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皇子さまは今日も最弱娘に振り回される  作者: こもれびの空


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ソラ皇子になる

 ソラはアローと同部屋になった。

 と言うよりアローがソラを監視しているのだろう。

 当たり前だ。

 ここは皇城で、普通なら身元が確かな者しか入れない場所だ。 


 それなのにソラは、異世界人。

 疑わない方がおかしい。

 あのルーナという子は、なぜ俺を城に連れて来たんだろう?

 しかもひとりで危険な真似までして。


 ベッドであれこれ考えていたらアローが言う。


 「早く寝ろ、明日は魔力の解放をするんだからな。

 予定外だから早朝しか空いてない。朝飯前に一仕事することになるぞ」


 それを聞いたソラは少しだけ、明日が楽しみになった。


 翌朝朝食前に行われた魔法の発現は、ソラが思うよりずっと簡単だった。

 しかしソラの能力がキャンセル――能力の無効化だと知ると

 アローは血相を変えてどこか行ってしまう。


 その後すぐに戻ってきたアローは、すっかり態度が変わっていたのだ。


 「ソラさま。申し訳ございませんが、

  すぐに衣装を整えて皇帝陛下との謁見に臨んで頂きます。」


 「えっ、どういうこと?」


 あたふたしている間に、身ぐるみ剥がれ風呂に放り込まれて

 全身を洗われ、豪華な衣装まで着付けてもらう。

 それを全部、妙齢の美しいメイドさんたちがやるのだから、

 ソラは必死に呪文を唱えた。

 僕は患者、ここにいるのは看護婦さん。これは仕事。色即是空。


 用意ができると扉の前にアローが待ち構えていた。


 「ソラさま、本日よりソラさま付きとなりました従僕のアローと申します。

  異能はファイヤアロー。炎の矢でございます。」


 「知っているよ、今朝それをお見舞いされたからな」


 「しかし殿下はそれを見事に打ち消しておしまいになられた」


 いったい此奴は何を言っているんだ?

 殿下って言った?どういうこと??

 疑問に答えてもらえないまま、あっという間に謁見室に連れていかれる。


 アローに案内されるまま進むと

 煌びやかな服装をしているレオニス皇子の隣に立たされた

 前を見るとたくさんの貴族がこちらを見ている。


 「本日我が息子レオニスを皇太子に叙する。皆の者そう心得よ。」


 「皇太子殿下に忠誠を捧げます」


 全員が深く礼をする。

 レオニスが進み出て

 「皆の忠誠に感謝する。頭をあげよ」

 その言葉に全員が頭をあげる。


 凄いなぁ。一糸乱れぬ作法。感心していると、皇帝が


 「次に第一皇子として養子にしたソラを紹介する。

  ソラは第一皇子だが皇位継承権は持たぬ。

  しかし、我が息子として遇するゆえそう心得よ」


 「ははぁ」

 またもや全員が頭を下げた。


 後ろでアローが小さい声で「私がソラ第一皇子である。頭をあげよ」

 と囁いた。

 言いたくはなかったが、言わないとみんな頭があげられない。

 言われた通りに喋るとみんな頭をあげた。


 「ソラ第一皇子にお仕えいたします」


 そう言われたけど、これってどういう意味だろう。

 後でアローに聞いてみよう。


 皇帝陛下が部屋を出るのに続いて、レオニス皇太子が、そして俺が続いた。

 皇帝は小部屋に俺たちを連れ込むと、


 「9歳か。あと半年でアストラル学院に入学する。

  それまでに礼儀作法を完璧にしておけ」

  

 「レオニス皇子宮を出るか?」


 「いいえ父上。皇子宮を皇太子宮としてそのまま使います。

  奥宮を新たな皇子宮に」


 「なるほど。ではルーナは?」


 「正式な婚約者として、皇太子宮に部屋を整えます」


 「ふむふむ。ヴァレンティノ公爵夫妻は手強いが」


 「必ず了承をもぎ取ります。ご心配なく。」


 「ならば良い、ヴァレンティノ公爵夫妻が来られるのは来週だ。

  準備は進めて良いが部屋を移るのは了承を得たあとにしろ」


 「かしこまりました。」


 「それまでは、そなたはここにいるがよい。

  皇后もそなたに会いたがっておる」


 言うだけ言うと皇帝は出ていった。


 「一体なにがどうなっている?」


 「まぁ、兄上。そう焦らないで。そうだ、キャンセルを見せてよ。

  その力のせいで兄上は皇子になるしか道がなかったのだから。」


 その言葉が終わらない内に皇太子の侍従から氷の剣が放たれた。

 俺は知らないうちにキャンセルと叫んでいた。

 皇太子は俺の様子をじっと見ていたが、満足そうに頷いた。

 

 「成る程。よい拾い物だ」


 俺は腹が立った。なんだよこいつ人を道具扱いかよ。

 怒鳴ろうとすると侍従が俺の前で深く頭を下げた。

 

 「皇子殿下に攻撃魔法を放ちました。申し訳ございません。

  いかなる処分もお受けいたします」


 「いいよ、そんなの。命令だろ。気にしてないさ。」


 だが侍従は頭をあげない。

 アローが言う

 

 「皇族に攻撃魔法を使った者は死罪です。彼も覚悟の上かと」


 「何言ってんの。見てたろ。皇太子の命令に従っただけだ。」


 「皇太子殿下は、命令されていません」


 「くっそー。よし命令だ。お前は俺を殺そうとした。だから俺の盾になれ。

  今からお前は俺の侍従だ。頭をあげろ」


 「ありがとうございます。この命に代えてお仕えいたします。

  私はセデスと申します。 お部屋にご案内いたします

  手狭ですが1週間だけご辛抱願います」


 セデスはあっさりと俺の部下になった。

 なんてこった!

 こいつらみんなグルだ。

 セデスが俺の侍従になるのは決まっていたんだ。

 あの腹黒皇太子め。


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