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第25話 この世は厳しくて大嫌いだ

真木先生は話を終えると、私の肩をポンと叩いた。

「優秀なリコにも、そういう時代があったのさ。どんな人間も失敗を重ねて、少しずつ大人になっていくものだ。失敗経験をしてない大人なんかいない。だから、時空院の人生は始まったばかりだぞ。これから、沢山の失敗をして大人になればいい」


真木先生の話は説得力があって、良い部分も悪い部分も、ちゃんと話してくれる大人だ。ママが信用するのも分かる気がした。


でも、ママは劣等感で暴れたわけではなく、優秀すぎたゆえに孤立しただけの話だ。逆に私は能力がなさ過ぎて、劣等感で泣き叫んだパターンだ。だから、ママと分かり合える事はこの先もないと思った。


そして、真木先生は腕時計をみせてきた。

「時空院、そろそろ戻ろうか? リコが待っているよ」

「はい、そうですね……」


私はコーラのペットボトルをゴミ箱に捨ててから、真木先生と一緒に教室へ向かった。正直、ママとは顔を合わせたくないが、三者面談は真木先生の顔を立てようと思った。だから、最後まで逃げずにやり切ろうと思った。


教室に入るとママが座っていた。私はママとは目を合わせることなく、隣の椅子に座った。


それを見た真木先生が口を開く。

「時空院、お母さんに謝りなさい。どんな理由があっても、期末テストがなかったと嘘をついたのは事実だ。その件についてはお前が悪いぞ」

これは正論である。この件については嘘をついていた私が悪い。


真木先生がここまで、心配してくれたこともあり、テストの件は素直に謝る事にした。

「ママ、嘘ついてごめんなさい。次は赤点でもちゃんと見せるよ」

「トキコ、もういいわよ」

そう言って、ママは頭をポンポンしてくれたが、目が笑ってない事は分かっていた。


この場は形だけ許してくれて、家で説教が待っている展開だ。前にもこんなパターンがあったから分かるのだ。ああ、家に帰りたくない。


しかし、そんな事情を知らない真木先生は笑顔を作る。

「時空院、仲直りできて良かったな。じゃあ、三者面談の続きをしようか……」

「はっ、はい」


それから、私の成績でも入れそうな高校のパンフレットを見て、他にもユキちゃんの志望高校の情報を教えてもらったりした。最後は真木先生とママがダラダラと雑談をして、最悪の三者面談は無事終了した。しかし、更に悲劇は続くのだった。


このあと、この件を超える醜態をさらしてしまう事件が起こる。そうだよ、ついてない奴はいつだって、ついてない人生なのだ。だから、この世は厳しくて大嫌いだ。

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