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第33話 桜井シンジの正体

さてと、私もせっかく花火大会に来たことだし、夜店を見てから帰るとするか。


だって、買いたいものが沢山あるし、例えばタコ焼き、りんご飴、チョコバナナなどだ……。そうだ、ママからもらった1000円を使っちゃおう。私だって、2人の恋愛に協力したし、これくらいは報酬として妥当でしょ?


すると、近くに桜井シンジ集団がいた。すでに女子は帰っており、男子だけの集まりになっていた。まあ、気にすることもないと思ったが、全員が煙草を吸っていたのでビックリした。


丸坊主男、長髪男、そして桜井シンジの3人だ。こいつら、不良だったのか? 私は暗闇に紛れて、3人の会話を盗み聞きした。


まず、丸坊主の男がヘラヘラと口を開く。

「まさか、シンジが振られるとね。これ、どうするのよ?」


すると、シンジが丸坊主男の胸倉を掴む。

「おい、なんか文句あるのか?」

「わっ、悪かったよ、落ち着けよ」


長髪の男は携帯電話で誰かと話をしているようだ。この時代に携帯電話を持っているって、家が金持ちなのかもしれない。


しばらくして、長髪男が携帯電話を切った。

「おい、大変だぞ。時空院とリコがデートしているみたいだぜ。それに、あの2人付き合うみたいだ。シンジ、いいのかよ?」

おそらく、電話の相手はパパとママの尾行役だと思われる。


シンジは怒声を発して、地面の空き缶を蹴り飛ばした。

「バカ、いいわけねーだろ。時空院の奴、ザコのくせに調子に乗りやがって、明日にでもシメに行くぞ。この俺があんな奴より下とは認めねえし、時空院にリコはもったいないぜ」


坊主男も頷いて賛同する。

「まあ、リコは性格がアレだけど、見た目はカワイイからな。ところで、シンジはマジでリコに惚れていたのか?」

「まあ、見た目だけな。リコは性格がクソ生意気だろ? それに簡単には落ちない女だ。だから、俺の先輩に頼んで、海水浴に来てたリコを襲わせたわけよ。そこで、俺が助けて惚れされるはずだった……。でも、何故か時空院のザコがいてさ、先輩達に殴りかかったのよ。それを見てリコが惚れちゃったのかもしれねえ。女って基本バカしかいないからな」


なるほど、これが桜井シンジの正体だ。まあ、裏表のない人間なんていないけど、コイツはかなりの悪党なのは間違いない。


海で不良に襲わせたのも、ママを騙すためだったのだ。表向きは優等生のサッカー少年に見せかけて、裏では不良のボスみたいな存在だったわけだ。


学校の先生って、こういうタイプの正体に絶対に気がつかないよね。いつも授業中に注意されるのは、私のような大人しい生徒ばかりだ。まったく、大人は子供の何を見ているか不思議だ。


それから、シンジは2本目の煙草に火をつけた。

「お前ら、あの2人を引き裂く作戦でもないのかよ?」


すると、長髪の男はニヤリと口元に笑み浮かべた。

「シンジ、尾行させた後輩の話によると、8月31日に時空院がリコに告白するらしいぞ。ほら、8月31日はリコの誕生日だろ? 告白が誕生日プレゼントってわけだ」

「時間と場所は?」

「夕方の6時頃に時空院転生神社だ」

ヤバい、ヤバいじゃん。情報が筒抜けだよ、どげんしよう?


シンジは嬉しそうな表情で、煙草を地面に投げ捨てた。

「よし、俺らも行くぞ。あの2人に最高の思い出を作ってやろうじゃないか……。ワハハハハ」


これはマズイ事になった。こいつらを何とかしないと、未来に帰れなくなっちゃうよ。こうして、私は最後の戦いに巻き込まれていくのであった。

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