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皇子さまは今日も最弱娘に振り回される  作者: こもれびの空


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アストラル学院

 レオニスのアストラル学院入学にあわせてルーナも学院に入学した。

 今年はクラウスやステラも卒業してしまったので、すこし寂しい。

 学問でいうなら、私もレオニスも既に学院卒業資格は持っている。


 それでも貴族はアストラル学院に通う事。

 という規則は守らないといけない。

 皇太子と皇太子妃となれば、なおさらだ。


 男女でクラスが分かれてしまうのは、必須科目が違うから。

 男子は、剣術・体術・馬術・戦略・の4科目は必須になる。

 女子は、刺繍・家政・音楽・社交の4科目は嫌でもとらないといけない。

 魔法やダンスは男女合同授業だけれども。


 女子が剣術科目をとったり、男子が音楽をとるのは自由だし、実際に選択している生徒も多い。

 けれども、指定4科目は男女別。

 これは覆らない。


 この学院では20科目合格すれば卒業は出来る。

 けれども授業料や寮費、食費も無料だし、なるべく多くの科目を合格していく方が就職にも有利だから長いものは5年、短くても3年を学院で過ごすことが多い。

 学生の希望に合わせて100科目も授業が用意されているし、どうしても学びたいものがあれば申請すれば教師を探してくれる。


 私は古代魔法の授業を選択した。

 古代魔法。なんとなく気にかかってしかたがないのだ。

 コメット・フォン・アイアンハート伯爵令嬢。

 私の側近候補になるくらいなので、元々あのような行動を取る女性ではなかった。

 だから、古代魔法の研究者だという夫君の存在が気になる。

 それで古代魔法の授業を受けてみようと思ったのだ。


 ところが、今年は古代魔法の授業がなかった。

 授業を担当していたのが、件のコメット令嬢の夫君であったらしい。

 そうしてコメット令嬢との婚姻を理由にルーンフェル王国に帰国したという。

 ブルーノに頼んで、過去に古代魔法を専攻した学生を追跡調査してもらおう。

 私の危機感は大抵当たるから。


 昼食時間になると当たり前のように、レオニスが回収に来た。


「レオ、さすがに学院でお昼を抜いたり、抜け出したりしないから、わざわざ来なくても大丈夫だよ」


「君は僕の妻だろう?妻をエスコートするのは夫の務めさ」


 そう言ってにっこり笑うから、外野からは、ほぅとため息を吐く声が聞こえる。

 外面はとっても良いのだ。レオニスは。

 外から見れば、甘い言葉に聞こえるだろうけれど実態は違う。


「回収しとかないと、ぶったおられると困るからな!」

 という意味でしかないのだ。哀しいことに。


 昼食時に古代魔法とコメットの件を話したら、レオはすぐに手を打ってくれた。


「ところで聞いていいか?ちょっと疑問だったんだ。

 ルナはどうやって側近たちの人物像を、ああもはっきり言い切ったんだ?

 面接時間は僅かに5分ほどだったときいているぞ」


 あぁ、成る程と私は思った。


「リディア・フォン・エーテル公爵令嬢が完璧令嬢と言われているのは、レオも承知じゃありませんか?」


「だけど、君は彼女は、言葉にできる強さがあると言っただろう?」


「実際、そうでしたよ。

 完璧令嬢が、わざわざ嫌味を皇太子妃にあびせたのですから。

 ティアラが問題ありなのは、実際に問題発言をしたからです」


 あぁ!という顔をレオがした。気がついたみたいだ。


「ティアラはベルを勧誘すると言いました。

 彼女が人事権を持ってもいないのに。

 本当ならベルを推薦したいと言うべきです。

 決めるのは私ですから」


「それでも君はティアラを側近にしたのだね」


「実際には側近にしてから気づいたのですけれどね。

 それで人事権を持たせてみることにしました。

 ベルは内気なのに勇気をふり絞ったと思っているかもしれません。

 実際にはベルは会計士としては自分が一番だと知っています。

 もし、ベルに数字の改ざんを持ちかけて、ベルが承知すると思いますか?」


「いや、ベルは断固として断るだろうな」


「そうです。ベルは素直な娘ですが、数字に関してはとても頑固で信頼が置けます」


「確かに、そう言われると彼女たちは言動で自分が何者であるか、指し示していたわけだね」


「おっしゃる通りです。」


「よく分かった。ルーナは少し説明不足なところがあるね」


 そう言われてハッとした。ここはレオの執務室ではない。

 学院の食堂だ。つまり人目があり聞いている者がいると言う事だ。


「ひどいレオ、また図りましたね」


「だって嫌じゃないか。ルーナのことを悪く言われるのは」


「側近たちが傷つきます。困りますよレオ」


「いいや、君の側近に選ばれる娘たちだ。

 もう少し信じていいと思うよ」


「私は人を信じていませんか?」


「ルーナが人を頼ることを覚えて欲しいと思っているよ」


「はい。レオ。また心配をかけてしまいましたか?」


「大丈夫だよ。ルーナ。僕は君のお世話係だからね」


「もう、レオったら、すぐにそうやって揶揄う!」


 ルーナがむくれたのでレオは愉快そうに笑いだした。

 そうしたら、とうとうルーナも吹きだしてしまう。


 僕たちの皇太子殿下と妃殿下は、今日も仲が良いと周囲は思っている。

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