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妖怪と契約させられた人間  作者: 東海林


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66/67

66話

翌朝。

恒一は目を覚ました。


「痛っ……」


腕が少し痛い。

昨日の戦い、大きな怪我ではない。

だが、雪華の氷が掠めた時にできた傷が残っていた。


「起きたか」


すぐ横から声がする。

暁だった。


なぜか既に起きている。

そしてじっとこちらを見ていた。


「おはよう」


「おはよう」


恒一が体を起こそうとする。

その瞬間。


「寝てろ」


暁が押し戻した。


「いや学校」


「休め」


「そこまでじゃない」


「休め」


強かった。

かなり強かった。

白鬼より強情かもしれない。


結局学校は休むことになった。

暁も休んだ。


「お前は行けよ」


「行かない」


即答。

理由は聞くまでもない。



午前。

リビング。

恒一はソファに座っている。


すると目の前にお粥が置かれた。


「食べろ」


「別に熱出してないんだけど」


「怪我人だ」


理屈がよく分からない。

だが暁は本気だった。

結局食べる。

普通に美味しい。


「料理上手くなったな」


恒一が言う。

暁は少しだけ目を逸らした。


「練習した」


「そうか」


少し嬉しそうだった。



昼。

恒一が本を読んでいる。

すると隣に暁が座る。


近い。

かなり近い。


「何だ」


「見てる」


「何を」


「恒一」


意味が分からない。

本当に意味が分からない。

だが本人は真面目だった。

好きな人だから見ていたい。

ただそれだけしかし本人は言わない。



午後。

傷の手当て。

ソファに座る恒一。

その前に膝をつく暁。

包帯を巻いている。


真剣な顔で距離が近い。

近すぎる。


「大丈夫だって」


「大丈夫じゃない」


「かすり傷だぞ」


「怪我は怪我」


譲らない。

そして包帯を巻き終わる。


「よし」


満足そうだった。

恒一は少し笑う。


「そんなに心配か」


その瞬間、暁の手が止まった。

当然だった。

誰よりも心配している。

好きだから。

でも言えない。


だから。


「契約者だから」


とだけ答えた。

半分本当で半分嘘だった。



夕方。

彩音から連絡が来る。


『休みって聞いた!』


『大丈夫!?』


『暁さんどうしてる!?』


最後だけ何か違う。

返信するとすぐ電話が来た。


「もしもし!」


元気だった。


「大丈夫?」


「大丈夫」


「暁さん何してる?」


「隣いる」


「やっぱり!」


なぜ嬉しそうなんだ。

彩音は数秒笑った後。


「それ絶対看病してるでしょ」


と言った。


図星だった。

暁は少し気まずそうに目を逸らした。



夜。

夕飯、風呂。

そして寝る時間。


いつものベッド。

灯りは消えている。

静かな時間。


「恒一」


「ん?」


「明日は学校行けるか」


「行ける」


「本当に」


「本当に」


暁は少し安心した。

だがまだ不満そうでもある。

もっと休ませたかったらしい。


「暁」


「何だ」


「ありがとな」


不意に言われた。

暁が固まる。


「看病」


恒一が続ける。


「助かった」


静かな声。

本音だった。


その瞬間、暁の胸が少し高鳴る。

好きな人に感謝された。

ただそれだけなのに、すごく嬉しい。


「……うん」


小さく返事をする。

それだけで精一杯だった。

そして目を閉じる。

隣から聞こえる呼吸音。


いつも通りだけど今日は少しだけ違う。

胸が温かかった。


好きという感情を知ってからこういう瞬間が増えていた。

もし「面白かった」「続き読みたい」と思ってもらえたら、ブックマークや評価(☆☆☆☆☆→★★★★★)してもらえるとめちゃくちゃ嬉しいです!次の更新のやる気になります。

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