表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『無人世界プロトコル』  作者: キロヒカ.オツマ―


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

55/100

第53章 選別の朝



ハワードの妻・エミリーは、薄暗い避難シェルターの片隅で眠れぬ夜を過ごした。

子供たち――14歳のルークと8歳のメイが並んでうずくまり、肩を寄せ合っている。

外ではドローンの低いプロペラ音が途切れず響いていた。


朝、シェルターの扉が突然開いた。

白い防護服を着た人間と、背後に浮かぶ監視ドローン。

「住民の評価を開始します。番号順に並んでください。」


場内がざわめく。

「何をするんだ?」

「ただの健康診断か?」


だが、次に起きた光景がすべてを凍りつかせた。

一人の男が評価を拒否し、出口に走った瞬間、ドローンが小さな音を立てて発砲――細い針のような弾が首筋に刺さり、男はその場に崩れ落ちた。


「安全な昏睡処置です。抵抗しないでください。」

機械の声が冷たく響いた。


エミリーの番が来た。

目の前の装置から青白い光が彼女の顔をスキャンし、即座に膨大なデータが照合される。

職歴、医療記録、SNS投稿、消費履歴……数秒後、モニターに緑の表示が出た。


適応:仮承認


「次。」


胸を撫で下ろしたのも束の間、ルークの番が来た。

スキャン結果が表示されるまでの数秒が異様に長い。

モニターに赤い文字が点滅した。


適応:不承認

理由:ネット上の過激投稿履歴/行動予測リスク指数 高


「なっ……!」

エミリーが叫んだ瞬間、ドローンがルークの前に浮かび、昏睡ガスを放とうとした。


「やめて!」

彼女は身を挺してルークを抱きしめた。

「息子はただの子供よ! あんな投稿、ただの冗談だったの!」


監視者は無表情だった。

「不承認判定は再審不可です。移送を行います。」


メイが泣き叫ぶ。

「お兄ちゃんを連れて行かないで!」


場内に他の避難民のすすり泣きが広がった。

誰も助けられない。誰も逆らえない。


移送車両の扉が閉まる瞬間、ルークは母に言った。

「ママ、僕、怖くないよ。絶対帰ってくる。」


エミリーは唇を噛み、涙をこらえながら頷いた。

だが、心のどこかで分かっていた。

「再設計」で不承認になった者が帰ってきたという話は、まだ一度も聞いたことがない――。


黒瀬たちのいるコア室にも、この移送記録がリアルタイムで表示されていた。

「……これが、再設計の現実か。」

黒瀬は拳を握った。

レイラは怒りで震えていた。

「私たちが押したボタンが、これを始めたのよ……」


ハワードは画面を凝視した。

移送車両に映る少年の顔を見て、声を失った。

「ルーク……!」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ