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第11話 コギャルとアムラー(ママの過去編)

アタシは家に帰宅すると、兄貴の部屋からガタガタと物音が聞こえた。


何の音だろう? 今日は色々とあったし、たまには顔を出してみることにした。

「兄貴、ただいまー」

「おう、リコどうした?」

「いや、何をしているのかと思ってさ」

「ああ、部屋の掃除だよ。いらないモノは捨てているのよ」


兄貴の部屋の周りを見ると、沢山のダンボールだらけであった。おそらく、上京する前に部屋の整理をしているのだ。


すると、兄貴がダンボールの一つを差し出してきた。

「これさ、元カノが置いていったモノだから、欲しいモノがあったら持って行っていいぞ」

「そう言いつつ、ゴミを処分させるのが目的だろ?」

「ガハハ、ばれたか……。でもよ、中に宝物があるかもよ。ほら、たまごっちもあるしな」

どうせ、暇な時間はタップリあるから見てみるか。


チラリと見ると、洋楽のCDもあるし、確かに掘り出しものがあるかもしれない。

「まあ、一応は見ておく」

「ところで、相談したい事があるんじゃないか?」

「えっ、なんでそう思ったの?」

「ガハハ、リコは顔に出やすいからな。それに俺の部屋に来るのも珍しいから、何かあると思ってカマをかけただけだ」


さすがはアタシの兄貴だ。女に不自由しないだけあって、駆け引きみたいのが上手い。


おそらく、嘘を言っても通用しなそうだ。

「兄貴、ソフト部をやめるかもしれない」

「そうか、リコが決めことだ。好きにしろ」


兄貴は怒ることもなく、落ち込む表情もしなかった。ただ、聞くだけのスタイルのようだ。昔の兄貴だったら、中途半端に辞めるなと怒鳴っていたはずだ。社会人経験をして変わったのかもしれない。


その旨を伝えてみた。

「兄貴なら説教するかと思った」

「してもしなくても、リコの気持ちは変わらないだろ?」

「うん」

「まあ、最後は後悔しないように自分で決めろ。人生は自己満足だぞ」

「うん、ありがとう」

アタシはダンボールを抱えて、自分の部屋に行った。


自分の部屋に入ると、もらったダンボールをひっくり返した。音楽のCDアルバムが7枚、銀のブレスレット、可愛いピアス、未開封のルーズソックス、バーバリーのマフラー、たまごっち、髪染めのヘアカラーなどが入っていた。


明日からはもう自由だし、人生に一度はアムラーみたいな恰好をしてみたかった。まずは髪を茶髪に染めることにした。まず部屋にあった45リットルのゴミ袋に穴をあけた。そこに顔だけを出して、髪を徐々に染めていった。30分後には色が抜けて、軽い茶髪の色になっていた。


次はルーズソックスを履いて、制服のスカートを上げて安全ピンで止めた。耳にはピアス、手首にはブレスレットを付けて、スクールバッグにはたまごっちをつけた。


全身鏡で自分の姿を見た。

「なかなか、イイ感じだね、あとで、眉毛も細くしよ」

まあ、安室ちゃんって言うよりはコギャルだけどね。コギャルデビューだぜ。


明日からは部活もないし、クラスの友達とカラオケとか行ってみよう。別に部活が人生の全てじゃないし、プロになるわけじゃないもん。サチ婆ちゃんゴメンね、アタシは嘘をつくような人間になったよ。自分への罪悪感なのか、心のモヤモヤだけは晴れそうもなかった。


次の日に学校へ行くと、真木先生に呼び出された。理由はソフト部に戻れとのことだが、アタシも頑固でプライドが高いので断った。真木先生はいい先生だから、本当は心配させたくなかったので心が痛んだ。


他にも髪や服装も注意されたが、しばらくは戻す気は無かった。本当は誰に心配してほしくて、派手な格好をしていたのだと思う。いわゆる、思春期の反抗期だったのだ。


それと、ソフト部は部活を再開した。どうやら、ハルミが部長で仕切っているみたいだ。学校ではソフト部の人間とすれ違っても、向こうから隠れてしまう状態だ。アタシの恰好に怯えているのかもしれない。別にカツアゲとかもしないのに……。


ただ、ハルミだけは声をかけてきてくれる。

「リコ、いい加減に素直になりなよ。本当はみんなも心配しているよ」

「あっ、そう……」

アタシはかつての親友にもこんな態度なので、他の部員はもっと近寄らない感じだ。


クラスでも少し浮いている気がした。それでも、クラスメイトの不良グループの子は声をかけてくれてきた。前からアタシには一目置いており、友達になりたかったみたいだ。


そのグループとカラオケやゲーセンに行ったが、あまりに楽しいとは思わなかった。向こうにもその気持ちが分かったのか、だんだんと誘われなくなっていった。クラスで孤立して、部活でも孤立して、だんだんと居場所が減っていった。


別にイジメもなく、ただ孤独な状態なだけだ。3週間前まではクラスの中心人物だったのが、現在はこうなるものだから人生は分からない。この日から、アタシは街でブラブラするようになった。


もちろん、母親に部活に行っていると見せかけるためだ。でも、この格好のことも何も言わないので、ハルミ経由で部活の件を知っていたかもしれない。

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