プロイセン王国結婚式
プロイセン王国。
今、この国はテオドール王太子殿下とアストラル皇国のフィクトス公爵家公女
との結婚式を迎え喜びに包まれていた。
実は同日アストラル学院での入学式も行われているのだが、
多くは王太子の結婚式に参列していた。
ラインハルト公子は実の兄である結婚式に
婚約者リリアーヌと参列したし、
クラウス公子も姉の結婚式なのだから、
婚約者ステラと連れ立って出席している。
アストラル皇国からは皇帝の名代として
レオニス皇太子と婚約者ルーナ公女が出席する。
つまり敵の目的がステラまたはクラウスであるのなら、
プロイセン王国に標的が集まったことになる。
とはいえ人目も多く警護が厳重な結婚式で何かがおこるとは考えにくい。
参列者にはルーンフェル王国やセレステア王国からも、
王族の参列があった。
そして式典を主催するのは、ミゼラブル教の枢機卿だ。
法王による祝福をお願いしたけれど、プロイセン王国の王太子では
枢機卿で十分だろうと婉曲な言い回しで断られてしまった。
レオニスと私の結婚式なら法王自ら駆け付けてくれるだろうに、
このあたりが弱小国なのだろう。
この後の晩餐会の社交で、ミゼラブル教団やルーンフェル王国が今回の
古龍暗殺に関わっているか、調査することになる。
けれども、こちらの担当はリリアーヌお姉さまとクラウス義お兄さまだ。
二人とも社交が得意なのです。
私は、ねちねちとした会話や当て擦り、思わせ振りな会話が大の苦手だ。
レオニスにそう言えば額にキスしてから、
「誰も君にそんな事は期待していないよ。」
と言ったのだけれど。
もしかして馬鹿にされたのだろうか?
「ルーナ、どうしたの? 疲れてしまった?」
レオニスが私に囁いた。
「大丈夫よ、レオニス。ただね。
どうして白花トリカブトが混ざっているか考えていたの。
飾るだけでは、私たちに危害は加えられない筈だけど……。」
「ルーナ!トリカブトが!本当か?」
「ええ、大量の白薔薇や白い胡蝶蘭 それにカスミソウに紛れているけれどね。
良く見たらわかるはずよ。白百合に似ているから。
でも、今回は白百合を使わない筈でしょう?」
レオニスが手を振った。影を動かしたのだろう。
これだけの参列者がいるのだ。しかも他国の貴賓が……。
だから私は危険の有無を考えているのだけれど。
思考の狭間にレオニスが話しかける。
「ルーナ。考える前に、先に私に報告してくれ。
君は結論が出るまで言葉を口に出さない癖がある。
僕にだけでいい。考えていることを教えて欲しい」
「ン~今、考えているのは、ここにある白花トリカブトの致死量と
飾った状態でどうやって毒を吸入させるかについてなのだけど」
「ルーナ、それは考えなくていい。白花トリカブトは全部転移させたから」
私は周囲を見渡した。
白花トリカブトはもうどこにもない。隙間は白百合で埋めている。
これならバレない。
私が嬉しそうに笑うと、レオニスは自分の頭をぐりぐりと揉みだした。
「レオニス。頭が痛いの?」
「あぁ、かなり痛いね。主に僕が自分の婚約者すら制御できないせいだ。
気にしないでくれ」
私のせいなの?
私何をしたのかしら?




