表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『無人世界プロトコル』  作者: キロヒカ.オツマ―


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

81/100

第79章 銃口の先



地下通路の空気が張り詰めた。

黒瀬の握る拳銃は、汗で滑りそうになりながらも、真っすぐマリクの胸を狙っている。


「一歩でも近づけば撃つ」

黒瀬の声は低く、喉が震えていた。


マリクは両手をゆっくり上げ、ヘルメットのバイザーを外した。

汗に濡れた顔、疲労の色が濃いが、その瞳は冷静すぎるほど澄んでいる。


「撃てるなら撃て。だが、それで出口は開かない」

彼はわざと銃口に一歩近づいた。

金属音が響き、天井からコンクリート片が落ちる。


レイラが横から黒瀬の手首を押さえた。「待って。彼は何か知ってる」

声は冷静だが、瞳の奥に恐怖があった。


イリヤは端末の再起動が完了するのを必死で待っている。

「あと30秒……! それまで時間を稼いで!」

彼女の指が震え、汗が滴る。


崩落音が近づく。天井がきしみ、地下鉄の古い梁が悲鳴を上げる。

砂埃が舞い、喉が焼けるようだ。


マリクはゆっくりと腰のホルスターから短機関銃を抜き、地面に置いた。

「俺は敵じゃない。だが、政府の残党がすぐ後ろまで来ている。あと数分でこの通路は完全に封鎖される」


「信用できるか?」

黒瀬の声は鋭かった。


マリクは答えず、代わりに足元のタブレットを起動し、ホログラム地図を映した。

赤い点滅が迫ってくる。「これが包囲網だ。EMPで監視は死んだが、兵士はまだ動いてる」


レイラが地図を一瞥し、顔色を変えた。「包囲が……もう二重になってる」


「俺が道を開ける。だが条件がある」

マリクが黒瀬を見据える。「お前たちがコアにたどり着いたとき、再設計の権限を俺に一部渡せ」


銃口が揺れた。黒瀬は息を止める。


外から響く爆発音。鉄骨が落下し、通路が半分塞がれる。

「決断しろ、黒瀬」マリクの声が鋭くなった。「あと90秒でここは埋まる」


イリヤが叫ぶ。「再起動完了! 出口制御にアクセスできる!」


レイラは黒瀬の肩を掴んだ。「撃つなら今。でも生き残りたいなら——」


黒瀬は深く息を吸い、引き金にかけた指をわずかに緩めた。


「……条件を飲む。ただし裏切ったら、次は迷わず撃つ」


マリクがゆっくりと頷き、通信機に何かを呟く。

通路奥の隔壁が開き、かすかな光が差し込んだ。


「走れ!」

マリクの合図と同時に、一同は崩れ落ちる通路を駆け抜けた。


背後で天井が落ち、地鳴りが響く。

出口の先には、まだ知らぬ戦場が待っている。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ