龍妃のお部屋
とりあえずルーナは朝食もまだだと伝えて王子宮に転移する。
もう既にお昼ご飯の時間だ。
なんとしてもルーナに食事をさせて昼寝をさせねば。
既に連絡は入れておいたから準備は出来ている
ところがなんと、今度はルーナがおねむになったらしい。
テーブルの前でこくりこくり始める。
このままでは絶対にまずい。
レオニスがルーナを軽く揺するがルーナの反応は薄い。
もうこうなれば自棄だ。
このまま寝かせれば、目覚めた時には、また熱を出しているだろう。
レオニスはオレンジジュースを口に含むと
ルーナに口移しで飲ませてやる。
こくりと喉がなってルーナがぼんやり目を開ける
「ほら、オレンジジュースだ。飲めるな」
ルーナがこくりと頷いたので、コップを口元へ
ごくごくと飲み始める。
ほら見ろ、喉が渇いていたくせに。
コップ一杯飲み干すと、ルーナが目を覚ましたみたいだ。
「お腹すいた」
というので、小さく切った魚や野菜を、すこしずつ口に運ぶ。
もぐもぐとひとしきり口を動かしたが、やがて、うつらうつらが始まった。
そっと抱き上げてベッドへ。
降ろそうとするといやいやとしがみつく。
とんとんと背中を叩きながらあやしていると、
しがみついていた手がだらりと落ちる
そっと寝かすと、今度はすやすやと眠りだした。
なんだか赤ん坊より厄介な気がする。
「殿下、殿下もお食事を。その後午前の公務が溜まっております」
側仕えの言葉にレオニスは頷いた。
頑張るしかない。ルーナの世話も、皇子としての役割も。
午後の時間はあっという間に過ぎてしまった。
自分ひとりなら、食事を抜いても仕事を続けるところだが、
ルーナに食事をとらせないと。
支度を言いつけて転移。
こんどこそ、まともなところで会いたいものだ。
ガン! レオニスは頭をぶつけて蹲った。
一体どこだ?ここは。
奥宮にこんなところがあったろうか?
狭い、とにかく狭い。
天井が低すぎる。
ルーナは…?
ルーナは子犬みたいにとことこと四つん這いで歩いている。
確かにこの天井の低さではそれが正解だが。
一体どこに向かう気だろう?
クラウスも同じようにとことことついて歩く。
狭くてルーナを確保できないから。
何時まで歩くのかとうんざりしたころ、ルーナは小さい扉を発見して。
ひょいと扉を開けて中へ
おい!危ないだろう。
確認もしないで飛び込むな
そう思いながら出てみると。どういう訳だか。王子宮の自分の部屋だ。
ルーナは部屋をきょろきょろ見渡している。
「ルーナ、俺の部屋に何の用だ。用事があるなら言ってくれ。
あんな狭い通路なんか使うな!」
ルーナはきょとんとして俺を見る。
「あれぇ。おかしいなぁ。どうしてここにレオニスがいるの?」
「なぜってここが俺の部屋だからに決まっているだろう」
「なるほど、龍妃の宮が今は皇子宮になっているのね」
「龍妃。一体なんのことだ」
「大昔の話だけれど。皇后と龍妃が別に立てられた時代があったみたなの。
それでお話を読んで、どこにあるか知りたくなっただけ」
「それは、今、何か問題になることはないんだな?」
「うん、大丈夫。ただの好奇心。何もおきないよ」
「それなら良いけど。とにかく何か調べる時は先に教えてくれないかな」
「だって、急に思いつくだけで、調べようとした訳じゃぁ」
なるほど。
このお騒がせ娘は、なんとなく龍妃の部屋が見たくなっただけらしい。
龍妃なんて初めて聞いたが、この娘が言うのだから実在したんだろうなぁ。
レオニスはこの時大切な事を忘れていた。
ルーナが皇城の秘密通路を知っているらしいということを。
あの狭い通路について聞くべきだったのだ。
龍妃なんて話に惑わされないで。




