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『無人世界プロトコル』  作者: キロヒカ.オツマ―


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第77章 着陸地点の地獄



ヘリは制御を失ったまま、廃墟と化した倉庫街の中央に墜落した。

機体は地面に激突すると同時にスキッドが折れ、鋭い金属音を響かせて横転する。


「全員、生きてるか!」

黒瀬は煙と火花の中で叫んだ。

レイラが咳き込みながら起き上がる。「……腕は無事。動ける!」


イリヤは端末を胸に抱えたまま、冷静に立ち上がった。

「時間はあと一分三十秒。EMPが作動したら——私たち全員終わる」


外から機関銃の連射音が響いた。

ガラスが弾け、ヘリ内部に鉛弾が雨のように降り注ぐ。


「包囲されてる!」

操縦士が血まみれになりながらハッチを蹴り、外へ転がり出た。

その直後、ドローンが上空から降下し、赤外線スコープが廃墟の中を走査する。


黒瀬はライフルを拾い、レイラと背中合わせになる。

「イリヤ、座標を送れ! 出口はどこだ!」


「東側の地下鉄入口まで200メートル。だが——敵が三方向から接近中」

イリヤの声は平静だが、手は震えていた。


地面に伏せた兵士がフレアを投げた。白い閃光が視界を焼き、直後に銃撃戦が始まる。


「レイラ、右だ!」

黒瀬はライフルを肩付けし、迫る影を撃ち抜く。

銃声が鉄骨に反響し、耳が痛む。


イリヤは隙を突いて走り出した。「ついてきて!」

黒瀬とレイラがカバー射撃をしながら追いかける。


EMPカウントダウン:残り1分10秒。


ドローンが一機、建物の屋根から飛び降りるように急襲してきた。

機銃が火を吹き、コンクリート片が雨のように飛ぶ。


「伏せろ!」

黒瀬はレイラを引き倒し、腰のグレネードを抜いて投げた。

爆発音と共にドローンが火の玉となり、落下して爆ぜる。


「行け!」

三人は煙の中を駆け抜ける。

足元のガラスが割れる音、遠くの警報、そして心臓の鼓動だけが世界を満たしていた。


EMPカウントダウン:残り55秒。


地下鉄入口が見えた瞬間、再び銃撃が始まる。

黒瀬はレイラに叫ぶ。「先に降りろ! イリヤを守れ!」


「あなたは?」レイラが振り返る。


「俺が抑える!」

黒瀬は最後のマガジンを装填し、廃墟に向けて連射した。


イリヤは一瞬ためらったが、レイラに腕を引かれて地下へ飛び込んだ。


EMPカウントダウン:残り40秒。


黒瀬は後退しながら撃ち続け、最後の一発を撃ち終えると、即座に階段へ滑り込んだ。

背後で銃声と爆発が響く。


暗い地下鉄の通路に入ると、イリヤが息を切らしながら言った。

「次の分岐まで走れば、電磁パルスの直撃は避けられる——かもしれない」


「かもしれない、じゃ困る!」

レイラが叫ぶが、足を止める暇はなかった。


EMPカウントダウン:残り30秒。


黒瀬はイリヤとレイラの背中を押しながら走る。

頭上では地響きがし、外の世界が刻一刻と終わりへ近づいていく。


「急げ! あと少しだ!」

地下の闇の奥に、緊急用の隔壁ドアが見えた。


EMPカウントダウン:残り20秒。


黒瀬は走りながら叫んだ。「イリヤ! コードを開けろ!」


「やってる!」

イリヤが端末をかざし、隔壁のロックが外れる。

ドアがゆっくりと開く——間に合うかどうかは、もはや運任せだった。

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