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第12話〜紫燐、気炎万丈となりて〜


「―――最近のアレクシス様…なんか、変ですわ。」


東館を出て、王宮の中庭を抜けていくアレクシスの姿をこっそりと覗く影。


私は、エリザベート・エピスティニ。皆さんご存知のとおり、《紫水晶の女神》よ。


アレクシス様は、お姉様と同じ紫髪紫目だけど私の方が可愛いって言ってくださっていて、この間ついにお姉様との婚約破棄をしてくださったの!!


でも何故かその時に雷が落ちて、お姉様が気絶しちゃったから婚約破棄のことがなんだかよく分からないことになってしまったの。


あれから1ヶ月くらい経つけど、アレクシス様からのお誘いが全く無くて私ももう限界よ…!


「アレクシス様から誘ってくださらないなら…私から行くんだから!」


私はアレクシス様の後について行こうとしたら、ミハイル様が出てきて、アレクシス様と何かお話ししているみたい。


ちょっとさすがに近づけないわね…。


私、なぜだかミハイル様にはあまり好かれていないみたい。


―――あ!アレクシス様とミハイル様のお話が終わったみたい!!


私は急いでアレクシス様の元へ走って行った。


















「アーレークーシースーさーまぁー!!!」


「うわぁ!?」


私はアレクシス様の腕に両腕を絡めしがみつく。


「ど、どうした…エリザベート。」


「アレクシス様ったら!婚約破棄してからもう1ヶ月も経ったのに何も連絡してくださらないんだもの!―――いつ私を婚約者にしてくださるの…?」


ぷぅっと頰を膨らませ、上目遣いでアレクシス様を見つめる私。こうすればアレクシス様は何でも言うこと聞いてくださるんだから!


それなのに、アレクシス様は困ったように笑ってゆっくり私を引き離してから


「ごめん、エリザベート。今は仕事が忙しくて。」


って言いましたの!私はびっくりして思わず


「アレクシス様…私のこと、嫌いになってしまいましたの…?この間、また後でっておっしゃってたからエリザベート、待っていたのに…」


目に涙を浮かべて訴えても、アレクシス様は


「あはは…そうだったね…。」


って困った顔をするだけ。どうしていつもみたいに抱きしめて頭を撫でてくれないのかしら。


アレクシス様は何か考え込んでいたみたいだけれど、ニコッと笑って


「それじゃあエリザベート、王妃教育を受けてもらおうか。」


王妃教育…!それじゃあアレクシス様は私のこと…!


「婚約者にしてくださるのですね!!」


私は嬉しくて飛び跳ねてしまいましたわ。アレクシス様は


「フィーリアがあの状態で婚約破棄をしてしまったら、僕が周りから何を言われるか分からないだろう?それに君にも迷惑が掛かるかも…。だから皆んなに内緒で王妃教育を受けて準備をしていて欲しい。―――秘密にできるかな?」


って言ってくださいましたの。


私はもちろんすぐに


「ええ!もちろんですわアレクシス様!!私、完璧な王妃になりますわ!!」


ってお返事しましたの。


「そうか、良かった。講師を呼んでおくから、明日の9時にまた王宮においで。」


こうしちゃいられないわ!


私はお母様に早くお知らせするために急いで家に帰った。
















「お母様ー!アレクシス様が内緒で王妃教育を受けさせてくださるんですって!!」


アレクシス様は内緒って言ってましたけど、お母様には言っても良いわよね?


「あらあら、良かったわねエリザベート。私の《紫水晶の女神》。」


これは私のお母様のヴィクトリア・エピスティニ。お母様も紫髪紫目を持っていて、とっても美しいの。


「私の《紫水晶の女神》が玉座で輝くのも時間の問題ね。」


お母様はとても嬉しそう。


―――よかった、またいっぱい褒めてもらえるわ。


私はお母様に抱きつくと、お母様は私の髪を指で優しく解きながら


「油断は禁物よ…しっかりやっていらっしゃい。なんとしてでも王妃の座につくのよ。」


と言って私の髪にキスをした。


お母様は昔、王妃になる予定だったみたいなんだけど色々あってダメになってしまったみたいなの。


私がお母様の代わりに、絶対王妃になってみせるんだから。


「…大好きよ、お母様。」


私はお母様を、さっきよりもギュッと抱きしめた。















―――一方、アレクシスの執務室。


「はぁぁ…。」


アレクシスの姿をしたフィーリアが、頭を抱えて椅子に座っていた。


「完っ全に忘れていたわ。エリザベートのこと。ただでさえミハイルに正体がバレかけているのに、エリザベートのことも相手しないと行けないなんて…。」


机の上には、午後の公務に関する書類が置かれているが、今は読む気にもなれない。


「とりあえず、王妃教育を受けさせるけど…耐え抜いたらどうしましょう。」


フィーリアは、自分とエリザベートが結婚式を挙げるところを想像し、慌てて頭を振ってその姿を頭の中から追い出そうとした。


「まさか、ね。」


そう。王妃教育を担当している講師陣は、国中から集められた、最高に優秀で、最強に厳しいことで有名だ。


「とりあえず連絡してみましょう…。」


フィーリアは王妃教育の日々を思い出して身震いしながら、午後の公務のため、執務室を後にした。


【12/27〜1/3は毎日20時に更新中!】


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

ここまで読んでいただき、本当にありがとうございます。


ひとつでも「面白い」と感じていただけたら、

評価やブックマークをしていただけると嬉しいです。


とても励みになり、執筆続行の支えになります。


これからも読者様に楽しんでいただける展開を届けられるよう頑張ります。


どうぞよろしくお願いいたします!

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