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第28話 人生は邪魔が入るもの

そういえば、パパの手紙に名言が書いてあったな。


あれは使えるかもしれない。

「テッペイ、バットは振らなきゃ当たらないって事だよ。可能性は低くても、行動すれば成功する可能性はあるよ。告白するだけすればいいし、ダメなら諦めもつくでしょ?」

「その言葉どこで? バットは振らなきゃ当たらないって……」

「私のパパが言っていた名言だよ」

そう、14歳のパパが言っていたのだ。だから嘘はついていない。


その名言に即発されたのか、パパはゆっくりと頷いた。

「よし、分かった。リコが部活を引退したら、俺も告白してみようと思う」

よし、とりあえず自信をつけてくれた。


告白ができれば可能性はゼロじゃない。

「もちろん、私もサポートするよ」

「だけど、なんで俺の味方をするの? トキコにメリットないだろ?」

「うーんと、そうだね……。もし、2人が結婚したら、凄く可愛い子供が生まれると思ったからかな?」


その理由にパパは首を傾げていた。まあ、実際はどうしようもない子供が生まれるのだが……。 


パパの恋愛に協力する夏休みが始まった。ママはソフト部、パパは美術部、桜井シンジはサッカー部で3人とも夏休みは学校にいた。


私は出来るかぎり、パパとママが一緒にいる時間を作った。2人が確実に会うのは、応援団の旗デザイン作成の時だけだ。そう、忙しい部活の合間にぬって、旗作りをしていたのだ。


その間はこのような日常を過ごしていた。

「テッペイ、旗のデザインは出来た?」

「ああ、こんな感じでどうかな?」

そう言って、パパはデザインした絵を見せてくれた。


赤組は鳳凰、白組は白虎、緑組は龍の3種類のデザインである。リアルな絵ではなく、ゆるキャラのようなヘタウマな可愛さがあった。


私はとにかく誉めまくった。

「まっ、可愛いし女子には受けそう。リコもそう思わない?」

すると、ママは噴き出した。

「アハハ、本当にブサ可愛いよね。これなら、みんなも納得するでしょ」

でも、本当に味があるデザインなので、私は凄く気に入っている。


パパはデザインを褒められて嬉しそうだった。

「じゃあ、これで旗を作成するよ。布や棒とかはどうすればいい?」

ママは封筒からお金を出した。

「ああ、旗の製作費は貰ったよ。これで必要なものを買えばいい」


私は3人で買い物行くことを提案した。

「じゃあ、みんなで材料を買いに行こうよ。リコもテッペイもいいでしょ?」

「ああ、俺は大丈夫だよ」

ママも頷いて同意した。


こうして、3人はホームセンターに行った。ホームセンターは広々としており、入口にはレンガやブロックまで売っていた。店内も広くて、色々な資材が並んでいた。


目的は赤組、白組、緑組の大きな旗を1本ずつ作成することだ。旗の布に当たる部分と、持ち手となる木の棒をカゴに入れる。


ママはメモを見ながら材料の確認をする。

「テッペイ、他に必要なものはあるか?」

「えーと、後は色を塗るスプレーも買っていこう」

パパはスプレーのある戸棚に移動した。どうやら、真ん中に守り神のキャラクターを描いて、空白部分は各組の色スプレーで塗り潰すらしい。手先の器用なパパなら簡単なはずだ。


ママはスプレーを選んでいるパパに話しかける。

「そういえば、夏休みに投稿する漫画の作成は大丈夫なのか? 旗作りと一緒だと大変だろ? アタシにも手伝えることある?」

「じゃあ、旗の色塗りは手伝ってほしい。スプレーで塗るだけだからさ」

「それくらいなら、アタシでも出来そうだよ。それと、色々と手伝ってもらってゴメンな。テッペイからのお願いはないの?」


おお、これはデートに誘って、2人の距離を近づけるチャンスだ。だけど、パパはその返事に迷っているようだ。おそらく、デートの経験がないので不安なのだ。ふと、私は夏休みのイベントを頭に思い浮かべた。


確か8月25日に地元の花火大会があるはす。いつも海岸の近くで開催されており、珍しい水中花火も見る事ができる。


もちろん、たこ焼き、かき氷、金魚すくいなどの夜店も出店される。それに花火大会といえば、夏の恋愛スポットの定番だ。このイベントで付き合うカップルも多いはずだ。そうだよ、花火大会を利用する手はない。


私はわざとらしく、手を叩いて大声をあげた。

「そうだ、3人で花火大会に行こうよ。そこで、リコがテッペイになんか奢ってやりなよ。私も浴衣とか着たいしね。この提案よくない?」

「いいよ、アタシもその頃は部活も引退しているし、時間もあるから大丈夫だよ。まあ、かき氷と焼きそばでも奢るよ。テッペイもそれでいいか?」

「うん、俺もそれでいい」


私はママが花火を好きなのを知っているので、必ず乗ってきてくれるのは分かっていた。3人で花火大会に行って、途中で私が迷子のフリをして離脱して、2人きりにして告白をさせればオッケーだ。そこはパパが自分の力でやらなければいけない所だ。


でも、パパなら出来ると信じている。こうして、私達は旗の材料を購入してホームセンターを後にしたのだ。しかし、その帰り道にピンチが訪れる。いつだって、人生は邪魔が入るものだ。

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