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第19話 終業式は長い

私は教室の席に座ってワクワクしていた。


それはクラスメイトも同じようで、ザワザワとハイテンションで雑談している。その理由は今日が7月20日の終業式であり、明日から中学生活最後の夏休みが始まるからだ。


今日一日を耐えてしまえば楽しい日々が待っているけど、その前の終業式と三者面談が面倒だ。


午前中の終業式はクソ暑い体育館で、くだらないハゲ校長の話を聞くのが辛い。しかし、本当の地獄は午後の三者面談であり、受験の話をママとしないといけない。ああ、受験なんかこの世から消えればいいのに……。


その時、担任の真木先生が手をパンパンと叩く。

「おーい、みんな体育館に早く移動しろ。向こうに着いたら、ちゃんと出席番号順に並んでおけよ。お前ら頼むから、終業式は静かに頼むぞ」

それを聞いたクラスメイトがゾロゾロと動き出しはじめた。


すると、ユキちゃんが肩をたたいてきた。

「トキコ、一緒に行こうよ」

「ああ、うん」

先日は公園で色々あったが、次の日はユキちゃんと仲良くなっていた。やっぱり、幼馴染は最高だよ。


すると、真木先生が教室を出る前に声をかけてきた。

「時空院、お前は午後時から三者面談あるから帰るなよ。お前は忘れっぽいからな」

「はっ、はい……」

うぅう、三者面談をバックレしたい。それだけが、私の純粋な心の中を支配していた。


私はユキちゃんと廊下に出て、仲良く歩きながら三者面談の相談をする。

「トキコ、三者面談頑張りなよ。リコさんと何か作戦とか立てた?」

「いや、ノープランだよ。適当に入れそうな高校を真木先生に聞いて、そこを受けるだけでのシンプルな作戦だね。まあ、適当に終わらせるつもりだよ」

「ふーん、私は夏の最後の大会が始まるから頑張るよ。午後はリコさんが、部活に顔を出してくれるみたいだね。多分、トキコの三者面談の後だろうね」

「ふっ、ユキちゃんもママも部活も好きだね。このクソ暑い太陽の下でよくやるよ。まあ、私も優勝できるように祈っているよ……。そう、クーラーの効いた自分の部屋でね」

そう言うと、2人は顔を合わせて笑い合った。


こんなくだらない日々が、ずっと続けばいいのに。だが、現実はいつだって厳しく、大切なモノはあっけなく崩れていくのだ。そう、ユキちゃんの友情も永遠ではなく、この日を境にそれも崩れていく……。


終業式ではくだらない校長が異常に長かった。くだらない大人ほど、話が長いのは世の定説だ。それよりも、体育館はクーラーがないので、貧血で倒れる生徒もいた。


しかし、校長は気にすることもなく、20分以上も気持ちよさそうに演説をしていた。私には2時間くらいの体感時間に感じたものだった。ハゲ校長め、いい加減にしろよ、マジで。やっと、終業式が終わると教室に帰還した。


教室では夏休み前とあって、クラスメイトのテンションは高くて、中学生活も終わりだなと感じた。


教壇の真木先生が口を開く。

「みんな、夏休みだからって気を抜くなよ。部活も受験も悔いのないように全力でぶつかって、中学生活の最後の夏休みを充実させろよ。何か悩みごとがあったら、先生の携帯に電話入れてくれ。次は始業式で会おうな。では以上」


黒板には真木先生の携帯番号は書かれていた。ふん、夏休みに担任に電話する奴なんてゼロに決まっている。真木先生だって分かっているはずだ。いや、そう生徒に言っておかないと、何か問題あったら保護者に怒られるからだ。


結局は先生もサラリーマンのように世間体が大切なのだ。大人って、本当にバカでつまらないな。ああ、嫌だな。私はまだ14歳だというのに、こんなに捻くれた考えで自己嫌悪になるよ。そんな事を考えていたら、教室にいるクラスメイト達は帰宅の準備をし始めた。


ふと気が付くと、真木先生が目の前にいた。

「時空院、1時間後に三者面談やるから、教室にちゃんといろよ。そうだな、だいたい1時頃になるからな。じゃあ、よろしく」

そう言うと教室から出て行った。


それから20分もすると、教室にいる人は私とユキちゃんだけになった。しばらくは時間潰しでも付き合ってもらうとするか……。

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