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第15話 さよなら、サチ婆ちゃん

病院に着くと、全員が走りながら病室へ向かった。部屋に入ると、ベッドに横たわるサチ婆ちゃんがいた。私の曾祖母であり、会うのはもちろん初めてである。


まっさきにママが駆け寄った。

「サチ婆ちゃん来たよ……」

「………」

だが、サチ婆ちゃんは酸素マスクをしており、もはや声が出せない状態なのだと思う。なので、一言も発することはなかった。


ママは意思表示として、サチ婆ちゃんの手を握る。

「リコだよ、分かる?」

「………」

「大丈夫、大丈夫だよ。お母さん、手を握り返してくれているよ。まだ意識はあるみたいだよ」


すると、キョウコお婆ちゃんも手を握る。

「母さん良かったね、みんな来てくれたよ……。カイトもリコも元気だからね。寂しくないからね」

そう言うと、サチ婆ちゃんの目に涙のようなモノが見えて気がした。


次にカイトも手を握った。

「俺だよ、カイトだよ……。色々と迷惑かけてゴメンな。あとは任せておけよ、オフクロとリコは俺が守るから……」

3人共もう助からないと分かっているから、最後に悔いのないように挨拶をしているのだ。


そして、20分後にサチ婆ちゃんは亡くなった。愛する家族に囲まれて天国へ旅立ったのだ。ママは亡くなる最後まで、サチ婆ちゃんの手を握っていた。これで未来のママの悔いがなくなればいいと思った。とりあえず、変えたい未来の一つは変えられたのであった。


それから数日後に葬式も無事終わった。葬式にはママのソフト部の仲間が来てくれて、喧嘩中のハルミやレイカもお焼香をあげていた。ママと何かを話していたが、会話までは聞き取れなかった。


それから、火葬場ではママも満足したような顔をしていた。何かにふっきれたのかもしれない。しかし、赤の他人であるはずの私が葬式まで何故参加できたのか? 葬式までの数日間も、ママの部屋に泊めてくれたのだ。


普通はこんな事ありえないのだが、全てはカイトがそうなるように手をまわしていた。


私は葬式後にカイトの部屋に呼びされた。

「なあ、お前がなんで呼ばれたか分かるか?」

「いえ……」

「オフクロがお前に感謝しているそうだ。このアルバムを見せなければ、サチ婆ちゃんの死に目に会えなかっただろうよ。その点は感謝しているよ」


どうやら、キョウコお婆ちゃんは私のおかげで、最後を看取れて嬉しかったみたいだ。その代わりに、いつでも泊りに来てもいいと言われたみたいだ。その説明をしてくれたのだ。


それから、カイトは窓を開けて煙草に火をつけた。

「それでな、お前に聞きたいことがある?」

「なっ、なんでしょう?」

「お前の持っていたアルバムは何処で手に入れた?」

「……!」


私がダンマリを決めようとしたが無駄だったみたいだ。カイトはまったく同じアルバムを見せてきた。そして、私を追い詰めてきたのだ。

「おい、なんで同じアルバムが2つ存在している? 中身の写真も全く同じだぞ」


もう、これは言い逃れが出来ない。元々はカイトが上京後に実家に残していったアルバムだ。私がそのアルバムみつけて、いつか使えると思って自分のモノにしたのだ。そして、私が2017年の時代からアルバムを持ってきたのだ。


もちろん、カイトの部屋にも1997年時代のアルバムが存在している。だから、まったく同じ、2つのアルバムが存在するという矛盾が生じた。さて、どう誤魔化すか? ひょっとして未来人とかバレたら、大変な事になるのではないか?


私は下を向いてボソボソと喋って誤魔化した。

「いや、偶然じゃないですか? アハハ……」

「ふーん、そうか……」

カイトは2枚の写真を取り出す。


それは別々のアルバムから取り出されたが、写真はまったく一緒のものだった。

「この2枚の写真を見ろ」

「まったく、同じ写真ですけど……。これが何か?」

カイトは写真の1枚にライターで火をつけた。瞬く間に写真が灰になっていく。


それから、数秒後に火を点けてないのに、もう1枚の写真も灰になった。写真が未来と連動しているのか? 例えばママが死んだら、私が存在しなくなる原理と一緒だろう。


カイトはこちらをニヤリ顔で見てきた。

「さて、ちゃんと説明してもらおうか?」

「くっ、話しますよ。多分、信じてもらえないと思いますが……」

私はもう逃げられないと判断して、今までの経緯を全て話し始めた。

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