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妖怪と契約させられた人間  作者: 東海林


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54/66

54話

月曜日。

昼休み、屋上。


いつものメンバーが集まっていた。

恒一は弁当を食べている。

暁はその隣。


彩音は何かを企んでいる顔だった。

嫌な予感しかしない。


「次の休日!」


彩音が立ち上がる。


「遊園地行こう!」


「急だな」


鬼塚が言う。


「良いじゃん!」


「まあ別にいいけど」


恒一も特に反対はない。

その時、暁が聞いた。


「遊園地とは何だ」


全員が止まる。


「行ったことないのか?」


鬼塚が聞く。


「ない」


即答だった。

そもそも白鬼だった頃に遊園地へ行く訳がない。

契約してからも機会はなかった。


彩音がニヤリと笑う。


「じゃあ決定!」


嫌な予感しかしない。



休日、朝。

遊園地。

開園直後にも関わらず人が多い。


「すごいな」


恒一が周囲を見る。


「人間が多い」


暁が言う。


「お前も人間みたいなもんだろ」


「違う」


少しだけ不満そうだった。

そして彩音が指差す。


「まずはあれ!」


巨大なレール。

空高く伸びるコース。

ジェットコースターだった。


恒一は察する。


「絶対嫌な予感しかしない」


「面白いよ!」


彩音は笑う。


十分後、乗車。


恒一、暁、彩音、鬼塚、氷室。

全員並んで座る。


そしてゆっくり動き出した。


「これ何だ」


暁が聞く。


「ジェットコースター」


「速い乗り物?」


「そんな感じ」


頂上へ到達する。

景色が見える。

高い、かなり高い。

暁はまだ平然としていた。


そして次の瞬間。

落ちた。


「――――」


凄まじい速度。

悲鳴、風圧、急降下、急旋回、上下左右。

容赦がない。


数分後、終了。

ホームへ戻る。


彩音は元気だった。

鬼塚も平気。

氷室も普通。

恒一は少し疲れていた。


そして暁。


「……」


無言だった。

完全に無言。


「おい」


恒一が声をかける。

反応がない。


「暁」


「怖かった」


ぼそりと呟いた。

恒一は吹き出しそうになる。


「そうか」


「怖かった」


二回言った。

相当だったらしい。

妖怪相手に平然としているくせに、ジェットコースターは駄目らしい。


「もう乗らない」


「だろうな」


その時彩音が次を指差した。


「もう一回!」


「断る」


即答だった。

珍しく本気だった。


その後園内を回る。

だが問題があった。


暁が離れない。

正確には恒一の制服の袖を掴んだままだった。


「おい」


「何だ」


「離さないのか」


「離さない」


即答だった。


「何で」


少し考える。

そして。


「またあれに乗せられるかもしれない」


「俺は止められないぞ」


「だからだ」


意味が分からない。

だが本人は真面目だった。

彩音は後ろで笑っている。

鬼塚も笑っている。

氷室は少し呆れていた。



昼過ぎ。

フードコートで休憩。

暁はまだ恒一の隣から離れない。


「落ち着いたか」


恒一が聞く。


「少し」


「本当に怖かったんだな」


「白鬼より怖い」


「それは嘘だろ」


「本当だ」


真顔だった。



午後。


観覧車が見えてくる。

大きい、ゆっくり回っている。


彩音が再び笑う。

嫌な予感しかしない。


「次はあれ!」


恒一はため息を吐いた。

絶対何か企んでいる。

そう確信していた。

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