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サーヴァント・ネスト〜神の気まぐれを打ち破り、死神の鎌を折り続ける人たち  作者: 渡辺金太郎
Case-1x05 「心臓を止めるな!」~ One heart of the Dead
22/26

1x05 Part 4 / 4

東京駅八重洲口。


翡翠橋署のパトカーが1台、臓器移植用緊急輸送車が1台、既に赤色灯を回して八重洲口前のバス乗り場の前に待機している。

エレベータや通路は、既に専用のレーンが引かれ、ロープによって一般乗客の立ち入りを禁止している。

「ライフ・レーン」と呼ばれているその通路は、このような事態のために用意されている。


「よーし5分前だ、岩国(いわくに)、準備だ」三沢(みさわ)がバディの岩国に伝える。

「了解です部長…私はこういうのは初めてなんですけど…部長は?」不安げに三沢に尋ねる。

「…何回かあるけど、時間帯が違ってたからな…」三沢もどこか不安を覚えているのだろうか。

「途中の道はすべて信号青なんですよね?」

「そうだね…今のところは私たちのパトと輸送車に合わせて変える…という事になっている」

「それにしても、輸送車も赤色灯ついてますよね?なのにパトカーが先導するんですか?」

「うん…民間車両が赤色灯回してても道を譲らない…ってのがあるからね」心底いやな顔をする三沢。

「バカはどこにでもいますね…」


動きがある。臓器移植ネットワークの職員がダッフルバッグを抱えて出口に向かってくる。


「よし飛ばすよ岩国」三沢が改めてシートベルトを確認する。

「もう余裕っす」岩国がサイレンのスイッチを入れる。


コーディネータが臓器移植用緊急輸送車に改造されたスバル・レヴォーグの助手席のドアを開け乗り込み、ドアを閉じる。


刹那、三沢は220系クラウンアスリートのアクセルを床まで踏み込む。

3.5リッターのV6が咆哮を上げ、359馬力のハイパワーを路面にくれる。

次の瞬間、レヴォーグもロケットのように飛び出してくるのが三沢の目に留まる。


2台の緊急車両が、八重洲の交差点をぶっ飛ばす。



聖路都国際病院ER。

早苗を乗せた救急車が到着する。救急隊員の栗林(くりばやし)が申し送りをする。

「20歳女性、VAD使用中に静電気による誤動作で昏倒、心拍40の徐脈、血圧40の下は測れません…SpO2は80% グラスゴースケールは3」

「……もうこれは…」北条が絶句する。

「ずっとCPRしていましたから…もっているようなもので…」山下がずっと胸骨圧迫していたのだろう。大柄な男性で体力には自信がありそうだが、すでに汗びっしょりだ。

「まだわかりません!4号に入れます!」酒井がストレッチャーをひったくるように押し始める。

「VADフローは……ゼロ……」南が何かを悟ったような顔をする。

「南先生!来るんですか!来ないんですか!」酒井が急かす。

「わかった…行くよ」

「…ねえ、理乃ちゃん…ちょっと入れ込み過ぎじゃないかな…」北条が心配になって南に囁く。

「そうだな……でも仕方がない…」南が外傷4号に向かう。


「よしECMOのカニューレを入れる 穿刺準備 酒井、お前さんは右の鼠径部に、私は左に入れる」

「今やってます!」何もしていないのにやっていますと復唱している。酒井がいちいち口答えをしてくる。相当焦っているようだ。

「酒井、落ち着こう 焦ってもなんにもならないよ」南が諭すが、酒井は何も反応しない。


(ああ南先生ごめんなさいごめんなさい…南先生こんなに優しいのに…でももう心に余裕がありません…ほんとごめんなさい…)


酒井は心の中で泣いている。


「酒井は右大腿静脈に静脈穿刺で脱血管用、私は左大腿動脈に動脈穿刺で送血管用 ルナ手順確認せよ」

【ツピ!問題ありません】


「テジョン、ECMOのチェックと起動準備、モニタを頼むわ」

「了解っす南先生 プライミングは既にやってるっす」

「さすがだ軍医殿」

「…入った、静脈にバックあります!」酒井が告げる。18ゲージのニードルから暗い色の血が逆流する。

「よし…左も…動脈捉えた…ガイドワイヤー入れる テジョン、ダブルチェックしてヘパリン投与」

「5000でフラッシュするっす ルナ、ヘパリン5000、ルートからフラッシュっす」

【ツピ!ヘパリン5000単位、フラッシュします】


「静脈も…ガイドワイヤー入れました…」酒井があっさりダイレーターをねじ込む。

「脱血管はOK?酒井確認して」

「固定完了、状態良好です いきましょう!」

負けるもんか、負けるもんか…と酒井は心の中で唱え続ける。


「ECMOプライミング完了っす、いつでも行けるっす」

「よし、ウェット・トゥ・ウェットで行こう ルナ、時刻記録」

【ツピ!ECMO結合準備 時刻15時39分】


「よしテジョン、回して」

「うっす、起動!」遠心ポンプのタッチパネルを一気に上方向に押し上げる。

シュゥゥゥゥゥ…という高周波の駆動音が響き渡る。


「ルナ、ダブルチェックするのでECMO数値読み上げ頼むっす」

【ツピ!回転数500から上昇中、流量2.5リッター毎秒からさらに増大中 1000回転、4.0リッター毎秒で安定 血圧72mmHG】


「よし…これで安定と見做す…テジョン、酒井、どう?」南が自分が勘違いしないようにとの理由で二人に確認する。


「安定っす」テジョンが即答する。

「循環確立です」酒井も即答する。

「よし…山ちゃんお疲れだったね、ありがとう」

山本がぐったりとしながらCPRを止める。

「…それでは私はここで…」心底疲れ果てている山本が外傷4号を出る。


山本がフラフラと退出した直後、ルナが警告を出す。

【ツピ!酸素飽和度低下 SpO2、60%を切ります 警告、酸素飽和度限界値】


(いきなり60%…ダメだったか…)と口走りそうになるが、南は酒井を見ながらぐっと台詞を飲み込む。


「どうして…ECMOが動いているのに…」酒井が愕然とする。

そして早苗の上半身と下半身の肌の色が、みるみるうちに変わっていく。

「…ハーレクイン症候群よ…ECMOは血液を循環させているけど、上半身と下半身で心臓を境にして違う血流が出ている…もうダメだ…」南がつぶやく。

「これがハーレクイン症候群…っすか…見たことなかったっす…」朴も唖然とする。


【ツピ!酸素飽和度30%を切ります ツピ!警告 心停止】


「…!エピを!心マもやります!!」酒井が涙目で南に訴える。

「酒井…これはエピも心マも効果ないんだよ…無意味なんだ…」

「無意味?無意味ってなんですか!効果がないってなんですか!冗談じゃない、私やりますよ、ルナ!エピを2アンプル急速投与!」


【ツピ!現在の状況でエピネフリン投与は脳死を早める要因となりえるため、命令は拒否します ER部長、診療副部長、HALOディレクター、いずれかの承認が必要です】


危険で不可逆なリクエストがあった場合、ルナは要求を拒否できるように設計されている。

あえてこれを外せるのは、北条、安蒜、そして南だけである。


「南先生!お願いします!こんなことって…ひどすぎます!」酒井が泣きはじめる。

南はゆっくりと、悲しそうに首を横にゆっくりと降る。


「っ…!もういい!私がやる!」酒井はおもむろに早苗の上にまたがり、心マを始める。


「…酒井…もうやめよう…楽にさせてあげようよ…」

「…理乃ちゃん…もうやめるっす…俺もう見てらんないっす…」

酒井は聞く耳を持たない。

早苗の声が聞こえてくる。


『これがねーいつまでたっても慣れませんね』


「ルナ!ヴァイタル!読み上げろっての!なにやってんだよ!!」だんだん酒井は涙声になってくる。

ルナは反応しない。


『こんなコードみたいなのがおなかから出てる子を誰が彼女にしようと思いますか?』


「こんなこと…こんなことが許されていいわけがないだろう!ルナ!おい!!」酒井が乱暴な声を上げる。


挿絵(By みてみん)


【ツピ!心停止後4分経過、脳波測定不能】


「こんなこと……こんなこと…ッ!」酒井は心マをやめない。


『はい、それではまた、先生!』


「酒井先生」南が酒井の肩に手を置くが、振りほどかれる。



「主治医は私だ!手伝わないのならここから出て行け!!!」






































「理乃!!!!」


ハッとして酒井の手が止まる。周りを見渡す。

南が苦しそうな顔で立っている。入ってきた北条も悲痛な表情を浮かべている。

朴が目を伏せて酒井に近づき、ポンと肩を叩いて外傷4号を出ていく。


「…死亡宣告、私がやろうか?」南がポツリと言う。


「い、いえ……ルナ、げ、現時刻を…」


【ツピ!15時59分です】


「し……死亡…時刻は……じゅっ……じゅうごじ…ご、ごじゅうきゅうふん…」その場で崩れ落ちる酒井。


『酒井先生、ごめん でもありがとう』


【ツピ!臓器輸送車到着 時刻16時00分】


外傷4号の外でガッとゴミ箱を蹴り上げる音がする。

シッパル(씨발)!!」朴の罵声が聞こえる。



「えっ、じゃ、じゃあ、この心臓は無駄になったってことですか!?」驚いて岩国が言う。

「そうね…移植先の第2候補は木更津…ヘリが使えない以上絶対に間に合わない…」南が残念そうに告げる。


「そんなのひどいじゃないですか!なんで途中で言ってくれないんですか!」

「40分前まではまだ可能性があった!そんなの言えるか!」

「でも…そんな…そんな…」岩国が泣きだす。

「…仕方がない岩国…南先生、すいません」三沢も悲しそうだが、岩国を慰める。

「……ごめん…岩国巡査…三沢巡査部長も…ごめん」

「…いえ…こういうことは起こりえます 何度か私も遭遇しました…誰も悪くありません…だからやり切れません…」移植コーディネータの女性が残念そうにうつ向く。


「…私が不採用通知書作ろうか?」北条が伏し目がちに南に聞く。

「…いや、ここにいた責任者は私だから…私が作る ルナ、当該通知書をドラフトせよ 以下口述する」


【ツピ!口述準備完了 どうぞ】

『理由『レシピエントの不可逆的脳損傷による死亡』 提供施設、栃木県下野市私立南野記念医科大学附属病院 虚血許容時間、超過確定……破棄承認』


【ツピ!了解しました 不採用報告書を作成しました HALOの南真琴(みなみまこと)先生、HALOの酒井理乃(さかいりの)先生、聖路都国際病院ER部長の北条結衣(ほうじょうゆい)先生、電子署名をお願いします】

いわゆる書類に捺印する「印鑑」や「サイン」は、既に電子署名という形でルナが管理しているため、声紋によるチェックだけで署名したことになる。


「世界保健連盟 日本支局 局長代理 南真琴 承認」

「私立聖路都国際病院 ER部長 北条結衣 承認」

「…世界保健連盟 後期研修医 酒井理乃………しょ…承認」


「…あとはこちらで書類は処理します…臓器は貴院による処分・破棄を認めます…みなさん…お疲れ様でした…」深々と頭を下げるコーディネータ。



院長室兼理事長室。


勅使河原(てしがわら)が苦々しい顔でモニタを見ていた。ドナーの出現の連絡があってからは、ずっと推移を見守っていたが……

怒りのストレートがモニタを突き破る。裏側まで完全に貫通し、基板もパネルも粉々になる。


「……我慢ならねえ……」



夕闇迫るERの出口。そのすぐ横に加熱式しか認められていない喫煙所がある。といっても関係者なら誰もが入ってこられる半屋外の休憩所のようなものだ。

そこの芝生で、体育座りをして膝を抱えている酒井がいた。


南がタバコを吸いに来る。

タバコを吸いに来たのもそうだが、南は酒井を探していた。


「酒井」

「…南先生…」


「…ここ、いいかい?」持ってきたミニッツメイドのアップルの缶を酒井に手渡し、酒井の隣にあぐらをかいて座る。南は、酒井が牛乳の次にアップルジュースが好きなことを知っていた。

「…ありがとうございます……すいませんでした…」と言った後にまた顔を伏せる。


「んーどれのこと?歳なんでよく覚えてないんだけど」南がとぼける。

「私、あんなひどいことを南先生に言うなんて…なんてひどいことを…本当にごめんなさい」また涙声になる酒井。


「あー…もういいよあれは 私もよくやったよ若い時はね」

「なんとなく…想像できます」力なく少しだけ酒井が笑う。


「お前さんなんかかわいいもんさ 私、一回除細動器を投げつけたことがある…イスラエルでね」

「…は??あんな重いものをですか?」少し酒井が呆れる。


「……北条先生が心配してた…福岡先生も、ビルもよ…入れ込み過ぎなんじゃないかってね」南がカシュっとコカ・コーラの缶を開け、一口飲む。

「…私…クビですかね…聖路都もHALOも…」

「ちょっと、冗談言っちゃいけないよ、こんなのでクビだったら、私はもう何十回もクビになってらあ」自分の首の前で何度も手のひらを水平に往復させる。

「ふふっ…そうですね」


「酒井、一応お前さんは私の部下という事にはなってるが、あまり偉そうなことは言えない しかしこれだけは言える」

「…はい?」


南が酒井に向きなおし話す。

「乗り越えろとは言わない 忘れろとも言わない 泣くなとも言わない しかし、引きずるな」

「…!」

「この経験を次に生かせ 歩みを止めるな 酒井理乃」


酒井の心の中に衝撃が走る。

「……ですね…引きずるな、とは、うちの父も母も亡くなる前に言っていました でないと心が壊れてしまうと」

「そうか…立派なご両親だったんだね」少し微笑んで南が続ける。

「これはね…旧約聖書にあるんだけど、「医者よ、おのれ自身を癒せ」…ってね」

「…なるほど…」ミニッツメイドの缶を酒井は開けて、一口飲む。

「ま、私は無宗教だけどな」南がニヤリと笑う。


「…ありがとうございます…まっ…真琴さん…」赤くなりながら酒井がポツリとつぶやく。

「えっなんでファーストネーム?」南が珍しくわずかに動揺しつつ答える。

「さっき私のことを理乃と呼んだじゃないですか 普段は酒井呼びなのに」

「え、あーそうだっけか?…そうか…そうだよね」

「そうですよ…」


「……」


何か意を決して南が続ける。


「理乃…あのさ、これは私が信用できると思った人間には順次言ってるんだけど」

「え…えっ、はい…」いきなり理乃呼びされた酒井は少し驚く。


「私さ、レズビアンなんだ」

「…えっ、あ、はい…」


「…それだけか…最近はあんまり驚かれないんだよな…」南が肩をすくめて少し笑う。

「そっ、そうですね…今はそれほど特別なことでもないから…」

「でも当事者にとっては気にするところなんだよ だから私は大っぴらには言わないけど…絶対の信頼がおけると思った人には、その時点で個別にカミングアウトしている」

「…ありがとうございます、私を信用できると南先生が感じてくれたんですね」嬉しそうに酒井が言う。

「そうさ、だからこれからは私のことをファーストネームで呼んでもいいよ、理乃」


「ま、ま、まこ、まこ、真琴先生」

「おいおい、どうにも硬いな」

「しかし私はその…多分ストレートというか…」今朝の夢を思い出さなかったわけではないが、酒井が顔を伏せて続ける。

「あー、それとこれとは別だよ理乃 心配するなよ…私がいくら適当でもね…そこはね」

「…そんなものなのですか?」

「そんなものだよ 男が全部君に言い寄る…なんてこたないだろ?それと同じさ 男女間の恋愛と何ら変わらないよ」

「なっ…なるほど…」酒井はなんか不愉快な気持ちになる自分を自覚していた。


「だから…これまで通り変わらず接してくれると嬉しい」

「もちろんです!」酒井が晴れやかな顔で笑う。


挿絵(By みてみん)


「ありがとう…だからこの仕事…私たちしかできないことをやろう、適当な私でもそれは言える」



「…ボスは適当だけど、そのへんはね」オニールもやってきて、酒井の隣に同じようにあぐらをかいて座る。

「そうね…適当でもやれるってことよ…ね」北条がやってくる。北条は近くにある椅子を引き寄せて座る。

「いろいろあるよ、この商売はねえ」福岡が咲月と一緒に帰り支度をしており、そのまま椅子に座る。咲月はにっこり笑って立っている。


「み…みなさん」感動して泣きそうになる酒井だったが…それをすべてぶち壊す人物がやってくる。


「おーお前ら、やっぱここだったかあー!」勅使河原である。皆の前に仁王立ちする。

「院長…あの今日は…」北条がまず口を開くが、勅使河原がそれを遮って話をする。

「んー?北条、アタシがあんたたちを怒りに来たとでも思っているのかい?」ニヤっと笑い勅使河原が続ける。


「今日の一件、あんたたちに責任はねえよ…あんたたちは立派にやったさ…ヘリがあればタイムラインも変えられたかもしれねえ…静電気の事故も起こらなかったかもしれねえ…こんなマネは二度とさせねえよ」


「院長…あんた何言ってるの?」これまでのいきさつから、南だけは勅使河原にタメ口をきく。


「…ドクターヘリな、うちが買うわ」


「…は??」皆が口を揃える。


「東京都下の私立病院10個くらいと提携してな、ハナシは全部付けた…で、レヴァントゥルールで製造中のヘリを1機買って、ついでにパイロットも整備士も買って、うちが払うのさ そしてそれを提携病院間で回す 提携外でも基本的に貸す 燃料代くらいのゼニは東京都からむしり取る」


「あのぉ、ちょっと話が見えないんですがあ…院長先生…」

「つ・ま・り・だ!こんな思いをアンタたちにはもうさせねえってことよ レヴァントゥルールには貸しがあるんだよアタシはね」

レヴァントゥルール(L’Éventreur)は、フランスのボルドーに本社がある航空機メーカーだ。革新的な技術で世界市場に食い込みつつある。

「まったくあんたは外で何をしてるんだか…で、何買うんですか院長 レヴァントゥルールならドラゴンですか?」南がドクターヘリでは定番の機種、ドラゴンの名前を出して聞く。

「おおう、ヘリで死にかけたお前はさすが詳しいよな南…ZERO(ゼロ)とかいうヤツのドクターヘリ仕様さ!」勅使河原がまだデリバリー前の新型機の名前を口にする。

「………は?ゼロって…何言ってんの?」

ZEROは、レヴァントゥルールが市場に送り出す予定の最新鋭の軍用ヘリコプターだが…まだ試験中のものだ。

「おおーう、さすが南だな、お前知ってたのか?」

「あれは…院長…とんでもない代物で…軍用なんだけど…よくもまあそんなものを…カネはどうするの?」と南が当然の話をする。

「ああーん?そんなもんアタシのポケットマネーから出しとくぜ ま、新型機の評価という事で借りるという名目だがな」

「なるほど筋は通るけど…」

「そしてここからが重要なんだがな」ドヤ顔しだす勅使河原。あーロクなこと言わないぞこれ、と南が思う。


「借りパクするけどな!ヒャッハー!」

全員が唖然とする。颯爽と勅使河原は去っていく。

てっしー(勅使河原院長)ちょうカッコいいー…」咲月がぽかーんとしている。


「…と、とりあえず上がり組でご飯食べて帰らない?」なんだかよくわかってない北条が提案する。

「そうねぇ、気分転換は必要ねえ…咲月、何食べたい?」夕飯の支度をしなくて良くなるので、福岡は是非とも食べて帰りたいと思っている。

「ステーキ!」即答する咲月。育ち盛りの食べ盛りだ。

「重いな…元気だね…ベイビーちゃん…」

「よし賛成だ クルマで分乗して行こう ビルは私の車(かなり古いシビック)に乗せる」

「<ボス、あんなバンガー(オンボロ車)に俺を乗せようとか、よく恥ずかしくないものだね>」

「<あっそ、じゃああんたは走ってきな>」

「<おっとそいつはカンベンして欲しいね、真琴>」

「<呼び捨てすんな>」

「<はいはい…>」

「じゃあ結衣、お前さんは理乃のサンバーに乗せてもらいなよ」

「そうするわ お願いね理乃ちゃん」北海道での研修医時代、ホンダのスーパーカブ110にスパイクタイヤを履いて駆けずり回っていた北条には、スパルタンな乗り物には抵抗感はない。

「あっ、ぜんぜんいいですよ北条部長!私のサンバーくんに、ぜひぜひ!」

「いや…北条を乗せるのはサンバー…の荷台」ニヤリとする南。

「……あなたほんと性格悪いわね…」半分マジギレする北条。


悲しみはあるけど、引きずってはいけない。

これはお父さんもお母さんも言っていたこと。

これを守ろうと酒井は感じた。


そしてもう一つ感じたことがある。


(…これはどうなのかわからないなあ…とりあえず保留…)



TUNE INTO THE NEXT

SAME SERVANT NEST

SAME ST. ROAT EMERGENCY ROOM


挿絵(By みてみん)

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