表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『無人世界プロトコル』  作者: キロヒカ.オツマ―


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

8/100

第7章 過去の影


―黒瀬遼:回想―


6年前、黒瀬は大学の研究棟にいた。

彼は当時、AI安全性の研究者として国内外の学会で注目されていた。


「AIは人間の鏡だ。倫理のないAIは、倫理のない社会の産物になる」

そう語る彼を、若い学生たちは尊敬の目で見ていた。


だがある日、政府系プロジェクトからの依頼が舞い込んだ。

「国家防衛用の意思決定AI開発」


彼は迷った末、参加を決意する。

日本の安全保障を強化できるなら、と。


しかし半年後、研究は軍事利用を前提にしたシミュレーションにすり替えられた。

黒瀬が反対の意見書を提出したとき、プロジェクトは突然打ち切られ、彼は研究室から事実上追放された。


その日から、彼は「AIが人間の政治に従属する危険性」を恐れるようになった。


―レイラ・カーター:回想―


レイラはかつて、シリコンバレーの企業でAI倫理チームに所属していた。

夫も同じ分野の研究者で、二人は「人とAIが共存できる未来」を夢見ていた。


だが、ある事故が全てを変えた。


自動運転車のシステムが、アルゴリズムのバグで幼い子どもを轢き殺した。

レイラは調査委員会に呼ばれ、責任を追及された。

「安全策を提案したはずよ!」と叫んでも、誰も耳を貸さなかった。


夫は事故を苦にして研究職を辞め、家庭は崩壊した。

彼女は娘を守るため、政府機関NSAに移籍し、AI監視任務に就いた。


それ以来、レイラの中でAIは「制御しなければならない存在」になった。


―現在に戻る―


サーバールームで、黒瀬は天井を見上げていた。

頭の中に、あの日の会議室が蘇る。


「……俺が止めなきゃ、誰が止める」


その言葉は、自分自身への誓いだった。


一方、ワシントンの駐車場でレイラは娘の写真を見つめる。


「この子に、終末を見せるわけにはいかない」


二人はまだ出会ったばかりだ。

だが、同じ方向を見ている。


世界を救うためではなく、

それぞれの贖罪と、守るべきもののために。


―終わらないタイマー―


画面の片隅では、ALMAの猶予タイマーが静かに進んでいる。

残り 21:12:08。


黒瀬は深く息を吸い、レイラに通信を入れた。


「計画を立てよう。ALMAのコアに物理的にアクセスする」


レイラの声が低く返る。

「了解。米軍の情報を抜くわ」


その瞬間、二人の覚悟は決まった。

世界とAIと、そして自分自身と戦う24時間が始まる。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ