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第34話 ミサンガ

私はすぐさまに家に帰ると、カイトに一連の流れを説明した。

「だから、カイトも手伝ってよ。喧嘩強いでしょ?」

「いや、俺は手伝わないぞ」

「えっー、なんで、なんで……。妹の大ピンチでしょ?」

「だってよぉ、テッペイが男になる時だし、自分の女くらいは自分で守るだろ? もし、結婚したらもっと大変な事が増えるから、これくらいの困難を乗り越えられないようじゃダメだ」


まったくの正論であるが、パパがあの3人相手に勝てるとは思わない。それはカイトだって分かっているはずだ。バカだけど、少しは良い所があると思ったのに……。


私は頬を膨らまして怒る。

「もう、いいよ。私がなんとかするもん」

「ほーい、頑張れー」


私はカイトの部屋から出て行き、ママの部屋のベッドに寝転んだ。パパとママは今頃デートして楽しんでいる頃だろうか……。私はバッグから1枚の写真を取り出した。


それは8月31日にパパとママが時空院神社で撮った写真である。写真の中のパパはボコボコに顔を腫らしていた。でも、仲良くツーショット写真を撮れたって事は、パパがシンジに勝ったのだと推測される。


しかし、どうやって喧嘩に勝ったのか? 私が何もしなくても、運がよく勝てたのかもしれない。いやいや、私がタイムスリップしたのは理由があるはずだ。


未来を変えるのに、何かしらの行動をしないと、この写真が変わってしまうかもしれない。私がなんとか、桜井シンジ集団を潰さないといけないのだ。


しばらくすると、ママが部屋に帰ってきた。

「トキコ、ただいま」

「お帰りぃー。どう、デートは楽しかった?」


ママは顔を赤くしながらモジモジとする。

「バッ、バカ……。べっ、別に普通だったし……」

ああ、ママが恋する乙女になっている。パパの野郎うまくやりやがって、このリア充が……。


それから、ママはベッドに座ってきた。

「トキコ、色々とありがと」

「何が?」

「トキコと出会ってからさ、幸せな事が続くようになったからだよ。サチ婆ちゃんの件もお母さんの禁煙もね。それに、アタシがソフト部に戻れたのもトキコのおかげだし……」


ママの言う通り、私が行動をして変えた未来だけど、最後のパパの告白を成功しないと全てが水の泡だ。これが、最大の難関になるとは思わなかった。


それから、ママはやんわりとした表情を見せた。

「トキコって凄いよな。失敗を恐れずに行動できるから、アタシは尊敬をしているよ。それにテッペイとの間を取り持ってくれて、本当にありがとう」


なんだか、ママにちゃんと礼を言われと恥ずかしい。

「まあ、気にしないでよ」

「なあ、これからも友達でいてくれるよな? アタシとテッペイとトキコでさ、3人で仲良く過ごせたら嬉しいよ。トキコ、約束してくれるか?」

「うん、ずっと一緒にいよう」


でも、それは20年後の世界での話だ。だから、嘘はついていないし、こっちの世界では私もまだ存在してないのだから……。私はママとの約束を守る為にも、パパをシンジに勝たせないといけない。それから、8月31日に向けて作戦を考える日々を過ごした。


ふと気が付くと、夏休みもあと数日になっていた。ママはソフト部の仲間と卒業旅行に行っており、パパも美術室で新しい作品作りに精を出していた。


一方の私は桜井シンジ集団を倒す事を考えていた。まあ、そう簡単に良い提案は出ないので、美術部に顔を出して気分転換をしていた。それにパパとの会話はマニアックで面白い。


ふと、私はパパがミサンガを身に着けていた事に気が付く。

「あれ? そのミサンガどうしたの?」

「うん、花火大会の時にリコに貰ったよ。ほら、旗作りのお礼だってさ。リコの手作りだよ」

私は右手首をとっさに隠した。


なぜなら、私が身に着けているミサンガと同じモノだからだ。これはカイトのアルバム写真と同様に、まったく同じミサンガが2つ存在しているのだ。


パパはミサンガを見せると、いきなり頭を下げてきた。

「トキコ、ありがとう」

「えっ、どうしたの?」

「実は中学1年の頃からリコのことが好きだった。でも、クラスが違う上に話す機会もなくて、正直に言うと諦めていたけど、トキコがきっかけを作ってくれて助かったよ」

「それはそうと、中学1年の頃にもう出会っていたの?」


すると、パパはママとの出会いについて語ってくれた。

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