48話
翌日。
昼休み、屋上。
いつものメンバーが集まっていた。
恒一、暁、彩音、鬼塚、氷室。
そして今日は玲司までいる。
「本当に学校好きだな」
恒一が言う。
「面白いからね」
玲司は笑う。
絶対ろくでもない理由だった。
弁当を食べながら雑談していると彩音が突然言った。
「ねえ暁さん」
「何だ」
「もし神谷くんに彼女ができたらどうする?」
静寂。
恒一が吹き出しかける。
鬼塚も嫌な顔をした。
また始まった。
暁は少し考える。
数秒十秒。
そして。
「嫌だ」
即答だった。
「ほら!」
「何がだ」
「そこだよ!」
暁は意味が分からない。
本気で分からない。
玲司は面白そうに見ている。
「じゃあさ」
彩音が続ける。
「神谷くんが結婚したら?」
「嫌だ」
「一緒に住まなくなったら?」
「嫌だ」
「毎日会えなくなったら?」
「嫌だ」
全部即答だった。
恒一が頭を抱える。
鬼塚が遠い目をする。
氷室は無言で弁当を食べている。
「暁さん」
彩音が真顔になる。
「それ好きってことだよ」
暁が止まった。
風が吹く。
数秒。
「そうなのか」
珍しく否定しなかった。
彩音も少し驚く。
玲司も目を細めた。
暁は考える。
好き、恋、一緒にいたい。
離れたくない、取られたくない。
確かに全部当てはまる。
「……分からない」
結局そう答えた。
だが以前とは違った。
完全な否定ではなかった。
放課後、帰り道。
夕日が沈みかけている。
恒一と暁は並んで歩いていた。
「今日は大変だったな」
恒一が言う。
「そうだな」
暁は少し考える。
そして。
「恒一」
「ん?」
「好きとは何だと思う」
またその話だった。
恒一は苦笑する。
「俺に聞くなよ」
「分からないから」
もっともだった。
しばらく歩く。
そして恒一は言った。
「その人といるのが当たり前になったり」
「うん」
「いなくなるのが嫌だったり」
「うん」
「そんな感じじゃないか」
暁は黙る。
全部当てはまる。
困った。
家へ帰る。
夕飯を食べる、テレビを見る、風呂に入る。
そして夜。
恒一は自室で本を読んでいた。
コンコン。
聞き慣れたノック。
「入れ」
暁が入ってくる。
最近の定位置へ座る。
静かな時間、二人とも何も話さない。
それでも落ち着く。
一時間ほど経った頃。
恒一は欠伸をした。
「眠い」
「風邪明けだからな」
「そうかも」
本を閉じる。
時計を見る。
もう遅い。
「寝るか」
「うん」
暁も立ち上がる。
だが部屋を出ようとして止まった。
「どうした」
恒一が聞く。
暁は少し迷う。
珍しかった。
そして小さく言った。
「今日は」
「ん?」
「少しだけ一人だと落ち着かない」
恒一は数秒固まる。
「……」
「駄目か?」
暁は真顔だった。
変な意味はない。
本当に落ち着かないだけ恒一はため息を吐いた。
「狭いぞ」
「問題ない」
即答だった。
数分後、ベッド。
恒一は壁側。
暁は反対側。
二人とも布団に入っている。
静かだった。
「お前な」
「何だ」
「普通こういうのはな」
「?」
やはり分かっていない。
恒一は諦めた。
「何でもない」
「そうか」
数秒、十秒。
やがて暁が小さく呟く。
「落ち着く」
「そうか」
「うん」
それだけだった。
暁は目を閉じる。
不思議だった。
自室のベッドと変わらないはずなのにずっと安心できる。
隣から聞こえる呼吸音。
それだけで落ち着く。
そして。数分後には眠っていた。
恒一は天井を見る。
本当に変わったな。
そう思う。
昔の白鬼なら絶対にありえない。
だが嫌ではなかった。
しばらくして恒一も目を閉じる。
静かな夜二人は同じベッドで眠りについた。
もし「面白かった」「続き読みたい」と思ってもらえたら、ブックマークや評価(☆☆☆☆☆→★★★★★)してもらえるとめちゃくちゃ嬉しいです!次の更新のやる気になります。




