第4話 未来を変えられる?
しかし、ママは臨機応変に対応をした。
「ああ、学校の友達だよ。母親が入院していて、家にいると不安みたいでさ……。今日だけ泊めてやってくれよ。別にいいだろ?」
まるで詐欺師のように、ママは息を吐くように嘘をつく。まあ、こんな適当な嘘がポンポンと出るものだと感心した。いつも、私には嘘は大嫌いだと説教しているくせに、自分が中学生の時は嘘をつきまくるのかよ。
だから、大人は信用できない。ただ、ママの嘘はお婆ちゃんを誤魔化せるのかな?
しかし意外にも、キョウコお婆ちゃんは笑顔で頷いてくれた。
「そうね、別にいいわよ。泊まっていきなさい。アナタ名前は?」
「とっ、トキコです」
「あら、可愛い名前ね」
そこに、ママが不貞腐れた顔で入ってくる。
「おいおい、お母さんは疑り深い性格だろ? トキコがどういう人間かは聞かないの? 見た目はこれだけど、悪い不良かもしれないよ」
キョウコお婆ちゃんは手を顎に当ててから、不思議そうな顔で首を傾げた。
「正直、私にも分からないわ。でも、この子って凄い可愛く感じるのよ。何か甘えさせたくなるっていうか……。頭をナデナデしたくなるような可愛さがあるのよね。何でかしら?」
「トキコって可愛いか? 母さん、目が悪くなった?」
「ウフフ、タヌキさんみたいで可愛いじゃないの?」
「アハハ、確かにドンくさそうな顔しているし、かちかち山のタヌキみたいだよな」
2人は私の顔を見ながら大爆笑した。くそ、バカにしやがって……。
だけど、2017年のキョウコお婆ちゃんはこう言ってくれたよ。
「トキコはお姫様みたいで、テレビのアイドルよりも可愛いわよ」
でも、本音ではタヌキに似ていると思っていたのか……。それでも、孫補正が入ると、タヌキからお姫様に見えるから凄い。
孫は目に入れても痛くないというのは本当なのかも……。とにかく、今日の寝床は確保できたから良かった。でも、明日からどうしよう? 私は元の世界に帰れるのか不安で一杯であった。
ママは私の肩を叩いてきた。
「とりあえず、私の部屋に行こう」
「うっ、うん」
そう返事をして、リビングを出たのであった。
私達は階段をのぼり、2階のママの部屋に入った。この時代はママの部屋であるが、20年後には私の部屋になっているのだ。
ママの部屋はシンプルに片付いており、本棚には参考書とCDアルバムが沢山あった。ちゃんと整頓されているのが性格に出ている。今はギャルの恰好をしているが、根は真面目な所は変わらないのかもしれない。
私は本棚のCDアルバムを手に取った。
「へー、安室奈美恵ばっかりだね」
「ああ、学校で人気あるからね。トキコは好きなアーティストとかいるの?」
「私はアニソンかな? ボカロも大好きだよ」
「何それ? 海外アーティスト?」
「フフフ、そんなところだね」
それから、ママとたわいのない雑談をした。今は色々な人から、情報を集める事が大切なのだ。私が現代に戻るヒントが何処かに隠されているはずだ。しばらくすると、キョウコお婆ちゃんが部屋に入ってきた。
その手には布団を持っていた。
「トキコちゃん、今日はこれを使ってね」
「あっ、ありがとうございます」
「それと、夕食の支度をしたからね」
「すっ、すいません」
今は他人なので緊張しまくって、うまく舌がまわらない。
そこでママが肩を叩いて来た。
「トキコ、遠慮しなくていいぞ。私のお母さんは料理人だ。だから、料理を人に食べさせるのも仕事ってわけさ」
「うん、知っている。チャーハンが特に旨かったよね」
「えっ?」
「いや、何でもない、何でもない……」
おっと、危ないとこだった。キョウコお婆ちゃんは定食屋の料理人だったけど、私がその情報を知っていたらダメだ。あんまり余計な事を言うと、未来が変わってしまうかもしれない。
いや、逆に未来を変えられる状態でもあるのか? それより、今は腹が減って頭がまわらない。今は夕食のことだけ考えよう。私達はリビングに向かった。




