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第16話 時空院トキコはバカである

カイトは意外にもタイムスリップの話を信じた。

「じゃあ、お前が俺の姪っ子ってわけか?」

「ええ、リコの娘になるってことです」

「ふーん、ブスだなあ。生きていて楽しいのか?」


いい加減に殺すぞ、コイツ。私だって美人に生まれたかったに決まっているだろうが……。もう、コイツに敬語は使わない。純粋な女子中学生に酷い事するんだもん。


可愛いと言われた事はなかったが、ブスと言われた事もなかった。自分では少しはカワイイと信じていいのだが……。ぐすぐす、涙が溢れてきそうだ。なんで、そんな酷い事言うの?


カイトはクスクス笑った。

「冗談、冗談だよ。ちょっと、眼鏡を外してみろ」

「なんで?」

「なんでもだ」


私は言われたとおりに眼鏡を外した。

「はい、これでいい?」

「あっー、目元はリコに似ているかもしれないな。頑張れば、化けるかもしれないぞ。それに素材は悪くねえぞ」

「えへへ」


デヘヘ、素材はいいんだな。ということは、私ってカワイイのかな? ウフフ、やっぱり、褒められると嬉しいものだ。グングンとテンションが上がってきた。


そして、カイトはこちらを見る。

「ところでさぁ、お前は未来に帰りたくないのか?」

「バカ、帰りたいに決まっているでしょ」

「多分な、お前が満足したら未来に戻れると思うぞ。SF映画とかの設定でもそうだし……。さっきの説明だと、変えたい未来が3つだっけ?」

「うん、3つだよ。1つ目はサチ婆ちゃんの死に目に会わせること。2つ目はパパとママの出会いを潰すこと。この2つは完了しているから、後はキョウコお婆ちゃんの禁煙だけだよ。それで、私は満足すると思うけど……」


もし、カイトの言う事が正しいなら、キョウコお婆ちゃんの禁煙を成功させれば、2017年の世界に戻れるかもしれない。そう、2つは満足をして完了しているのだ。だから、あと1つだけ頑張るだけだ。


そこで、カイトが噴き出した。

「ガハハハ、なんでパパとママの出会いを潰したんだ?」

「私がダメ人間なのはパパの遺伝子のせいでしょ? だから、ママにはもっと良い男と結婚させて、私も優秀な遺伝子を引き継いだ人間に生まれ変わりたいの。いわゆる才色兼備で容姿端麗な人間にね」


つまり、私は人からバカにされない人生を送りたいのだ。しかし、カイトは腹を抱えて、ゲラゲラと笑い転げ始めた。人が真剣に話しているのに、何がそんなに可笑しいのか? 


まったく、デリカシーのない男だ。

「ねえ、何が可笑しいのよ?」

「ガハハ、本当にバカな女だな。お前さぁ、冷静に考えてみろよ。お前のパパがテッペイだっけ? そのテッペイとリコが結婚するから、トキコが生まれたんだろ?」

「うん、そうだよ」

「ということは、リコと他の男が結婚したら、お前の存在が消えるって事だぞ。さっきの写真見ただろ? 過去と未来が連動しているはずだ」

「えっ、そうなの?」


いや、確かに冷静に考えると……。パパの遺伝子があるから、オタク趣味を楽しめている私が存在しているのだ。つまり、パパの遺伝子がないと、時空院トキコという人格は消える。私は死ぬのか? 


死ぬって事はママやユキちゃんに会えなくなる。嘘でしょ? そんなの嫌だ、嫌だ、嫌だ……。私はパニック状態になって、手足をバタバタと動かして泣き崩れる。

「いっ、嫌だ、嫌だ……。うっうう、消えたくない、消えたくないよ……、まだ、死にたくないよ、ぐすん、ぐすん……」


しかし、姪っ子のピンチにカイトは、ベッドを叩きながら爆笑していた。

「ガハハハハハ、本当にアホな女だなぁ。イヒヒヒ、アホ過ぎて笑いが止まらないぜ」

そう、三日月を横に倒したような目で、ニヤニヤと笑い続ける。まったく、人の命がかかっているのに……。


そこにママが部屋に入ってきた。

「あっー、兄貴がトキコをいじめている」

「いやいや、コイツが勝手に泣き出し……」


私はカイトの言い訳よりも素早く、ママに駆け寄って足を掴みながら懇願した。

「ママ、大変だよ。頼むから、パパと結婚してぇえー。私が消えちゃうよ、そんなの嫌でしょ? ねえねえ、娘が可愛くないの?」

「いや、何を言っているか意味不明だけど?」


ママは困惑した表情をしていたが、私はおもちゃを買ってもらえない子供のようにダダをこね続けた。つまり、手足をバタバタと、床を這いずり回ったのである。


その光景を見たカイトは大声で爆笑していた。

「ガハハ、面白い、面白すぎる。ヤベ、笑いすぎて、喉が……ごほっ、ほごっ……」

どうやら、笑いすぎて、喉に唾が入ったようだ。


一方のママは心配そうな顔で、私の頭をポンポンと叩く。

「なあ、落ち着けって……。兄貴に何かされたのか?」

「私はまだ死にたくないよ、ぐす、ぐす……」

私はそうめんを啜うように、鼻水をズルズルと啜らせていた。

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