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妖怪と契約させられた人間  作者: 東海林


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71/79

71話

夜。


静かな部屋。

恒一はいつものように眠っていた。

隣には暁。

最近は同じベッドで寝るのが完全に日常になっている。


そしてその夜。

暁は寝ている間に動いた。


少しだけ本当に少しだけ恒一の方へ。

そしてぎゅっ。

抱きついた。


完全に無意識だった。

本人は寝ている。

だから気付いていない。


結果。

恒一は抱き枕になった。



翌朝。


「……」


恒一が目を覚ます。

違和感があった。

かなり動きにくい。

視線を下げる。


「……」


暁がいた。

抱きついていた。


腕、腰。

完全にホールドされている。


逃げられない。


「おい」


反応なし。

熟睡していた。


「暁」


「……ん」


少し動くだが離れない。

むしろ顔を押し付けてきた。


「お前な」


恒一はため息を吐く。

最近距離が近いとは思っていた。

思っていたがこれは予想外だった。



数分後。

暁が目を開ける。


「おはよう」


普通だった。

本当に普通だった。


「おはようじゃない」


「?」


首を傾げる。

恒一は現状を指差した。

暁が見る。


自分の腕、恒一。

抱きついている。


数秒間考える。


「……」


そして。


「おはよう」


二回目だった。


「誤魔化すな」


だが意外にも、暁はそこまで慌てなかった。

なぜなら正直嫌ではなかったからだ。

むしろ落ち着く。

だから問題ないと思っている。


恋愛感情のある少女としては大問題だった。



学校。

昼休み、屋上。


「へぇ」


彩音が笑う。


「抱きついて寝てたんだ」


「違う」


「違わないだろ」


鬼塚が突っ込む。

恒一が説明した結果。


全員に知られた。

玲司は笑いを堪えていた。

氷室も少し口元が緩んでいる。


「それで?」


彩音が聞く。


「何が」


「今夜もやるの?」


暁は少し考えた。

そして。


「分からない」


本当に分からない。

無意識だから。

ただ嫌ではない。

むしろ安心する。



放課後。

帰り道、住宅街。

恒一と暁のいつもの二人。

歩いていると向こうから篠宮が来た。


「やあ」


「先輩」


軽く会話する。

その間、暁は恒一の隣。

ぴったり。


自然な顔をしている。

だが距離が近い。

篠宮はそれを見て少し笑った。


「仲良いね」


「普通だ」


暁が答える。

全然普通じゃない。

篠宮はもう何も言わなかった。


たぶん察している。

全部。



夜。

家。

夕飯と風呂。

そして寝る時間。


恒一は布団へ入る。

少し嫌な予感がしていた。

非常に。


「……」


隣を見る。

暁も横になる。

普通だった。


少なくとも今は。


「おやすみ」


「おやすみ」


灯りが消える。

静寂。


そして数時間後。

深夜。


恒一は何となく目を覚ました。

そして察した。


「やっぱりか」


抱きつかれていた。

昨日よりしっかり完全に抱き枕扱いだった。

寝顔を見る。

気持ち良さそうに眠っている。

本人に悪気はない。


たぶんおそらくきっと…


「……まあいいか」


恒一は諦めた。

一方。

眠っている暁は無意識に少しだけ笑っていた。


好きな人の隣。

好きな人の温もり。

本能的に安心しているらしい。


そして翌朝もまだ恒一は抱き枕になっていることを知るのであった

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