↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
妖怪と契約させられた人間  作者: 東海林


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
86/96

86話

夕方。


二人が家へ帰ってくると玄関前に雪華が立っていた。


「……またお前か」


恒一が言う。


「今日は暁に用がある」


雪華の視線が暁へ向く。


「何だ」


「少し話す」


暁は警戒しながらも頷いた。

二人で少し離れた場所へ移動する。


「最近、随分と変わったな」


「そうか?」


「以前のお前なら、人間と手を繋いで歩くなど考えられなかった」


暁の顔が少し赤くなる。


「……それは」


雪華は暁をじっと見る。


「好きなのだろう?」


「……」


「神谷のことが」


暁は答えない。

だが否定もしない。


「……好きだ」


雪華は少しだけ笑った。


「なら、なぜ告白しない?」


「……怖いから」


意外な答えだった。


「何が?」


「今の関係が壊れるのが」


暁は俯く。


「今は毎日一緒にいる。家でも一緒だし、寝る時も隣にいる」


「それを失うのが怖い」


雪華は黙って聞いている。


「だから言えない」


「なるほど」


雪華は少し考える。


「だが」


暁を見る。


「お前はもう十分伝えていると思うぞ」


「……?」


「毎晩抱きついて眠り、他の女が近付けば割り込み、手を繋げば離さず、帰りが遅ければ寂しがる」


暁の顔が一気に赤くなる。


「……全部見ていたのか」


「見れば分かる」


「……」


何も言えない。

雪華は続ける。


「神谷も気付いているだろう」


その言葉に暁の表情が変わった。


「……恒一も?」


「恐らくな」


その時、玄関から声がした。


「暁?」


恒一だった。

二人が振り返る。


「話終わったか?」


「ああ」


雪華は暁を見る。

そして小さく言った。


「頑張れ」


それだけ残して雪華は去っていった。



家の中。

夕飯を食べ終わる。


暁はずっと考えていた。

恒一も気付いている。

本当にそう思うと、妙に意識してしまう。



夜。


いつものベッド。

灯りを消す。

暁は恒一へ近付く。


いつものようにぎゅっ。

抱きつく。

だが今日は少し緊張していた。


「暁」


「何だ」


「雪華と何話してた?」


「……」


答えに困る。


「秘密」


「そうか」


恒一はそれ以上聞かなかった。

少しして恒一の手が暁の頭に触れる。

優しく撫でる。


「今日も一日お疲れ」


「……」


暁は何も言えない。

嬉しくて恥ずかしくて、胸がいっぱいになる。


「恒一」


「ん?」


「……ありがとう」


「何が?」


「何でもない」


暁はそのまま恒一に抱きつく。

そして小さな声で呟いた。


「……いつか言うから」


恒一には聞こえなかった。

だがその言葉は暁自身には確かな一歩だった。

もし「面白かった」「続き読みたい」と思ってもらえたら、ブックマークや評価(☆☆☆☆☆→★★★★★)してもらえるとめちゃくちゃ嬉しいです!次の更新のやる気になります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。