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皇子さまは今日も最弱娘に振り回される  作者: こもれびの空


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風龍とソラ

 いったい何がどうしたらソラが、あんな小さな子にべったりになるのだろう?


 ルーナとレオニスは自分の番だと小さな風龍を連れ帰ったソラを見て唖然としてしまったが、さすがにレオニスは立ち直りが早かった。


「あぁ、そのお姫様がフウカ・フォン・デルマー伯爵令嬢ですね。

 デルマー商会から連絡を貰っています。

 ソラも結婚するなら、それなりに地位や資産が必要ですね。

 丁度宰相の役割をする人が欲しかったのです。

 受けてくれますよね。ソラ・フォン・アスト侯爵」


 ソラが断ろうとするより早く、フウカが叫んだ。


「うわー。ソラって本当に宰相さまなんだね。

 こんなに大きな国の宰相をするなんて、ソラってよっぽどお仕事が出来るのね」


「そうなんですよ。フウカ姫。

 実はソラは私の兄なんですよ。長く日陰において申し訳なかった

 のですが、ようやく相応しい立場に立ってもらうことが出来ます」


「まぁ、ソラって皇子様だったのね。

 道理で、魔力が凄く多いと思ったわ。

 でも兄に侯爵なんてしみったれてませんか?

 大公にしてもいいぐらいだわ」


「いやぁ、さすがに商会出身の姫だ。

 だけど大公位はねぇ、いろいろ事情があって難しいのです。

 どうでしょう?公爵で手を打っていただけますか?」


「まぁ、いいわ。

 そのかわり、アストラルの名前を頂くわよ」


「いいでしょう。ソラ・フォン・アストラル公爵夫人」


 ソラがまだ帰国の挨拶もしない内に、ソラは公爵位と宰相の役職を受けることになった。


「すごいわ。私、風龍って弱いイメージだったけど、すごく逞しいのね」


「弱いから、たくましく生きるしかないの。

 もたもたしていたら死んでしまうもの。

 貰えるものは、がっつり貰う。私の信条ですわ」


「おっしゃる通りね。ソラがあなたみたいな、しっかりした方と結婚できて私も嬉しいわ」


 ルーナとは真逆だけれども、この風龍の少女は一筋縄ではいかなそうだ。

 ルーナは頭を揉みながらソラに尋ねた。


「ソラ、公爵邸なのだけど、今使っている皇子宮をそのまま使ってくれるかしら?」


「フウカ、皇子宮を使ってくれたら費用は皇家で全額持たせて貰うわ。

 実は私達、一週間ほど留守にするので、ソラには皇城内にいて欲しいの。

 すぐに私の側近を皇子宮に派遣するから、内装など、必要なものはティアラ相談して頂戴」


「無料ですって!素晴らしいわ。

 もちろんそれでよろしいですわ。

 すぐに宮を見たいのですけれど」


「案内させるから、先に行ってくれる。

 夕食は一緒に取りましょう。

 ソラは借りるわね。打ち合わせしたいことがあって」


「勿論、どんどん使って頂戴。

 年俸については私を通してくださいね」


「ええ、では年俸は夕食の時に決めましょう。

 明日は皇帝陛下と皇后陛下との謁見はしてもらうわよ」


「了解!」


 そう言うなり、フウカは侍女に案内されて皇子宮に行ってしまった。

 侍女に、側近3人全員を皇子宮の急行するように伝えさせた。

 フウカの相手はリディアたちに任せよう。

 うん、そうしよう。


 ソラは真っ白になって燃え尽きていた。

 それはねぇ、見た目は凄く儚げだったものね。フウカは。

 ほっそりとした華奢な身体。

 真っ白な髪は艶やかで、瞳は深紅のルビーのように美しい。


 ぐったりとしてソファーに沈み込んだソラは、ポツポツと話始めた。


「最初はね。とても小さな少女だったんだ。

 3歳くらいの幼児でね。守らないと死にそうだった。

 番だと言われたけど、幼子の言うことだしね。

 可愛かったし。

 でも、どんどん大きくなっていったんだ」


「魔力不足だったのだろうね。

 ソラの魔力で本来の姿に戻ったんだね」


「そう、あっという間に。ルーナくらいになった。

 でもそれ以上は年を取らなかったし、食事からもエネルギーを取れるようになった」


「甘えん坊で可愛い子だと思っていたのに……」


「もしかして、フウカが嫌いになった?」


「そんなことないんだよなぁ。

 俺って守ってやりたいような子が好きだと思っていたのだけれど」


「あら、フウカはソラがいないと生きていけないのでしょう?

 それって、ソラが守ってあげているってことじゃないの?」


 ソラの目に光が戻った。

 まぁ、あんなに逞しい姿をみたら、女性に夢を見ていたソラにはショックかも。

 でも、女だって守られているばかりではいられないのだ。


「フウカは天涯孤独なのでしょう?

 一族が滅亡したわけだし」


 ソラが立ち上がった。

 それをレオニスが止める。


「残念だけどね。

 俺たち来週から一週間、プロイセン王国にいくからね。

 打ち合わせは必要なんだ」


「マジで。俺、今帰ったばかりだよ」


「だから引き継ぎが遅れているんだろうが、宰相閣下」


「レオニス、お前、わざとだろう。

 わざと俺の留守を狙ったんだな」


「はいはい。もう皇帝陛下から叙任状も出ているからね。

 明日は、お礼言上するんだよ。

 じゃぁ引継ぎ、始めようかぁ」


「鬼、レオニスのバカヤロー」


「兄上、とりあえずこの法案なんだけど」


 なんだかんだ言って、素直に仕事を始めたソラを尻目に私は皇子宮に向かった。

 行きたくは無かったけれど。

 行かないと、後で側近たちに恨まれそうだから、行くしかなかった。

 

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