51話
休日、朝。
恒一が目を覚ます。
すると予想通りだった。
隣に暁がいる。
最近では完全に日常になっていた。
同じベッドで寝て同じ時間に起きる。
最初は色々言っていた恒一も、もう慣れてしまった。
「おはよう」
「おはよう」
暁も目を開ける。
寝起きなのに相変わらず整った顔だった。
少しだけ恒一の方へ寄ってくる。
そして。
「眠い」
珍しくそんなことを言った。
「寝ろよ」
「起きる」
そう言いながら布団から出る。
いつもの朝だった。
朝食を食べ準備をして家を出る。
今日は彩音たちとの約束がある。
目的地は動物園だった。
「何で動物園なんだ」
恒一が言う。
「私が決めた!」
彩音が胸を張る。
「暇だったから!」
「最低な理由だな」
鬼塚が呆れていた。
氷室も頷いている。
そして動物園へ到着。
休日ということもあり人が多い。
子供連れも多かった。
「思ったよりいるな」
恒一が周囲を見る。
その横で暁が珍しくきょろきょろしていた。
「初めてか?」
恒一が聞く。
「うん」
「そうなのか」
「動物を見るだけの施設に来たことがない」
言われてみればそうだった。
白鬼だった頃も、契約してからもこういう場所へ来る機会はなかった。
最初に見たのはライオンだった。
ガラスの向こう、堂々と寝転がっている。
「でかいな」
鬼塚が言う。
「強そう」
彩音も頷く。
その時だった。
「暁さんに似てる」
彩音が言った。
静寂。
全員がライオンを見る。
そして暁を見る。
もう一度ライオンを見る。
「確かに」
鬼塚が頷いた。
「確かにじゃない」
暁が即答する。
珍しく不満そうだった。
「目付きとか」
「雰囲気とか」
「強そうなところとか」
彩音が続ける。
「似てない」
「似てるな」
恒一が言った。
すると暁が見る。
じっと見る。
「何だ」
「覚えておく」
「怖いな」
その後も園内を回る。
猿、ゾウ、キリン、ペンギン色々見た。
そして暁は意外と楽しそうだった。
特に大型動物を見る時だけ目が少し輝く。
本人は隠しているつもりらしい。
全く隠れていない。
昼頃。
休憩スペース。
ベンチへ座る。
飲み物を買いに行った彩音たちを待っている。
恒一と暁の二人だけ。
「楽しいか」
恒一が聞く。
暁は少し考える。
そして。
「楽しい」
と答えた。
素直だった。
「そうか」
「うん」
少し間が空く。
そして暁はぽつりと呟いた。
「恒一」
「ん?」
「また来てもいい」
「動物園か?」
「どこでも」
恒一は少し笑う。
「そうだな」
その返事を聞いて。
暁は少しだけ満足そうにした。
それを見ていた人物がいた。
少し離れた場所。
飲み物を買った帰りの彩音だった。
「もう付き合えばいいのに」
心底そう思った。
鬼塚も頷いている。
氷室も否定しなかった。
当の本人たちだけが全く気付いていないのであった。
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