わたしは此処にいる
此処までを端折らずに読んだ、親愛なる<あなた>へ。
使う時は気を付けて。
世の中には<普通の頭>でも、鼻が利く者がいる。
それは、自分が理解できない物でも――
「自分に不都合になりそうだ…」
――とわかるのだ
――漠然と。
それは、黙って無視をする。
そして、チャンス到来を確認すると、攻撃を始める。
それは――陰謀とは何も関係がない。
単に、人間ひとりひとりの<心>とされる物なのだから。
一応、ひとつ、見分ける方法を記しておこう。
「みんなに伝わらなきゃ意味がない!」
――不都合を排除する者は、これと同じ趣旨を発言するだろう。
はっきりしている事が在る。
素晴らしい物<そのもの>は、みんなに伝わらない。
ひどく「低レベル」に落とす事で、みんなに伝わる。
そして、みんなが褒める物は
――<そのもの>ではなく
「低レベル」に落とされた物。
それは、ネットだろうが学会だろうが同じ。
だからこそ――使う時は気を付けて。
こうしてタブレットは――
「Φ」
――の中で
本来の力を取り戻した。
しかし
――それでも…
――「Φ」の中に現れた
タブレットの量は
――吸い込まれる前に在った
<全体>よりも少ない。
ただそれは――
<割れたタブレットのうち、一番大きな塊>
――よりは、大きかった。
そしてそこに在る力は
――「Φ」に吸い込まれようと……
――通過しまいと………
同じである。
"蜘蛛宇宙人" は、すぐに振り返った。
"鳥頭" はまだテンプレを呟いていた。
そして――"鳥頭" は恐れていた。
しかし、"蜘蛛宇宙人" には問題ではなかった。
"蜘蛛宇宙人" が来た道を帰る
――棒を持って。
"鳥頭":
「この馬鹿!」
叫んでいた。
"鳥頭":
「馬鹿の癖に!!」
"蜘蛛宇宙人" は歩みを止めない。
"鳥頭" が三つ目の悪口を相手に浴びせようとした時――
何かに触れた
――気がした。
固い物。
また、触れた。
身体の縁がまた固い物に触れると、ビクついた。
そして――
「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁx!!!」
――と叫んだ。
"鳥頭" は、頭を抱えて縮こまった。
"鳥頭" は、コンクリートを恐れていた。
そして
堅いコンクリートの上
硬いコンクリートに囲まれた、
何もない
――きれいな
空間を恐れていた。
そんな "鳥頭" を無視して、"蜘蛛宇宙人" は進んだ。
――――――――――――――――――――――――
問題:一辺が「1」である正六面体の中に、
一辺が「1」である正方形はいくつあるか?
――――――――――――――――――――――――
トンネルを進むと――次の地点。
"蜘蛛宇宙人" は左に進む。
24歩で――"穴" を確認。
地面に空いた "穴" を迂回して、
"蜘蛛宇宙人" は窪んだ壁に向かった。
立つと、「Φ」の先端に在る "穴" をそこへ向けた。
取り込みが始まり――終わる。
「Φ」
――に
大幅な変化はなかった。
ただ、足の<指>の部分に亀裂が入っていた。
割ったり、
曲げたり、
する事は出来なかった。
表示される文字には、問題が記されていた
――それは
――既に
――上に
――記した。
"蜘蛛宇宙人" は
――棒を握ったまま
<足>を見ていた。
"穴" と対局に位置する<足>。
<足>は、
足であり、
スコップであり、
タブレットであり
MDである
<対象>だ。
それは
――本来
平面であり、
円形であった。
その様な複合的<足>を含み、
”<足>から<瘤>”までの直線を含み、
白のフェイクファーの生えた<瘤>を含み、
”<瘤>から"穴"”までの直線を含み、
"穴"を含む物、
即ち……――
「Φ」。
それは
――その時
別の物になっていた。
それは――
「シャベル」
――であった。




