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第13話〜紫姫、夜郎自大に振舞いて〜


今日もいいお天気ね。


朝支度を済ませて馬車に乗った私は、王宮に向けて出発した。


ああ、楽しみ。王妃教育って一体なにをするのかしら。


私はワクワクが止まらなくて、早く王宮に着かないかしらとソワソワした。


王妃教育って結構厳しいみたいだけど…でも私、公爵家の娘としてきちんと教育を受けているもの。どうってことないわ。


それより…結婚式にはどんなドレスを着ましょう。白は私の紫髪紫目がきっと映えるわ。後は、やっぱり紫かしら。でもピンクも捨てがたいわ!チュールをいっぱい付けて、マギア産の宝石もいっぱい散りばめて…私だけのドレスを作ってもらわなきゃ。


なんて考えているうちに、王宮に着いたみたい。


私は急いでアレクシス様の執務室に向かったわ。


「アレクシス様!エリザベートが来ましたわ!」


そう言ってお部屋に入ると、そこにはアレクシス様と…7人の知らないお方たち。


「やあ、おはようエリザベート。」


にっこり笑顔のアレクシス様。


「こちら、王妃教育のために国中から集められた講師たちだよ。今日からエリザベートの王妃教育を担当してくれる。」


すると、1番左側にいた背の高い方から


「内政・地政学を担当します、メーティス・デルフィンです。」


次に、お顔が小さくて若い方が


「舞踊担当のケフィー・パルセノスよ。よろしくね。」


眼鏡をかけて背が小さい方が


「音楽のフォネ・リーラと申します。」


そして


「…ディナトス・ドゥラーコンだ。護身術を教える。」


大きくて強そう…見たことあるお方だわ。


「クローマ・オクリーヴァスです。絵画を担当させていただきます。」


もじゃもじゃ頭のおじいさま。


「馬術の、グリゴロス・イパーリオンです。」


少し優しげな顔立ちの方だわ。


「ディディミ・コンプソンです。マナーと外国語を。」


とっても厳しそうな方…メイド長みたい…。


って…急に一度に言われても覚えられないわよ…!


混乱している私を見て、微笑み続けるアレクシス様。


「それじゃあ皆んな、よろしく頼んだよ。」


「「「「「「「承知しました。アレクシス様。」」」」」」」


7人の講師たちは、まだ混乱している私を連れて部屋を出た。














「―――此方が、本日からエリザベート様がお住まいになるお部屋です。」


メイド長似の夫人に、ある一室に通された私。


「何よここ…随分と質素なお部屋じゃない。」


そこは、召使いたちにとってはいいお部屋…といった感じのお部屋で、清潔だけれど机と椅子、そしてベッドだけというとてもシンプルなお部屋。


「住み込みなんて聞いていないわ!それにお姉様は家から通っていたわよ!!」


私がメイド長似の夫人に詰め寄ると


「フィーリア様も初めの1週間は住み込みで教育を受けていらっしゃいましたよ。…まあ、フィーリア様の場合、優秀でしたのでその後はお通い頂くようになったのですが。基本は住み込みで王妃教育を受けていただくことになっております。」


顔色一つ変えずにそう言ったメイド長似に、私はムッとして


「私だって公爵家の娘よ!淑女としての教育はきちんと受けているわ!それにお姉様だって王妃教育が終わって家に帰ってきても全然辛そうじゃなかったわ!」


と言ったら、何故だかメイド長似はくすっと笑って


「そうでしたか…その様に見えたのですね。―――ではこうしましょう。最初の4日間、我々の授業を受けて頂いて全員が問題ないと言えば、自宅からの通いになって頂いて構いません。」


と言ってきましたの。私は自信たっぷりに


「ええ、良いわよ。まあ、私の実力がすぐに分かると思うわ。」


と答えて、質素な椅子に腰掛け


「さあ、どなたから教えてくださるの?」


と不敵な笑みを浮かべて7人の講師たちを見つめた。


少し間があってから


「…それでは、僭越ながら私から。」


と背の高い細長い方が名乗りをあげた。


「そうですね。デルフィン公爵、よろしくお願い致しますわ。」


メイド長似は私に向き直り


「貴女様が仰ったように、すぐ実力が分かるでしょうね。」


そして、他の5人に目配せして部屋を出ていった。


しんと静まり返った部屋に、私と背の高い先生。


「あまり気乗りしませんが、王太子命ですので。基礎から始めましょう。」


やれやれといった感じで授業を始めようとする先生。私はその態度にムッとして


「私は公爵令嬢よ?基礎くらい…」


「基礎、ですか。」


先生は被せるように言った。


「…では確認いたしましょう。―――コーディカス王国とエルピダ共和国の穀物関税率、その変遷と理由を。」


―――え?


一瞬、頭が真っ白になった。


「…それは、えっと…」


私の頭の中に浮かぶのは、紅茶の時間のために早く切り上げてもらっていた授業風景と


「まあまあ、今日はここまでにしましょう。」


という、甘い声ばかりだった。


「―――答えられませんか。」


教師は眉一つ動かさない。


私は顔が熱くなってきた。


「では次。コーディカス王国内の国有地とその特徴について。」


え…そんなの聞いたことないわ…。


「あ…えっと…。」


私が答えられずにいると、先生はガックリと肩を落として


「―――想像以上、です。申し訳ありませんが、本当にお勉強なさったので?」


私は更に顔が熱くなっていくのを感じた。


「と、当然よ!私は公爵令嬢なのよ!貴方の出した問題がたまたま知らないことだっただけですもの!」


そんな私を尻目に、先生は額に手を当てて静かに首を横に振った。


「―――今の問題は、基礎の基礎、といったところです。」


「う…うそよ。」


そんなわけがないわ。だって私の先生は…授業中たくさん褒めてくださったもの。


私が小さく震えていると、先生はため息をついて一言。


「―――貴女は、耐えられますかな?」


その目はとても冷たく鋭かった。


―――これが私の地獄の始まりだった。


【12/27〜1/3は毎日20時に更新中!】


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

ここまで読んでいただき、本当にありがとうございます。


ひとつでも「面白い」と感じていただけたら、

評価やブックマークをしていただけると嬉しいです。


とても励みになり、執筆続行の支えになります。


これからも読者様に楽しんでいただける展開を届けられるよう頑張ります。


どうぞよろしくお願いいたします!

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