第42話 ありがとう、カイト伯父さん
そこにカイトが茂みから出てきた。
「そこまでだ、勝負あったな」
ママもなんとか立ち上がって、カイトの方を振り向く。
「バカ兄貴、いるならさっさと出て来いよ。みんな、ボロボロじゃないか?」
「ハハハ、悪かったな。でもさ、自分の好きな男が戦う姿は良かっただろ? リコも本当は嬉しかっただろ?」
確かにパパはカッコよく見えて、その姿は娘としても嬉しく感じた。
ママも図星を付かれたのか、顔を真っ赤にしていた。
「もう、いいから、あっちに行けよ」
「はいはい、分かった、分かったよ。だけど、コイツはまだ説教が必要だから、茂みの方でシメてくるわ」
カイトはシンジの耳を引っ張る。
「痛っ、痛い……」
「おう、痛くやっているからな。俺の妹に手を上げやがって、常識ってことを教えてこんでやるぜ。とりあえず、茂みの向こうで話そうや」
シンジはカイトの殺気に心が折れたようで、みっともなく命乞いをはじめた。
「ううぅう、かっ、勘弁してください。もう、リコには手を出しません……」
しかし、カイトは無言でシンジの耳を引っ張って、茂みの向こう側まで引きずっていく。
それから、最後にこちらを振り向いて、ニッコリと笑顔を見せてくれた。
「トキコ、またな」
「色々とありがとう、伯父さん」
そして、カイトは夕焼け落ちかかっている茂みに消えていった。
私はカイトを色々と誤解していたのだ。冷たいようにみえるが、本当は影で家族を守っていた男だったのだ。今までバカにしてゴメンなさい。
ありがとう、カイト伯父さん。




