第8話 努力しない理由
私だって最初からやる気がない人間ではなかった。
何かに挑戦しても失敗が多くて、みんなの前で恥をかいて、徐々にやる気がなくなっていったのである。それは幼少期の劣等感から始まっていた気がする。
例えば、小学校2年生に始めたソフトボールクラブだってそうだった。私はやりたくなかったが、ママに無理やりに入れられたのである。
おそらく、家でゲームばかりやっていた娘を心配しての事であろう。目的は人とコミュニケーションをとらせることだ。それには団体スポーツが一番だとニコニコ語っていた。まあ、日曜日だけなので、ママが怖いので我慢をした。
ママはコーチ兼監督もやっており、中学時代は全国ベスト4の成績を収めており、ママの娘ならとチームメイトには期待された。だが、私はボールが怖くて、まともにキャッチボールも出来なかった。だから、ボール拾いをやったり、バットを磨いたりしていた。
チームメイトが冷ややかな目で見るようになったのは、すぐに子供心ながらに分かった。だけど、ママを尊敬する子は多く、私はいじめられたりすることはなかった。その特別扱いがますます孤立を感じさせた。
そんな日々を過ごしていた時に、ユキちゃんがチームに入ったのである。理由は私と日曜日も遊びたいとい理由からであった。だが、ユキちゃんはここで才能を発揮した。
私が何度やっても捕る事の出来なかったフライを初日に簡単に捕っていた。1週間後には練習試合にも出してもらえていた。なので、チームメイトの上級生からも、ユキちゃんは可愛がられていた。明るく、素直で、声も大きく、顔も可愛いから当たり前だ。
まさに私とは正反対の女の子だ。ママもユキちゃんの才能は、他の子に比べてズバ抜けて才能があり、教えがいがあると笑顔で語っていた。私は表向きにはニコニコしていたが、自分の部屋で劣等感のあまりに悔し涙を流していた。
ユキちゃんは、そのまま努力を重ねて、4年生の頃にはピッチャーのポジションで活躍をしていた。ユキちゃんの周りには、いつもチームメイトやママが笑顔で集まっていた。
私はその光景を見るのが辛くなり、ソフトボールクラブに顔を出す事はなくなったのである。いや、本当は足が震えて行けない状態になっていた。これが、トラウマってやつだ。
この経験から、努力は無駄だと思うようになってきたのだ。幼少期の成功体験って、かなり大切な事だと思う。そこで、大体の性格は決まってしまうのだ。
しかし、私のような経験しても、努力する人はするし、しない人はしない。私はしない方になっただけだ。




