わたしは此処にいる
"鳥頭":
「来るなぁぁぁぁぁ!」
"蜘蛛宇宙人" は行かなかった。
"鳥頭" は、
腕と頭と脚で――
「+」
――を描いていた。
そのポーズは何のプラスにもならないし――
「×」にもならない。
"蜘蛛宇宙人" は "穴" をコンクリートに寄せた。
しかし、目的は――細かい破片。
タブレットの――余り。
"蜘蛛宇宙人" は、ひとつに的を定め、"穴" を落としていく。
"穴" は――
破片を――
吸い込んだ。
途端――
"穴" は――
床にも吸い付いた。
"蜘蛛宇宙人" は引っ張る。
抜けない。
"鳥頭":
「さっさとどっかへ行け!!」
ライトを床に投げる――転がる。
音に驚き――"鳥頭" が恐れる。
光が動き続ける――床を這う様に。
そして――止まる。
光は、
"蜘蛛宇宙人" と "鳥頭"
を映さない場所に位置した。
"蜘蛛宇宙人" は両手で――
「Φ」
――を握った。
簡単に抜けた。
よろめく程であった。
"鳥頭":
「消えろ!!!――キモチワルイ!!」
"穴" を見る。
"穴" は
――暗闇の中で
開いているのか、
閉じているのか、
よく見えなかった。
それでも――関係なかった。
ライトの光が届く範囲内にはまだ、破片が散らばっている。
"蜘蛛宇宙人" は
――ライトを動かさず
見える分に "穴" を近づけた。
"穴" は照らし出された。
"鳥頭":
「何してんだ?――はやく消えろ!」
――――――――――――――――――――――――
”自分の頭でわかる程度”の<答え>を求める――人間の好奇心。
「Φ」と<人間の好奇心>は
――必ずしも
イコール関係にない。
しかし、「Φ」も<人間の好奇心>も同じだ
――都合の悪い結果や答えは
――吐き出して
――見ないフリ。
――――――――――――――――――――――――
"蜘蛛宇宙人" は
――ある位置まで近づけると対象に自ら吸い付こうとする力を制御しながら
壊れたタブレットの小さな欠片を "穴" に吸わせた。
繰り返す――
ライトの向きを変えながら。
その間――"鳥頭" はテンプレを繰り返す。
"穴" が、
――コンクリートの上に乗ったタブレットの破片
全てを吸い込んだ。
"鳥頭" はただ、恐れていた。
"蜘蛛宇宙人" はライトを持ちながら――
"穴" を見た。
閉じていた――開いた。
"穴" は
――元はひとつのタブレットを構成していた
多量の<小さい破片>を吸い込んだ後も
――吸い込む前と
大きさを変えなかった。
「Φ」
――を見た。
長さも
幅も
変わっていなかった。
足を見た。
それは、少し大きくなっていた
――タブレットの大きな破片を吸い込んだばかりの時より
――大きくなっていた。
ただ、形は変わらなかった。
そして――
光っていた。
足の<背>に浮かんで見える文字の下から、光が立っていた。
光の分――消えた黒。
ライトを消してみた――文字は見えた。
ライトをつけ直した。
そして、"蜘蛛宇宙人" は、足に書かれた文字の変化を見た。
それは、<鯉の滝登り>を使って書かれていた。
――――――――――――――――――――――――
※ただ、その技法は
――此処では
排除して示す。
より高い物を簡単に与えてやるべきではない。
――――――――――――――――――――――――
こう書かれていた。
「問題:有名な<昔話>が在る。
四人が、<立方体>の中にいる。
四人は四隅に座る。
あるひとりが、壁に沿って進む。
次の角に着くと
――そこに座っている
次のひとりの肩を叩く。
肩を叩かれた者が、次に進む
――肩を叩いた者が来た方角とは
――別の方角に伸びる壁に沿って。
そして、次の角にいるひとりの肩を叩く。
それを続ける。
さて、五人目の正体は何か?」
普通の人間にとって――これは単なる幽霊話。
"蜘蛛宇宙人" は、そうではない――故に "蜘蛛宇宙人" には、そうではない。
"蜘蛛宇宙人" には、わかっていた
――数学の”論理”というものは
――この<消えた五人目>という存在
――に依存している事。




