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妖怪と契約させられた人間  作者: 東海林


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61/65

61話

月曜日。

昼休み、屋上。


恒一たちはいつものように集まっていた。

……のだが今日は少し違った。

暁が静かだった。

いやいつも静かではある。

だが今日は何かを考え込んでいる。


「どうした?」


恒一が聞く。


「別に」


即答。


だが絶対に別にではない。

彩音も気付いているらしい。

ちらちら見ている。


そして昼休み終了。

教室へ戻る時間。

その時だった。


「彩音」


暁が呼ぶ。


「ん?」


「少し来てほしい」


彩音が固まる。

珍しい、暁から呼ばれること自体が珍しい。


「いいよ?」


そして二人は移動した。



校舎裏、人気のない場所。

彩音は少し緊張していた。


「どうしたの?」


暁は少し考える。

本当に少しだけ。


そして。


「相談がある」


彩音の目が丸くなった。

暁が相談かなりレアだった。


「聞く聞く!」


「好きとは何だ」


彩音が固まった。

数秒、完全停止。


「……え?」


「好きとは何だ」


二回目だった。

彩音は思考を整理する。


暁、好き、相談。

嫌な予感。

いや良い予感。


むしろ最高の予感だった。


「誰!?」


即座に聞く。

暁は首を傾げる。


「誰とは」


「好きな人!」


「……」


暁は少し考える。

そして。


「恒一」


即答だった。

彩音がしゃがみ込んだ。


頭を抱える。

ついに来た。

ついにようやく。


「やっとかーーーー!!」


叫んだ。

暁が少し驚く。


「何だ」


「何だじゃないよ!」


彩音は立ち上がる。

興奮している。


「自覚したの!?」


「多分」


「いつ!?」


「昨日」


遅い、本当に遅い。

彩音は天を仰いだ。

ここまで長かった。

読者がいたら拍手している。


「それで」


暁が言う。


「好きとは何をすればいい」


彩音がまた固まる。

発想が暁だった。

普通はそこじゃない。


「何をって……」


「分からない」


暁は本気だった。

恋愛経験ゼロ、むしろ知識もゼロ。

好きと分かっただから次が分からない。


彩音は考える。

そして少し笑った。


「別に無理しなくていいよ」


「?」


「今まで通りで」


暁は黙る。


「今まで通り?」


「うん」


彩音は頷く。


「だって暁さん」


少し笑いながら言う。


「もう十分好きな人にしかしないことやってるし」


静寂。

暁が考える。


一緒に住む。

一緒に学校へ行く。

ご飯を食べる、毎日話す。

同じベッドで寝る。

離れると不安になる。

危険だと怒る。

触れていると安心する。


「……そうなのか」


「そうだよ」


彩音が断言する。


「かなり重症だよ」


「重症」


「うん」


暁は少し困った。

だが嫌な気分ではない。

むしろ少し安心した。



放課後、帰り道。

恒一と暁。

いつもの二人。


「何かあったか?」


恒一が聞く。


「別に」


暁が答える。

嘘だった。

人生で一番大きな発見があった。

だが言わない、まだ言えない。

隣を歩く恒一を見る。


好き、そう思う。

すると少しだけ胸が温かくなった。


「?」


恒一が見る。


「どうした」


「何でもない」


小さく笑う。

本当に少しだけ、恒一は首を傾げた。

最近の暁はよく分からない。



家へ帰る。

夕飯、風呂。

そして夜。


いつもの部屋。

いつものベッド。


恒一が先に横になる。

暁も隣へ入る。

静かな時間。

灯りは消えている。


その時彩音の言葉を思い出した。


『今まで通りでいい』


『十分好きな人にしかしないことしてる』


「……」


少し考える。

そしてそっと恒一の肩へ頭を預けた。


無意識だった。

いや半分意識していた。


「ん?」


恒一が反応する。


「どうした」


「落ち着く」


暁は答える。

本当だった。

恒一は苦笑する。


「そうか」


「うん」


それ以上は何も言わない。

暁は目を閉じる。


好き、その言葉を思い浮かべる。

まだよく分からない。

でも悪くないと思った。


そしてそのまま眠りへ落ちていく。

隣にいる人の温もりを感じながら。

もし「面白かった」「続き読みたい」と思ってもらえたら、ブックマークや評価(☆☆☆☆☆→★★★★★)してもらえるとめちゃくちゃ嬉しいです!次の更新のやる気になります。

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