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皇子さまは今日も最弱娘に振り回される  作者: こもれびの空


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19/50

新しい皇子宮

 皇子宮が出来上がるまでの一週間。

 せっかく皇城にいるのだからと、

 ソラは積極的に皇帝や皇后と過ごす時間を求めた。


 けれども、あの朝食会は皇后の特別な計らいらしい。

 朝食は皇帝と皇后は二人でベッドや私室で済ませてしまう。


 ならば昼食と思っても、そこはビジネスランチ。

 社交や仕事の打ち合わせを兼ねる。

 晩餐ともなれば、基本は社交。ティーパーティも社交。


 ソラの入る隙間は無い。


「皇子宮が出来あがったら、本宮に来ることもなくなるだろう。

 一度はきちんとお礼を言いたいのだが」

 ソラがそんな事を言っていると、ひょこりと皇太子がやって来た。


「殿下」ソラが思わず礼をすると、レオニスは笑った。


「兄上は少しましな顏になりましたね」

 

 今までなら言い返したところだが、ソラは素直に頷いた。


「はい、皇后陛下から教えを賜りました。それでお礼を伝えたいのですが……」


「固いね~兄上は。僕のことはレオでいいよ。

 それと、仕事を持ってきた。皇子宮が出来るし、秘書官もいる。

 兄上も遊び暮らすつもりはないだろう?」


「父上や母上と会いたければ、仕事をすることだ。

 仕事上の悩みや解決方法なら喜んで相談に乗ってくれるさ。」


 ソラは頭を殴られたような衝撃を受けた。

 俺はまだまだ甘かったのだ。


「兄上、いちいちへこむなよ。兄上にしか出来ない仕事を持ってきたからさ」


「俺にしかできない仕事?」


「あぁ、僕らは生まれついて魔力を持っている。

 だから魔力が無いことへの想像力に欠けるのさ」


「貧民街ですね!レオ」


「そう、今まで無魔力者は他国に仕事の斡旋を行ってきた。

 でも彼らだってここは故郷だし、家族もいる。

 なんとかしてやりたいと思っては、いるんだ。」


「確かに。ここでは無魔力が逆に差別を生んでいるんですね。

 やってみます。レオ。貧民街が生まれ変わって魔力の有無に関係なく

 暮らせるようになったら、それが他国との融和の足掛かりになるかも」


 ソラの目が輝いた。ここで生きる意味を見出したのだ。


「よろしく頼むよ、兄上。皇子宮が完成したら一度遊びに行かせてもらう。

 案外、僕のルナが兄上の役に立つかもしれないしな」


「はい、お待ちしております。レオ。僕のこともソラと。

 一つ違いなんですから」


「了解。ソラ。だがルナはお兄さま呼びになるだろうな。」


 そう言って、母上との一件を話してくれた。

 お茶目な母上は、そうやってルーナの遠慮を崩してしまったのだ。

 恐ろしい異能だな。本当に誓いが実現するんだ。

 そう知れば余計に、あの母上が喜ぶような仕事をしたいと思うソラであった。


 一週間はあっという間に過ぎた。

 皇后や皇太子が使用人を見繕ってくれたとはいえ、やることは多い。


 セデスとアローは大忙しだった。

 彼らは新米貴族としての仕事まで抱えている。

 皇子宮を整えたと思ったら、まさかの大事業を任された。

 貧民街は皇国の恥部。

 それを生まれ変わらせようと、言うのだから。


 約束通り皇太子は、婚約者のルーナを連れて現れた。

 そして大量の書類をプレゼントすると、すぐに帰ってしまう。


 ソラはまたレオニスを見直した。

 あんなに俺とルーナが一緒にいたぐらいで噛みついていたのに、

 愛しい婚約者を残して仕事に行くなんて!


「とりあえず執務室で作戦会議を始めませんか?殿下。

 ルーナさまも、それほどお時間を取る訳にはいかないでしょうし」


 そうだった。レオニスはルーナの食事時間を厳格に守る。

 時間は限られているのだ。


 しかし……普通なら新しい建物のこけら落とし。

 パーティでもやりそうなものなのに、レオニスからのプレゼントは

 貧民街関連の書類一式。

 ソラはこの国の皇族が大好きになった。


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