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皇子さまは今日も最弱娘に振り回される  作者: こもれびの空


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貧民街復興計画

 まずは失敗の原因を洗い出すところからだ。


「それで、今までの事業は全部失敗したみたいだけど原因は?」


「魔力を使う方が早くて正確だからですね。

 清掃、洗濯、荷運び、菓子製造も試みたみたいですが……」


「なるほど、魔法を使わない方が良い仕事。

 なにかあるか?」


「そうですねー。正直、魔法は便利なんですよ。郵便でも宅配でも

 住所さえあれば転送できますしね」


「食堂とかは、どうなんだ?」


「魔力が無いと、コンロを使えません。魔力が必要な場面が多いのです」


 なるほど。今までだって色々試行錯誤してきたのだ。

 掃除でも洗濯でも料理でも、手作業でできる。

 他国ではそうしているのだから。


 だけど、魔力を使った方が安くて綺麗で正確なら、

 わざわざ手作業を買う訳はないのだ。


「魔法で代行できないことって、何かあるか?」


「うーん」


 考え込んでしまう。


「人との繋がりは代行できないわよ。」


 リーナが言う。

 確かにそうだけど…。それ、どう仕事にするんだ?

 あれ?俺それを経験していないか?

 母上だ。母上は魔法を使えば簡単なのにそうしなかった。

 簡単を選ぶなと言った。

 そして、俺は少しだけ大人になった。

 これって……。


「教育だ!これは代行出来ないだろう?」


「しかし、魔術学校は魔力がないと教えられません」


「そうじゃない。人としての生き方を教えるんだよ」


「そう言うのは徒弟制度で親方が教えることですよ」


「赤ん坊や幼児の世話 これは魔法で代用できないだろう?」


 小さい子供や 赤ん坊のお世話をする施設。


 お金持ちは、ナニーを雇う。

 けれど、一般の人だって、子供を預けられたら助かる筈だ。

 前世の保育園や幼稚園の説明をした。

 幼児なら預けるかも。その分親が稼げるなら。

 親だってのんびりする時間が欲しいかもだし。

 そしたら、ルーナも言う。


「あのねー。大人だって誰かにお話を聞いて欲しい時があるかもよ。

 お年よりになって、話し相手が少ないと特にね」


 お話し相手って仕事になるだろうか?

 尋ねてみたら、貴族にはよくある仕事らしい。

 レディズコンパニオンと言われて話し相手を務めるそうだ。


 庶民がお金を払ってまで話相手を求めるだろうか?

 いけるかもしれない。

 メイド喫茶とかホストクラブとか。需要があったと思う。


 そういうのがあるか聞いたら、酒場とか風俗店とかはあるけれど

 ティールーム自体がないらしい。

 お茶を飲むのは貴族だし、それは自宅で飲むのだから。


 ならいけるんじゃないか?

 ゆったりと貴族ごっこが楽しめる喫茶店。

 侍女や執事がお客様をお迎えして、ちょっとした贅沢を堪能する。

 やってみよう。


 もう一つ。ルーナの言う純粋なお話相手。

 人の心は厄介だ。

 下手なことをすると、かえって傷つけるかも……。


「ルーナ、人は人を求めるけれど、求める分傷が深い場合もある。

 どう思う?」


「確かにね。否定したら何のために来たか分からなくなるし。

 肯定しすぎても、間違った方向に後押しするかもしれない。

 他人がどこまで関わっていいか…。難しいね」


「最初から、お話を聞くだけだと言っておいたらどうかしら?」


「成る程。それなら前世でもあったな。傾聴とか言うの。

 話を聞くだけらしいけど、それがかえって難しいらしいんだ」


「そりゃあねー。言いたいの我慢する訳だし。かなり訓練が必要かも」


「だよな。そっちは厳しそうだけど。どうかなぁ

 一人暮らしのお年寄りの家を巡回するサービスとかは

 国の資金で出来ないかな?」


「予算を付けてもらう必要がありますね。

 そちらも進めてみますか?」


「あぁ、予算が下りないと着手できないから、草案だけ頼む」


「なら、保育園とカフェは貰っている貧民街対策費用で賄えそうか?」


「少し、足りないかも」


「それなら、私が皇后陛下と寄付金を集めるわ。

 そろそろ私も社交界デビューが必要だし、皇太子の婚約者のデビューなら

 それなりの寄付は集まるはずよ」


「助かる。頼むよ」


「ルナ、迎えに来たよ。食事の時間だ」


 やっぱり皇太子は時間厳守だ。


「レオ。グッドタイミングね。貧民街復興計画の骨子が決まったのよ」


「それは良かった。ソラ、書類で提出してくれ。

 それよりルナ、帰るよ」


 皇太子はさっさとルーナを回収して帰っていった。


 相変わらずで、逆に清々しいくらいだ。


「おめでとうございます」


 セデスが言う。


「何が?」


「皇太子殿下ですよ。書類を回せと仰っていたでしょう?」


「皇太子殿下が、後押し下さるのです。きっと予算が貰えますよ」


 そういうことかぁ。

 俺、ちゃんと信頼されているんだ。

 ニマニマと笑っていたら、アローに、さっさと食事に行けと言われてしまった。


「忙しいんですからね。」


 そういうアローも嬉しそうだった。



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