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第31話 タイムカプセル

賽銭箱の前には3~5段の石段があり、これは椅子の代わりになりそうである。


私は賽銭箱前の石段に座って、バッグの中から水を取り出してゴクゴクと飲む。そして、カロリーメイトをモグモグと食べる。うん、運動後の食事は2倍増しで美味しい。


私は登って来た階段の方を見ると、自分の住んでいる街が一望出来た。私が14年間生きてきた街だ。ママやパパとファミレスに行ったり、ユキちゃんと駄菓子屋で買い食いしたり、楽しい事も色々あった。だけど、それ以上に嫌な思い出がてんこもりだ。


勉強もスポーツも出来なくて、顔も可愛くない女子にとって、こんな田舎の学校生活は地獄でしかない。でも、明日からは東京に行って人生をやり直そう。東京なら、きっと何か見つかるはず。


さて、今頃は捜索願を出されて大事になっているかもしれない。いや、出されていない可能性もあるどっちにしても、捕まったら家に強制送還をされて説教地獄だ。そうなると、東京には警察に見つからないように行くしかない。


まず1人で行った事はないので、スマホで東京への行き方を検索する。地元の駅は見つかる可能性が高いので、隣の駅まで徒歩で移動して、そこから電車に乗って東京へ行けばいい。


隣の駅までは徒歩で30分位かかり、そこから電車で2時間半ってところだ。3時間もあれば上京できるってことだ。その点は千葉に生まれて良かった。


今日は神社の屋根の下でバッグを枕にして寝よう。その為にもバッグから、固い携帯ゲーム機や漫画を取り出して地面に置く。すると、私はバッグの底に何かを見つけた。それは1週間前にみつけたパパの手紙だった。


そういえば、この神社に宝物を埋めたとかって内容だったな。まったく、これだから中二病のオタクは……。仕方ない、このトキコ様が見つけてやるよ。どうせ、暇だしね。


私は手紙を確認すると、次のようなメッセージが記していた。

『本殿の下の金色のレンガの下を掘れ。そこに宝物がある』


他にも地図が書いてあり、場所は時空院転生神社で間違いない。つまり、この神社の本殿の下で金色のレンガを見つければいいだけだ。そのくらいは私にも出来るはずだ。


すぐに本殿の下に入ると、薄暗かったので、スマホをライト替わりにした。中腰で屈まないと入れない高さなので、犬のようなポーズで少しずつ進んでいく。


もう、20年前くらいの話だから、近所のガキに掘り起こされている可能性もある。私は周りを見回すと、あっけなく金色のレンガがあった。


金色のレンガとは名ばかりで、実際に金で作成されているわけではなく、金色スプレーで雑に塗り潰されたレンガだ。ところどころは塗装が剥げており、所詮は中学生らしい粗い作りであった。


その時、頭の上に何かが落ちて来た。私はその何かを掴んで確認すると、大きな蜘蛛であったのだ。蜘蛛は無数の足をクネクネと動かしていた。

「ぎやあぁあああああぁー」

私は奇声をあげながら、その場立ってしまい盛大に頭を打った。

「おごっ……」


再び、その場に屈んで頭を抱える。マジ痛い、マジ痛い、マジ痛い、ふざけんなよ。私は頭を両手でさすった。あぁーあー、タンコブになっているよ。もう、今日は最悪の厄日だ。しかし、大きな蜘蛛はいつのまにか消えていた。勢いで握りつぶさなくて本当に良かった。


それより、今は目の前の宝物箱だ。私は近くに割れた植木鉢を見つける。よし、これをスコップ代わりにして、金色のレンガの下を掘ろう。約5センチ近く掘ると、お菓子のブリキの箱が出て来た。


私はお菓子のブリキの箱を持って、賽銭箱前の石段まで移動をした。そこで膝や制服についた土を払った。ブリキの箱の蓋を開けてみると、薄汚れた1本の紐と手紙が入っていた。紐には柄が入っていて、ファッションアイテムに見えなくもない。


私はスマホで調べみると、90年代にサッカー選手の間で流行ったアイテムらしい。名称はミサンガ。手首や手足に巻き付けて、紐が切れたら願い事が叶うみたいだ。簡単に言えば、お守りみたいなものだ。私は手紙の方も確認した。



未来のテッペイへ


俺の人生で一番嬉しかったのはリコと出会えた事だ。リコから貰ったミサンガを身に着け、告白が成功した日に紐が切れた。だから、このミサンガを家宝にしようと思う。


もしかしたら、俺とリコは結婚するような気がする。そのくらい、中学生最後の夏休みは不思議な体験をした。俺は不思議な少女と出会い、自分の人生を変えるに成功した。


もしかしたら、時空院転生神社の女神様だったのかもしれない。まだまだ、世の中には科学では解明できない事もあるみたいだ。もし、祖先が発見したら大切に扱ってほしい。このミサンガには不思議な力があるのだ。


14歳の時空院テッペイより。



うげっー、うげっー、気持ち悪い文章で鳥肌が立った。中学生のくせに結婚とか、それに不思議な少女、女神などオタクっぽい用語ばかりだ。しかし、パパは何の目的でこんなことをしたのか? 


多分、タイムカプセルってやつだ。前にテレビで見たけど、昭和の子供の間で流行ったらしい。しかし、このミサンガは可愛いデザインだ。女の子がつけてもオシャレな感じかも……。私はミサンガを手首に巻いてみた。


これで、少し可愛くなったかも?

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