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第3話 キョウコお婆ちゃん

私はリコから情報を聞くために話を合わせた。

「リコ、私もゲームボーイ持っているよ。何のソフトをやっているの?」

「ああ、ポケットモンスターってゲームだよ。去年に発売して人気で面白いよ」

「へっー、ゲーム以外に趣味あるの?」


すると、リコはマイクを持ったような仕草を見せた。

「ああ、音楽も大好きだよ。やっぱり、安室ちゃんが一番だよ。カラオケで絶対に歌うからね。同じ10代としては生き方やファッションも憧れるよ」


それから、何個か質問して嘘をついてないか探った。それは家族でしか知りえない情報などだ。その結果、現在が20年前の可能性が高くなってきた。しかし、私は情報だけで信用するほど甘くない。


だから、リコの家に行けば全てが分かる。私の家と同じ場所だったら、ドッキリではなくて、タイムスリップが事実だと受けいれるだけだ。


私は直球勝負に出た。

「ねえ、今日だけ家に泊めてくれない?」

「おいおい、初対面の人間に頼むことかよ。自分の家あるなら帰れよ」

やっぱり、ダメに決まっているよな。


そこで、私は財布から1万円を差し出した。

「これで、どう?」

「バカ、お前の稼いだ金じゃないだろ?」

「ごっ、ごめん」

「ママが心配してるぞ、早く帰れよ」


ふう、現実は厳しいな。たしかに、よく知らない人間を家に泊める方が異常である。そう思われたのだが、ここで奇跡が起きてしまうのである。


リコはため息をつきながら、こちらの顔をマジマジと見てきた。

「いや、気が変わった。アタシの家に来いよ」

「えっ? さっきはダメって言ったのに……」

「それはアタシにも分からない。なんか、トキコを見ていると、なんだか危なっかしい感じがする。それにさ、なんとなく……」

そこで、リコは下を向いて黙ってしまう。


私は言葉の続きが気になった。

「なんとなく、何?」

「いや、なんでもない。とりあえず、神社を降りよう」

「うん、ありがとう。でも、親とかは大丈夫なの?」

「平気、平気。お前みたいな真面目そうな奴なら大丈夫だよ」


よし、とりあえず交渉は成立だ。あとはリコの家に行って確かめるだけだ。私達は神社の1000段の階段を下り始めた。


時刻は8時近くになっており、辺りは真っ暗になっていた。しばらくすると、いつもの住宅街を歩いていた。そう、私の家の近くの通学路である。いつも、見慣れている光景であるけど、若干の違和感はあった。例えば、自販機の位置やコンビニの場所が微妙に違うのだ。


リコは道案内の役なので、ゆっくりと先頭を歩いて行く。その背中を見ると、どこかママの面影を思わせるのだ。


そして、リコが足を止めて振り向く。

「トキコ、ここが私の家だよ」

それはどう見ても、私の自宅であった。なんか、綺麗で新しくなっているし……。いや。20年前だからキレイなのかもしれない。


リコが門を開けると、玄関までズンズン歩く。

「トキコ、ちょっとそこで待っていろ」

そして、勢いよく玄関を開けて大声を出した。

「おーい、可愛い娘が帰ったぞぉー」

すると、バタバタと人が走って来る音がした。


私はその人物を見て驚いた。なぜなら、元気なキョウコお婆ちゃんだったからだ。名前は竹ノ内キョウコでママの母にあたる人だ。私のいる世界では老人ホームにいるはずだ。


原因は煙草の吸いすぎで、肺を患っているからだ。しかし、細身でスラリと背が高く、ベリーショートな髪型は変わらない。ちょっと若いけど間違いない。もう、疑念などは吹っ飛び、現実を認めなければならない状況になったのだ。


そう、私がタイムスリップをしていることを……。ということは、隣にいるギャルはやっぱりママであった。


キョウコお婆ちゃんは中学生のママに説教を始めた。

「リコ、もう8時だよ。また、カラオケ行っていたの? 自分が受験生だって分かっている?」

「だから、期末テストで結果出しましたけど? 私は学年で3位だったな……」

「うっ、それはそうだけど……」

「なら、問題なくない? ストレス解消も必要だしね。そうしないと、受験勉強も集中できないよ。別にさぁ、ずっと家に閉じ籠ってもいいけど、受験失敗したら責任とれんの?」

「くっ……。そうね、もういいわ。中に入りなさい」


どうやら、ママの方が一枚上手みたいだ。結果を出している以上は、お婆ちゃんも何も言えないのだろう。


なので、こちらに話題を変えてきた。

「あら、この子は誰? こんな時間にどうしたの?」

ヤバい、親に連絡とれとか言われたらどうしよう? 


この時代に私を知っている人間はいない。もし警察に存在しない人間だと知られたら、かなり面倒な事になるのではないか?

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