からかうように野川がはやしたてる。

「カッコいいですよ!南先生!」本宮もはやし立てている。

「…女医スティックで暴れまするわよ」

「…ん?」野川が不思議な顔をしている。

「女医…スティック…とは?」真顔で本宮も聞く。

「…いや、いいんだ…昔そういうエロゲがあってね…なんか説明すると恥ずかしくなってきたわ…」



バーンとER入り口のドアが開く。

サイレンの音と共にストレッチャーが次々と雪崩れ込んでくる。


「あ、この人はDOA(到着時死亡)ですね」(チェン)がストレッチャーに掛かっていたシーツを取り、少し顔をしかめつつ確認する。


昼過ぎに廃墟として放置されていた廃ビルの解体工事中、突如爆発によって多くの死傷者が出ている。

聖路都国際病院と近隣の病院に分散して搬入されている怪我人の数は、10名から15名。

その中でも現場のトリアージで重傷と判断された患者については、設備の整った聖路都に優先して搬送されている。


「プラミーちゃん、そっちはどないやった?」安蒜が別のストレッチャーに掛かる前にチェンに確認する。

「頭部が切断されて行方不明ですから、どうみても死亡です…」肩をすくめるチェン。トリアージのタグを赤まで切って黒にし、患者の足首に巻く。

「そうか…それにしては明らかな死亡者はあんまおらんな」この場は安蒜(あんびる)がERの最上位ポジションなので、責任者としてトリアージも同時にやっている。

「そうですねーあまり火力が強くなかったのかもしれませんね …こちらは左前腕解放骨折、まだ大丈夫です」

「よし、そっちは任せるでプラミーちゃん 2号使うてくれ ほれ、これ」安蒜がトリアージタグをチェンに手渡す。

「了解です安蒜先生!」チェンがトリアージタグを黄色までをもぎ取って白衣のポケットに入れ、赤にしたトリアージタグを患者の手首に巻く。


「2号が腕の解放骨折、3号が2度の火傷と腕の裂傷、4号が全身火傷、あと外傷は1つだけです!」本宮が慌てながらも受付としてコントロールしている。最初はおっかなびっくりだった本宮だが、明日を境に産休に入る佐々木(ささき)のピンチヒッターとして、この1か月少しはトレーニングしながらも受付業務をこなしている。

「カーテンエリアはどうだ、梨沙ちゃん?」2号に入る前に塚本(つかもと)が本宮に確認する。

「カーテン1、3,5号に軽症者でトータル3名、すべて1度から2度の火傷で比較的軽傷です キャパとしてはこれでいっぱいいっぱいです!」


まだ施設的にも人員的にも余裕はあるのだが、常にリソースを全開で使うと、不測の事態には対処できない。

したがって「バスタブの湯があふれるかあふれないか」の瀬戸際ではなく、「人が入ってもあふれない」ところでとどめるようなバスタブの湯量でなくてはならない。


外傷3号では、いやいやながら入っている南と、塚本が患者を担当している。

「よし、血算、生化学、血液型とクロスマッチ4単位準備 頸椎四方向の写真 毒物検査」塚本がオーダーを出す。

「いるかな?毒物検査?」南が訝しがる。

「何が爆発したかによって変わってきませんかね?アネゴ」

「…は?塚本あんた今なんつった?」アネゴ呼びされるのはあまり気に入らないと明言していた南がいきなりトップギアに入る。もともと予定ではなかった今日のER勤務だったから少々不愉快…というのもある。


「しまった」うっかり言ってしまった塚本。

「今度あんたが冷蔵庫に入れてるおやつになんらかの薬物入れとくぞ?」

「ちょ…なんらかのって、明かされない方が怖いんすけど!!」本気でビビる塚本。南ならやりかねないと思っていたからだ。

「…あー冗談よ…もういいよアネゴで…」呆れて南が折れる。

「それと毒物検査のオーダー、お前さんの言う通りにやってみよう……確かに、今回の現場は妙に煤の匂いが……『甘い』気がする」

「……じゃあただのガス漏れとかじゃないと?」

「うん…私の勘だけど、この現場にはもっと厄介な『化学物質』が混ざり込んでたわ」

「やっぱり……ですよねアネg…南隊長」

「…なんか腹立つからやっぱアネゴでいいわ」

「つーか気になってたんすけど…何で今日はその格好?」塚本が今更聞いてくる。

「これは…敵前逃亡失敗」うんざりしながら南がつぶやく。


南は確認のためにルナに判断を急がせる。

「ルナ、検査結果が途中でもいい、爆発物に関する部分のみ抽出して早期結果報告することは可能か?」

【ツピ!可能です 通常のLNGではなく純粋なメタンガス、もしくはLPGの可能性があります メルカプタンが検出限界以下です】

「あー、じゃあ都市ガスじゃないねこれ」南が即答する。

「匂いが付けられてないってことですかね」塚本もER医師なので、危険物全般の知識は持っている。

「そうだね…患者は爆発で吹き飛ばされてるから首と頭を確認したかったけど…」

「アネゴ、3号にもシヴァームがありやすぜ?」

「おっとそうだった…ルナ、シヴァームに四方向撮影可能なX線撮影ユニット付けて展開せよ 頸椎を撮影する」

【ツピ!シヴァーム展開 X線撮影ユニットを使用 12秒で撮影可能です】


「…ちょっと速くなってるね」

「アネゴが優雅にバカンス中、アップデートされたみたいです」

「あーあれバカンスじゃなかったんだよ…途中で院長に呼ばれてね…フランスにね…」

「なんすかそれ?ツートップでフランスを攻めにでも行ったんですか?」

「攻めねーよ!勝手にバケモンの片割れにすんな!ドクターヘリの件よ」

間を埋める会話すらも短くされるように、シヴァームの展開速度は確かに速くなっている。

塚本が撮影ヘッドを手動で動かし、四方向用のリングを開き、患者の頸椎を180度カバーする。裏側はカールコードで繋がれたもう片方の半円の撮影ヘッドを、処置台下にある電磁マグネットに固定する。


「ではいつものお決まりの……X線撮影のため、妊娠、またはその可能性のある方は申し出てください」塚本が言うが、南だけなのでまともな答えは期待していない。果たして、

「あるわけなし」と南がそっけなく言う。


「ルナ、ユニット設置完了 直ちに撮影してくれ 計算できないから線量はオートで頼むぜ」塚本が放射線量の計算を放棄しているのではなく、ルナが計算する方がはるかに効率的で効果的、正確だからである。

【ツピ! 実効線量8.0μSvでX線撮影します 放射線防護ロール展開確認 5秒カウントダウン後ゼロで撮影 警告 医療関係者はさがれ ユニットから30センチ以内には近寄るな ご、よん、さん】


いつもの通りルナが命令口調で安全を促す。


【ぜろ 撮影終了 空間被曝量0.1μSv/h以下 映像は5秒後に確認可能です】

「サンキュールナちゃん」

「なんかすべての処理が速くなってるね」

「ま、俺は速くなる分には文句はねえですわ」

「そりゃそうだわ」


患者が意識を回復しつつある。そして途切れ途切れに言葉を発する。

「…すいません…責任者のかた…いらっしゃいますか…」

「気管をやけどしている可能性があるので、あまり喋らないでくださいね」南があわてて答える。

「…刑事告発したい…会社を…こんなのは許されない…」

「…よしわかりました、責任者と代わりますから、あまり喋らないで…塚本先生、ちょっと観てあげててね」南が外傷4号にいるはずの安蒜を呼びにいく。

本来ならマイクで呼んでもいいが、ここから先は証拠保全と機密保持が重要だ。安蒜と協議してルナを証拠保全モードにするまでは、大きくは騒がない。



外傷4号では安蒜と長妻が全身火傷を見ている…が、思ったよりも症状は破滅的だった。


「安蒜…ちょっと」南が外傷4号の扉から安蒜を呼ぶ。

「なんや南、こっちは…もうアカンでこれ」ドアのところまで安蒜が歩いてくる。もう打つ手がないのだろう。

ホイッスルブロアー(公益通報者)」一言だけ南が言う。

「っ…そうか、3号やな?」

「そう、3号の患者は現場監督らしい 今は安蒜、お前さんが責任者だからね」

「わかった…代わってもらってもええかここ?もう死亡宣告しかないんやけどな」

「了解、もしデュアル・コントロール・プリンシパルが必要なら呼んで うち(HALO)は国際機関だから」

「最強の拳やな」

「あんまあてにならない拳だけどね…」

「じゃあ3号行くわ」

「よろしく」


小声で話をしていたが、長妻にはどうやらわかったようだ。

「…内部告発者?」長妻がサラッと聞く。

「うん…多分現場監督が本社から無理やり工事やれって言われたとか…そんなとこでしょうね」

「最近はあんまりなかったけど、いまだにこんなブラック企業があるんだね…驚きだわ」長妻がうんざりしながら言う。

「そうね…そして…この患者はどうかな?」南は見た瞬間にこれはダメだ…と思ったが、一応長妻に聞いている。

「全身熱傷、体表面積熱傷面積(T B S A)95%以上、一部は炭化、バイタルはもう測れない」

【ツピ!徐脈警報 心拍30以下 血圧測定不能 酸素飽和度測定不能 ツピ!心停止】


「…んー、まいった 何もすることができない」ベテランの長妻も頭を抱える。

「よし、死亡宣告するわ ルナ、現時刻を確認せよ」

【ツピ!現時刻13時57分】


「死亡時刻は13時57分 家族には知らせているのかな?」

「会社から連絡行ってるとは思うけど…」長妻も視線を落とす。



スーツ姿の中年の男2人がER受付に入ってくる。

片方は30代初め、もう片方は50代中盤だろうか。

30代の男が受付の野川に横柄な態度で尋ねる。


「おい、さっきの事故の作業員はどこにいるんだ?」

野川はIDカードの写真の部分に親指を当てて、あきらかにイラっとしながら無視している。


「おいお前!聞いてんのか!」

「人にものを訪ねるときの態度ってのを知らねえのかおっさん?」

「なっ…!貴様!貴様じゃ話にならん!上司を呼べ上司を!」

「お前テンプレすぎだろ…それより要件を言え、見ての通り忙しい」野川は本当に忙しそうだ。

「上司を!呼べと!言ってるんだ!」

「いねえよ つーか呼ぶ義務が無ねからなあー あ、あーし休憩入るんで」すっとぼけて受付を後にしようとする。

「なんだお前は?偉そうにしやがってこのアバズレが!」30男がキレかかっている。

しかし逆にアバズレ…という度を越した言葉を聞き、野川の瞳に殺意が宿る。

「…………………………やめた、お前をぶちのめしたところで、損するだけだからな」鼻で笑いながら受付を去る。


「ほい、私は上司ではないが…お話を伺いましょうか?」入れ替わりでささっと(しま)がやってくる。

「なんだ上司じゃねえのか…おいおっさん、さっきの事故の作業員と話をしたいんだよ、とっとと居場所教えろ」

「……はい?なんて?」島が耳が悪そうなふりをして耳に手を当てる。

「作業員の居場所を教えろって言ってんだよジジイ!」

「…居酒屋は向かいのビルにありますけど?夕方4時からですが?」わざとすっとぼける島。もちろん島が悪いのは腰だけであり、耳はいたって正常だ。

その大きい声を聞きつけ、安蒜が受付にやってくる。


「私が診療「部長」ですが、何か?」安蒜がわざとらしい標準語で男2人と対峙する。ついでにと言ってはなんだが、肩書も詐称している。詐称している上位の肩書を口にして、安蒜は心が躍っている。

「お前か、なんだ今の奴らは?」初めて50代の男が口をはさむ

「まずお名前とお勤め先を伺っても?」安蒜が質問には答えずに質問で返す。

「私はプレシジョン建設の常務取締役、嵯伊田(さいた)だ 現場監督が運ばれているはずなので会って話をしたい」

「お会いできません」食い気味に安蒜が答える。

「は?」恫喝するように嵯伊田が答える。

「いえ、ですから今は治療中ですので」涼しい顔で安蒜が答えて、さらに続ける。

「この件は翡翠橋(ひすいばし)警察署より刑事が来るはずですので、そちらとお話しください では」

「なんだと貴様…!」とさらに恫喝するが、安蒜が本宮に向かって

「ああ君、警備を呼んでくれたまえ」わざとらしい丁寧な言葉で本宮に話す。

「いえ「部長」、既に呼んでいますっ!」本宮は、野川と男2人が話している間に、既にルナ経由で警備を呼んでいた。


30男はハッと気が付いた。

こいつらの名札、表紙がすべてマスクされている……

さっきのケバい女も、デブのジジイも、この背の高い男も、そして後ろにいた気の弱そうな女も…全員だ。

断固として情報は与えない。徹底した対応に戦慄する。


聖路都のIDカードは、HALO組のも含めて表面が電子ペーパーでコーティングされている。

写真の部分を1秒ほど押すと、写真、名前、所属、肩書き、IDナンバー、QRコードのすべてが電子ペーパーのインクでマスクされる。

また1秒ほど押すと復帰するので、このようなモンペに対しては極めて有効だ。

バッテリは内部に超小型のリチウムポリマ電池が入っているが、QRコード部分がソーラパネルになっており、ほぼ半永久的に使用できる。そして電子ペーパーの消費電力は極めて小さい。


そしてほどなく、屈強な…190センチはあろうかといういかつい警備員2名が降りてくる。

H&Kのサブマシンガン(MP5KA5)を携行している。

この時代は、警備業務であれば厳しい検査をパスした者と施設にのみサブマシンガンの携行が許可されている。


サブマシンガンを見てもっと戦慄する二人のスーツ姿の男たち。

そして翡翠橋警察署の築城ついきと、もう一人の男性の刑事がやってくる。

「公益通報者保護法に基づき、当該事故の関連人物はすべて法的に保護されます お話は署で伺いますので、どうぞこちらに」

あくまで築城は笑顔で丁寧に接しているが、事実上の事情聴取に等しい。

築城は女性らしく優しい笑顔を…!と練習しているものの、いつも「なんとなく殺意が入った笑顔だ」と同僚に言われている。

そして案内する方向には数名の刑事と、パトランプを回したままのパトカーが待機していた。

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