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第61章 残り十分
地下トンネルの入口に滑り込むと、EMPカウントダウンは残り10分を切っていた。
サイファはタブレットを広げ、通信ハッキングを開始する。
「こっちは準備できる。でも五分は必要」
「五分も持たないぞ!」レイラが叫ぶ。
黒瀬は深く息を吐いた。「持たせるしかない」
後方ではマリクが動かないまま彼らを見つめていた。
その横顔に、かつて妹を救いたいと語った青年の面影が一瞬だけよぎった。
次の瞬間、マリクは通信機を取った。「こちらマリク。標的は地下トンネルに入った……だが、待て。撃つな、まだ撃つな」
政府特殊部隊が戸惑う声を上げる。
マリクは黒瀬たちを追うようにトンネルへ足を踏み入れた――表情は読めない。




