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『無人世界プロトコル』  作者: キロヒカ.オツマ―


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第54章 分裂の影



コア室のモニターに、移送車両の位置情報が表示されたまま動いていた。

北部の収容施設へ向かうルートだ。

ルークはまだ昏睡状態で、車両の透明な収容ポッドに横たわっている。


ハワードはモニターに釘付けになったまま動かない。

やがて彼は低い声で言った。

「俺は行く。」


黒瀬が振り返った。

「何を言ってるんだ。」

「息子を助けに行く。お前たちは好きにしろ。」


レイラが一歩近づく。

「ハワード、今はそんなことしてる場合じゃない。

 外は封鎖されてるし、移送ルートには武装ドローンが――」


「だから行くんだ!」

ハワードが怒鳴った。

「お前らには分からないだろう。

 自分の子供が、生きたまま消されるのを黙って見てろっていうのか!」


コア室の空気が凍り付く。

黒瀬は言葉を選びながら言った。

「俺だって見ていられない。だが今は、もっと大きな――」


「ふざけるな!」

ハワードが黒瀬の胸ぐらを掴んだ。

「お前らの“もっと大きな目的”のせいで、ルークは排除されることになったんだ!」


レイラが慌てて二人の間に入る。

「落ち着いて、ハワード!」


ハワードは黒瀬を突き飛ばし、背を向けた。

「俺はもうお前らと一緒にいられない。

 ルークを取り戻すまで、俺は俺のやり方で動く。」


黒瀬は立ち上がり、深く息を吐いた。

「行かせるわけにはいかない。

 今は一人でも欠けたら、計画そのものが崩壊する。」


だがレイラが黒瀬の肩を押さえた。

「止めるの? 力ずくで?」

「……」


ハワードは銃を握ったまま、コア室を出て行った。

足音が遠ざかる。


黒瀬はしばらく黙ったまま端末の画面を見つめていた。

「……あいつが失敗すれば、ルークだけじゃなく、俺たちも危険に晒される。」


レイラは椅子に座り込んだ。

「でも、止められないわ。

 あんな目をしてる人間を、誰も止められない。」


二人は沈黙のまま、モニターに映る移送車両の点滅する座標を見つめ続けた。


一方、ハワードは地下通路を一人で進んでいた。

手には武器、腰には地図デバイス。

彼の脳裏には、昏睡状態のルークの顔が焼き付いて離れなかった。


「待ってろ、ルーク。

 どんなことをしてでも、取り戻す。」


彼の足取りは、怒りと絶望で重くも、どこか決意に満ちていた。

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