ルーナのお迎え
ルーナが奥宮で生活を始めて半年が経った。
ヴァレンティノ公爵夫妻がルーナを迎えにやって来た。
「ルーナ。約束通りお迎えにきたよ。奥宮はどうだった?楽しめたかな?」
と、ヴァレンティノ公爵が尋ねる。
「お父様、楽しめましたわ。色々なところを探検したのです」
それは……きっと大変だったろう。主にレオニスが。
ニルヴァは密かに殿下に同情した。
「レオニス殿下。大変お世話をおかけいたしました。
ご迷惑でしたでしょう。」
「いや、気にするな。確かに、色々と それはまぁいろいろとあったが……」
あったんだ。やはり。
「ありがとうございました。殿下。さぁルーナ殿下にお礼を言って。
帰りますよ」
リゼリアが促すとルーナはきょとんとする。
「ルーナはレオニスのお嫁さんだよ」
驚いて公爵夫人がレオニスを見ると。
「まぁな。ほら、ルーナを嫁にできる勇者は俺しかいないだろうからな。
貰ってやるから、置いていけ」
「猫の子でもあるまいし、簡単に拾っていいものではありませんよ。殿下」
リゼリア公爵夫人が思わずお説教モードに入ってしまう。
どれだけルーナに対する信頼度が薄いか、わかろうと言うものだ。
「大丈夫だ。半年もたつのだぞ。ルーナは俺がいないとダメなんだ。
俺も忙しい身体だが、まぁ頑張ればルーナの面倒ぐらい見られる
頑張れば……」
頑張るんだ。公爵夫人は呆れてしまった。
「ルーナはどうなの?お家に帰る?ここに残る?」
「うーん。どうしようかなぁー」
迷っている。
「ルーナ。君は僕のお嫁さんだよね。」
「うん」
「お嫁さんは、旦那様と一緒にいるものでしょう?」
「そっかぁー。お母さま、ルーナはレオニスと一緒にいる」
リゼリアはちらりとレオニスを睨む。
今、洗脳しようとしましたね。
「ルーナ。ルーナはレオニスのお嫁さんになりたいのかな?
お嫁さんにならなくてもいいのよ?」
ルーナは少し困った顔をする。
ルーナの手をレオニスがそっと握り、優しく頭を撫でてやる。
「ルーナが選んでいいんだよ。
でもルーナずっと僕と一緒で面白かったでしょう?」
ルーナはにっこりした。
「お母さま。私はレオニスのお嫁さんがいい。
レオニスはとても面白いから」
へー。皇帝の第一皇子、既に黒炎の龍皇子の二つ名を持つ皇子
が面白いねぇ?
ヴァレンティノ公爵夫妻は顔を見合わせて笑った。
ルーナが選んだなら良い。レオニスもきちんと選んでくれた。
もう親の出番はなさそうだ。
「ルーナ、お父様とお母様はプロセイン王国に帰るけど
学院には、あなたのお姉さま達がいるし、お義兄さま方も助けてくれるわ。
何かあったら、相談するのよ。
お父様もお母様も、何かあればすぐに駆けつけるからね」
「はい、お父様、お母様。今日はありがとうございました」
ルーナが美しい礼をした。
あぁ、この子はもうアストラル皇国の皇族として行動している。
少し寂しい気分になったが、
立派に自分の役割を全うしようとする娘が誇らしい。
ヴァレンティノ公爵が横を見るとリゼリアの目が潤んでいる。
ニルヴァは優しく妻の名を呼んだ。
「リゼ」
リゼリアはそっとニルヴァの腕に手を添えた。
「帰りましょう」
公爵夫妻が帰っていくのをレオニスは羨ましく見ていた。
二人がとても愛し合っているのがよくわかったから。
僕とルーナはあんな風な夫婦になれるのだろうか?
父上も母上も僕が恋愛音痴だというけれど、
それはルーナの方だと思うレオニスだった。
何しろ、ルーナはここに残るかどうか、あんなに迷ったのだ。
僕の気も知らないで。
レオニスはむしゃくしゃしたので、
ルーナを抱き上げて皇子宮に連れて帰った。
もうこれでルーナは婚約者だ。
いつまでも奥宮なんかに置いておけるか!
奥宮は新たに第一皇子になったソラにくれてやる。
レオニスはソラの養子縁組と同時に皇太子となっていた。




