第14話 パパの黒歴史
私は封筒の中身を覗くと、1枚の写真と手紙のような物が入っていた。
まずい、パパの中学時代の手紙とかかもしれない。これを見てしまうのは人としてダメだし、親とはいえプライベートはあるはずだ。しかし、私はダメ人間なので、迷うことなく手紙と写真を見る事にしたのである。
まず、写真にはパパとママがツーショットで写っていて、私が通っている千葉房総中学校の制服を着ていた。学校が出来た頃から、制服デザインは変わってないと聞いている。
つまり、この写真はパパとママの中学時代のものだと分かる。良く見ると、写真の右下には数字が入っていた。97、8、31と記してある。おそらく、1997年の8月31日に撮ったものであると思われる。
スマホのカメラが流行る前は、インスタントカメラというものが主流だったらしい。そのインスタントカメラを写真屋に出すと、日付の入った写真を受け取れるというシステムだ。ママいわく、昔は撮り直しとか出来なくて、面倒で不便な時代だったみたいだ。
私は写真をマジマジと見ると、昔のママも美人だけど、茶髪にピアスでギャルっぽい恰好をしている。おそらく、不良に近いグループにいる感じだ。でも、ユキちゃんと同じで、クラスの中心的な存在だったのだろう。この写真からでも、陽キャラのオーラが出ているのが分かるのだ。
逆にパパは顔から血を流していて、眼鏡はかけていない状態だ。一応はピースサインをしているが、表情はどこか虚ろで麻薬中毒者のように見える。一体何があった? どう見てもママがパパをシメたようにしか見えない(笑)。
それと背景は見覚えがあり、場所は学校裏の神社だという事が分かった。この写真で分かる情報はこんなものだ。後は手紙の内容を確認するだけだ。私は手紙を開いた。まず、字の汚さでパパが書いたものだとすぐに分かった。
未来のテッペイへ
中学生活の最後の夏休みにリコに告白をした事を覚えているか?
結果より、挑戦した事に意味があった思い出だ。やっぱり、人生ってやってみないと分からないものだ。もし、未来の俺が人生に詰まっていたら、あの名言を思い出してくれ。『バットは振らなきゃ当たらない』
14歳の時空院テッペイより。
うわあぁ、男子中学生特有の自分に酔っている感が痛々しい。
それと、自分のセンスとよく似ているので、死ぬほど恥ずかしくて辛い。誰だって、自分の両親の学生時代の手紙を見るほど、恥ずかしい経験は中々ないはずだ。しかも、ラブレターに近いような手紙だ。
私が逆に子供に見られたら死にたくなる。だけど、この手紙で色々なことが分かった。内容からすると、夏休みにパパがママに告白した事が分かる。挑戦した事に意味があるって事は、この時は振られたのかもしれない。名言も良く分からない、パパは野球に興味ないのに、バット? 意味不明だ。
でも、少なくても、パパの告白が成功していたら、こんなに顔を腫らしている状態ではないはずだ。うーん、正直に言うとよく分からない。そこで、私はひとつの可能性が頭に浮かんだ。
パパはスケベであり、たくさんのエッチな漫画やゲームを持っている。それも女の子を無理やりってパターンのジャンルが多い。
それと、中学時代の男子の性欲は凄まじいとネットで見た。実際にクラスの男子はスケベでバカばかりだし……。もし、パパがエッチな漫画やアニメに影響された、そう考えると色々と繋がってくる。
私の推理だと、パパが振られてパニックになって、ママに獣のように襲いかかったが、逆に返り討ちにあったと思うのだが……。それで、レイプ犯の証拠として写真を撮られて、学校中で笑い者にされたパターンだったら納得できる。
そう考えると、この写真を撮った人間も相当なクズだと思われる。確かに襲ったパパも悪いけど、それを拡散するのはタチが悪い。よく、交通事故の現場をスマホで撮って、更にそれをネットに上げて、人々の反応を知りたがるタイプの奴だ。
そういう人間は早く死んでくれ。多分、陰キャラやキョロ充とかの人種だ。いじめの傍観者に多い。まったく、親の顔がみたいものだ。
でも、どうやって2人は付き合う事になったのかな? 自分をレイプしようとした男と付き合う女はいないと思うのだが……。この状態から、パパとママが付き合えるようになったとは思えない。
いやいや、そもそも、自分がボコボコにされた写真を大切にしておくか? しかし、レイプではないとすると、他の人間に殴られたのか? 結局は何も分からない。2人の出会いは何度も聞いたが、付き合うようなったきっかけはよく分からない。
まあ、親の馴れ初めを知っている子供なんてあまりいないだろう。親も正直に答えるとは思えない。ファーストキスを素直に教えてくれないのと一緒だ。んっ? 手紙の裏に何か書いてある。
私は手紙を裏返すと、そこには地図が載っており、場所は写真と同じ神社だ。そして、地図の下記にはメッセージがあった。
『本殿の下の金色のレンガの下を掘れ。そこに宝物がある』
おいおい、昭和のRPGゲームかよとツッコミを入れたくなるメッセージだ。おそらく、タイムカプセルとかそういうものだと思う。オタクはこういう勿体つけた演出が好きだから分かる。認めたくないが、こういう所は遺伝なのだろう。
まあ、いいや。夏休みに掘り起こしてやろうじゃないか。ふん、パパのくだらない余興に付き合ってやるよ。ちょっと、興味があるのは事実だしね。しかし、パパの宝物って何だろう?
おそらく、エロゲー、エロ漫画、エロ写真集のどれかに違いない。でも、何かワクワクして、久しぶりに小学校時代の冒険心が蘇ってきた。私は手紙と写真を封筒に戻して、スクールバッグの底に隠した。
ふと部屋の時計を見ると、時刻は6時50分頃をさしていた。そろそろ、夕食の時間なので部屋をあとにした。




