黒炎の龍皇子降臨
ルーナはソラの心配の理由が分かったので、ブンブンと首を振った。
「大丈夫よ。私は…」
最後まで言い終わる前にルーナはふわりと抱き上げられた。
「レオニス。まだ朝じゃないでしょう?どうして来たの」
レオニスはリーナの言葉など耳も貸さない。
「貴様か!私の婚約者を、夜中に連れ出したのは!」
レオニスの後ろには黒い炎が燃え上がっている。
「ちょっとレオニス何しているの?何で炎が黒いのよー。」
「問題は炎の色じゃないだろう
何とか言ってくれ。こいつ完全に勘違いしてやがる」
「レオニス。この人落っこちて来たから拾いにいってたの。
多分、今夜落ちてきそーだなぁって思ったらビンゴだったの」
「ルーナ、何でもかんでも拾ってきてはいけません。
元いた場所に戻しておきなさい」
「でもー。レオニス。
異世界に転移させる能力者って、今はいないよー」
「これは異世界から落ちて来たのか?」
「うん、たまーに次元の狭間に迷い込む人がいるの
今夜はその条件に当てはまっていたからね。
落っこちたままじゃ困るでしょう?」
「そいつは困るかもしれないが、ルーナは困らないだろう。
人を助けてばかりいないで、少しは危険も考えて欲しいな」
「わかったから、ソラ君をそんなに脅さないで」
「おや、君は脅されていたのかな?」
ジロリと睨まれて空はあわてて首を振った。
「とんでもございません。殿下」
空は知っている限りの敬語を駆使した。
こいつ、怒らしたらやべー奴だ。
空は先ほどルーナを憐れんだ自分を殴ってやりたい。
こいつ、可哀想どころか、最強の婚約者に囲われているじゃないか!
皇子はソラに興味を失くしたらしい。
「リーナ、もう朝だよ。ベッドにいないから心配したじゃないか。
夜中に大冒険したから、お腹すいたろう。
一緒に食事にしようか」
声も眼差しも先ほどとは大違いだ。
空は砂糖を吐きたくなった。
「はい、レオニス。ごめんなさい。心配かけて。
ソラくんもお腹すいていると思うの」
「大丈夫だよ、こいつの分も用意させるから。」
皇子はギロリとソラを睨むと。
「お前は歩いてこい。一本道だ。着いたら担当者が食堂に案内する」
そう言ってすぐに消えてしまった。
「転移魔法かよ。かっけー」
という空の言葉は、誰にもとどかなかった。
空はとぼとぼと歩きだした。
「あいつ絶対、俺だって転移させられたはずなのに、置いてけぼりかよ」
ぶつぶつ言いながらも足は止めない。
ご飯を貰わないと空腹で死にそうなのだ。
ルーナの方は、レオニスに丁寧に、それは丁寧に洗浄の魔法をかけられた
「汚れてしまったから綺麗にしないとね。
食事が終わったら、お風呂に入って寝なさい。」
それからはルーナの大好きなオレンジジュースを飲んで
エッグベネディクトを食べる。
グリーンサラダとデザートの桃。
最後に、少し甘くしたミルクティー。
ルーナはレオニスが飲んでいるコーヒーが良いのだが、
10歳までは禁止されている。
しっかり食べたら眠くなってきた。
ルーナは寝る前に、しっかり伝えて置かないと、
とばかりにレオニスを見た。
「レオニス。空には魔力があるわ。
9歳だしラインハルトお義兄さまの従僕として
学院に入れてあげて欲しいの。
お義兄さまとお姉さまには、私からお手紙を書いておくから。
レオニスは眉をひそめた。
「そんなにソラが気になるのか?少し妬けてしまうかも」
「そんなんじゃないよ。たぶんあの子役にたつ筈なんだよね」
「それは予言かい?」
「わからないけれど、そうした方がいいと思って探しいいったの」
レオニスはほほ笑んで約束した。
「我が姫の仰せの通りに」
そして騎士みたいにルーナの手にキスをした。




